ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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南蛮鴨

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吹く風が冷たくなり、熱々のうどんや鍋が恋しくなる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。


エネルギーを消耗する仕事の後、家には最近買った無印良品のレトルトカレーがあったにも関わらず、ご飯が炊けるのを待ちきれないと、近所のレストラン「カーザ・ドス・パッサリーニョス(小鳥の家)」で倒れ込むがごとく昼食を取った。いつもピーク時は満席の事が多く、時には入り口で順番待ちをしている客も見られるが、一人だと案外空いている席に滑り込む事ができる。


その日のおすすめが店頭のボードやメニューの先頭に手書きで書かれ、早々売り切れるものもある。時々登場するものもあれば、本当にその日にしか無い幻のメニューもある。私が選んだのは、その日のおすすめの一つで、ここで食べるのは2度目の「鴨のオーブン焼き」であった。


ポルトガルの鴨料理というと代表的なものはアロース・デ・パト(鴨飯)であろうす。これは家庭で作ろうとすると結構手間のかかるものだ。まず鴨肉を茹でて、細く裂かなければならない。スーパーには既に裂いてある鴨飯用の鴨肉が売っており、これを使っている飲食店もあろう。しかし鴨の茹で汁にこそ鴨の旨味が抽出され、これでご飯を炊くからこそ美味いのだ。出来合いの細切鴨肉を使ったのでは、出汁ガラで調理するのと同じである。従ってちゃんと手順を踏まずに調理済みの鴨肉を使った鴨飯はあんまり美味しくない。また平皿にしゃもじでよそった様なものも反則だ。本物の鴨飯は、炊いたご飯を陶器の皿に盛って卵の黄身で色を付け、チョリソやベーコンを上に散らしてオーブンで焼かなくてはいけない。


正しいヴィゼウの鴨ご飯



そんな訳で、美味い鴨飯は旧式のレシピを守っている田舎で食べた方が美味しい。一応都会であるリスボンではじっくりと時間をかけて調理した鴨飯をゆっくり味わう暇がない人も多いので、もっとスピーディにできる鴨料理が主流?とならざるを得ない。多分。


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「小鳥の家」の鴨のオーブン焼きは、それ程待たずに出てきて、しかも鴨の肉にご飯が付いているので、見た目は違えど腹の中では鴨飯になり、おまけに皮付きのジャガイモの素揚げも添えてあり、なんか得した気分になった。


鴨肉は醤油を使わない蒲焼き風とでも言おうか、甘辛系の味付けで脂ののった鴨によく合う。ご飯はレーズンやナッツを入れてスパイスを効かせた、辛くないアジアンテイストの香ばしいライス。ひょっとするとマカオやアジアの料理から影響を受けたレシピかも。大航海時代に日本にやって来たポルトガル人達は南蛮人と呼ばれたが、南蛮という言葉には広くアジアや異国から来たというニュアンスも含まれる。リスボンで食べた鴨のオーブン焼きにはそんな香りが感じられた。鴨南蛮ならぬ、南蛮鴨である。




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# by caldoverde | 2018-11-11 05:20 | 肉料理 | Comments(0)

悲しいニュース

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Miguel Silva さん撮影  元は下の家の周辺のような緑の斜面だった


リスボンから車で約40分のシントラ山脈は自然公園として豊かな森と美しい海岸線を誇っていたのだが、10月6日の夜、麓の村で火の手が上がり、強風で瞬く間に延焼し、何と600ヘクタールもの野原が灰になった。この辺りはロカ岬やカスカイスに向かう街道があり、頻繁に観光バスやマイカーが行き交う風光明媚な観光ルートだが、一晩で無残な黒い炭の山となった。


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ロカ岬までは被害が及ばなかった


今回の火事はイベントで違法に打ち上げられた花火が原因らしい。海や川ならともかく乾ききった枯れ草や燃え広がりやすい灌木の多い場所で花火とは、バカですか?


焼け焦げた土地にさっそく「売ります」の看板が出現したそうだ。シントラ・カスカイス国定公園は自然保護区として建物は建てられないはず。なのにしばしば火事が起きてはその後に小綺麗な住宅が建設される。ほとんどの山火事の原因は人為的なものだ。開発しやすいように、あるいは保険金目的で。


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関係ないけど熟柿のようにぶよぶよになったスモモとお気に入りのポルトガル製の皿


しかし当局は全く無策のように見える。だいたいシントラ市長が建築できない土地に家を建てて議会から取り壊し命令が出され、未だに執行されていないような国だ。全然信用できない。それでも今回の火事で、カスカイス市長は今後10年間は焼けた原野には建築を許可しないという法令を下した。市長が替われば期間も変わる可能性大であるが。


日本では放火は重罪だが、ポルトガルには死刑がなく、軽微?な犯罪者はすぐに娑婆に出られる。やる気のなさそうな警察や装備や人材不足の消防署が、犯罪を野放しにして被害を拡大させている。そしてその陰には汚職があるに違いないのだが…


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シントラ駅前の食堂で食べたコジード・ア・ポルトゲーザ。これはほぼポルトガルでしか食べられない。


ここ2、3年は空前のポルトガルブームで、観光客や移住者が急増しバブルの様相を呈している。残念ながらリスボンやポルトには次第に素朴さやゆったりした雰囲気がなくなりつつある。旧市街の住宅は民泊に、名所旧蹟は大行列、道路は路上駐車場と化し動脈硬化を起こしている。街から伝統ある店が次々と姿を消し、ありふれた洋服屋とファストフード店とどうでも良い雑貨店に代わっている。建物や乗物には汚い落書き。初めて訪れた人にはまだまだ十分に魅力的だと思うが、このままではやばい。


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ゴミひとつ落ちていないサンチャゴの旧市街


サンチャゴ・デ・コンポステラを訪れた時、市の清掃局員だろうか、ミラーのポールに貼られたシールかガムを薬品で除去している人を見た。さすが街全体が世界遺産だけあると感心した。少しのゴミでも放置すればやがてはゴミ捨て場と認識されていく。落書きも誰か一人描けば増える一方だ。ニューヨークでは後を絶たない落書きを根気よく消していくことによって犯罪率が減少したと言う。ポルトガルも観光客におもねるよりも自分の足元をしっかりと固めるべきだと思う。


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# by caldoverde | 2018-10-11 05:11 | カルチャー | Comments(0)

金のミュージアム

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この紋所が目に入らぬか!はは〜 一両金貨


急に涼しくなって秋の気配の感じられる9月、最近オープンした二つの新しいミュージアムに行ってみた。どちらも「金」に関するミュージアムだ。

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一つはコメルシオ広場そばの旧市庁舎の隣にある古い教会を改装した「お金の博物館」で、その名の通り、古代ギリシャからユーロまでの歴史的な貨幣や鋳造プロセスなどを紹介したミュージアム。入場は無料だが、お金そのものが展示されているせいか、入り口で持ち物をチェックされる。最初の展示物は本物(だと思う)の金塊で、アメリカの銀行の堅固極まりない金庫に入った状態を再現し、実際に触ることができる。持ち上げる事ができたら、もっとありがたみが増すと思う。


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カエサル アウグスト と読める。かっこいい。


上の階には歴史的コインの展示室がある。古代ギリシャやローマのコインはグルベンキャン美術館にも良いコレクションがあるが、ポルトガルの古い貨幣は意外と見る機会が少ない。昔の硬貨や紙幣には王様の肖像が入り、中にはなんとか威厳を保ちながらも残念な特徴が良く表れているものもあって面白い。


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19世紀の王様ジョアン6世。かっこわるい…

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19世紀の王様ペドロ5世。イケメン!


ミュージアムの中にはカフェもありコーヒーとケーキで一服した。お盆はプラスチックではなく金属製、中に敷いた紙は詩人のフェルナンド・ペッソーアの肖像入りのポルトガル・エスクード紙幣を拡大したもので、お洒落である。

 

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ニワトリ、イワシと並ぶポルトガルのキャラクター




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黒地に金で描かれた3人の女性の看板が目印


次にシアードのサン・カルロス劇場の広場に面した、金細工のミュージアム「フィリグラーナ博物館」を訪ねた。広場に面したウィンドウには巨大なペンダントが飾られた店舗の中に、制作過程や昔の工房の様子、北部の民族衣装などを展示するスペースを併設したものだ。ここも無料で見学できる。ポルトガルの伝統工芸品をより多くの人々に知ってほしい、もっと気軽に使って欲しいという願いを込めたミュージアム。確かに宝飾店だと敷居が高いが、ここなら散歩がてらふらっと入れて、しかもそれほど高価でない銀や金メッキのものもある。私のような冷やかしの客にも丁寧な接客だ。



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このようにジャラジャラ着けるのが正式



実はちょっと気になる商品があるので見に来たのであった。このミュージアムのオリジナル商品「リスボンの心」は伝統的なデザインのハートの中に市電、石畳、ポルトガルギター、4月25日橋、イワシとリスボンのシンボルが満載されて、とても可愛い。年末調整の税金の戻りが振り込まれていたら買ったかもしれない。しかし毎年7月に支払いがあるのだが今年は未だ来ない。これを当て込んで夏を過ごすのに、今年の夏は悲惨なことになった。今回は目の保養だけだ。


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サイズは色々、金メッキされた銀製



ミュージアムのすぐそばにはミシュランの星付きレストラン「ベルカント」があり、ついでにメニューをチラ見すると、アラカルトの前菜35€、メイン48€、デザート17€、と素晴らしいお値段であった。メッキではない本物の金のアクセサリーを着けて行くに相応しい店だ。丁度昼時だったのでお腹も空いてきた。私にぴったりの近所のカフェで5€の定食を食べた。


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モンゴウイカの庭師風 (ジャルディネイラ・デ・ショコ)

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# by caldoverde | 2018-09-06 01:26 | カルチャー | Comments(0)

シェフ・キコのポケもん

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弱冠39歳です

ある暑い日、友人のmoreiaさんに誘われてデパートのエル・コルテ・イングレスにビールを飲みに行った。地下の大衆的なフードコートで一杯1.5€を想定していたが、待ち合わせ場所は最近オープンした7階のグルメコーナーの中にある、有名シェフ、キコ氏の店だった。こういう機会でないとまず自分では行かない種類の店である。moreia さんによると、キコ氏は他にも数軒店を持ち、どれもすごーく美味しいのだそうだ。エル・コルテの店はポケ(ポキ)というハワイ風生魚料理をメインにした店である。


キコ氏はパリのコルドン・ブルーで勉強し、世界中の有名店で修行し、世界中を食べ歩き、TVの料理番組にも出演したポルトガルの若手シェフで、何冊か本も出している。めくってみるとカラフルで美しく繊細でとても美味しそうな料理ばかりだが、自分で作るのは到底無理だ。彼の料理はそれぞれの材料の特徴が際立って、一口食べる毎に驚きがあるとのmoreiaさんの評である。


メニューを見ると、一つ一つの料理の名前がやたら長い。暑くて頭がぼうっとしていたので解読をやめてボーイさんがこれはムイトボンと勧めるもの2品と黒ビールを頼んだ。一つは要約するとタコキムチ、もう一つはハンバーガーだ。


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食べ散らかした後ですみません。甘くないカステラはもう無くなっていました。


お通しに甘くないカステラのようなパンと薄い胡麻せんべいに、キムチ入りバター?と卵黄だけの酸っぱくないマヨネーズのようなものが出て来た。どれも濃厚な味と舌触りだ。



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野菜はシャキシャキ、タコはソフト、何だかよく分からない緑のピュレは滑らか


タコキムチにはタコばかりではなく新鮮な野菜と緑色のピュレがついていて、とても上品だ。上品過ぎて、キムチのパンチが足りない。よく見るとタコにポツポツ赤い唐辛子の破片が見られるので、これがキムチソースなのだろう。moreiaさんはキムチの味がしないとボーイにクレームを付けていたが、私達が慣れ親しんでいるキムチの発酵臭と辛さはポルトガル人にはおそらく耐えられない。まあ、ポルトガル人の味覚に合わせたアレンジなのだろう。でもタコキムチだと思わず、タコサラダと考えると、かなり上等のものだ。



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断面図は強烈な色彩

ハンバーガーの方はmoreiaさんは一口食べて「美味い!」と合格点を得た。まるでマカロンのように綺麗な緑色のバンズは抹茶のパンだ。その間に赤紫のビーツの千切りやら何やら色々な野菜と脂肪たっぷりの黒豚肉が挟んであって、彩りが非常に美しい。一つ一つの材料は厳選され細心の注意を払い調理され一つのまとまりに統合されている。その辺のハンバーガーとは大違いの手間暇かかったものだ。ビールよりもアールグレイの紅茶で頂いた方が似合いそうだ。


このような手の込んだ料理を食べるのは久し振りだ。しかしお金に余裕があったら食べに来るかと言うと…私はタコのぶつ切りに市販の白菜キムチを混ぜたのを白飯にのせてガツガツ食べたり、カンポ・デ・オリークの「レイタリア・コンデスターヴェル」のプレーゴやポルトの「コンガ」のビファナの方が好きかも…貧乏性でスミマセン。


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カンポ・デ・オリークいち美味いレイタリア・コンデスターヴェルのプレーゴ

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ポルトいち美味いコンガのビファナ

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# by caldoverde | 2018-08-25 18:47 | 話題の店 | Comments(2)
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サン・マテウス港とブラジル山


宿の台所には調理器具が揃っているが、付近に食材を売る店はないし、プールのバールにはハンバーガーの類いしかない。メニューにカサガイが載っていたが、その日は仕入れがなかった。まともな食事は昨日のツアーで食べたアルカトラという郷土料理だけで、後は宿のサービスのクラッカーやリンゴ、飲むヨーグルトなどでしのいだ。という訳で食費が大いに浮いたので、少し贅沢しようと、島で最も良いと評判のシーフードレストランで昼食をとることにした。


10年前にテルセイラ島に来た時は、路線バスに乗りサン・マテウスという漁港で降りて、バス停前のタスカ・デ・サン・マテウスという居酒屋でカサガイとフジツボとウツボを食べた。フジツボは貝の中に汁を残したまま下げられてしまった。隣の客は貝の肉を掻き出した貝殻を口に持っていき汁を旨そうに飲み干していた。すごく損したような気持ちになった。何とかリベンジしたいとずーっと思っていたが、とうとうその日がやって来た!

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前菜のフレッシュ・チーズにはトウガラシペーストが付く


レストラン・ベイラ・マール(海辺)は10年前行った居酒屋のすぐ近くにあり、その名の通り漁港が真ん前で、テラスからブラジル山も見える。店内には様々な種類の魚が並び、どれも新鮮で美味しそうだ。メインは後からまた考えることにして、まずはフジツボとカサガイと白ワインを頼んだ。海藻に覆われたフジツボが計6個に、釣り針のようなものが添えてある。これで貝の中身を掻き出すのだ。身は小さいが 、海の旨味が濃縮されたような味で、牡蠣を海のミルクと呼ぶならば、フジツボは海のエヴァミルクと言ってもいいだろう。もちろん身を食べた後は汁を飲むのも忘れなかった。居酒屋よりもやや高級な店なので、一応人目を気にしながら。焼き網に載せられてじゅうじゅう音を立てるカサガイも最高だ。バターで焼いてレモンをかけて熱々のところに冷たいワインを流し込み口の中を冷ます。コリコリした歯ごたえと磯の香りがなんとも言えない。これも貝汁まできれいにいただく。

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前菜が終わり、メインを何にするか決めようと魚のケースや生け簀を見に行った。生け簀にはロブスターとぺちゃんこに潰れたような海老が入っている。ロブスターの値段を聞くとキロ当たり50€でリスボンよりずっと安い。一瞬心が動いたがぺちゃんこの海老の名前と値段も聞いてみた。カヴァコという海老で本土ではブルシャ(魔女)、日本ではセミエビと呼ばれている種類らしい。

ロブスターよりも美味で値段も60€と高い。しかしロブスターよりも小さいのでそれほど高くはつかないだろうと考え、前の大統領と同じ名前の海老を注文した。茹でるのに30分かかると言われた。港の景色を眺め白ワインを飲みながら大統領の到着を待った。


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縦に真っ二つに割られたカヴァコは、赤い殻から真っ白な身をぷりっと弾き出している。シャコエビ程度しか肉がないだろうと思っていたら、結構食べ応えがある。大味なロブスターよりも甘みと弾力がある。赤いソースが添えてあり、これをかけて食べても旨いが、シンプルに茹でたままのを食べてもいける。ソースはオリーブオイルの中にカヴァコの細かい身、ゆで卵、パセリ、パプリカなどを混ぜたもので、カリッと焼いたパンにのせて食べると、海老の本体よりも美味しいと思う私は貧乏性だ。お勘定はしめて76€、リスボンでは100€は下らないはずだ。またテルセイラ島に来たら、毎日通ってしまいそうだ、やばい…。アソーレスでは大統領と呼ばれる魔女に魔法をかけられてしまった。


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# by caldoverde | 2018-07-13 09:33 | ポルトガルの旅 | Comments(4)