人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06235487.jpg
可愛い🩷  

歯医者の待合室の雑誌をパラパラめくっていると、ふと目に留まった写真があった。鮮やかなブルーのデニムの上下を着た女性モデルの写真のキャプションには、ポルトガルのブランドのサルサ・ジーンズがシザのコラボの特別エディションを発表と書いてあった。シザとはポルトガルのみならず世界中に様々な建物を設計しているポルト出身の有名な建築家で、98年リスボン万博で造られたポルトガル・パビリオンは代表作の一つ。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06314906.jpg
日本では不可能


アルヴァロ・シザ氏はかなりのお年のはずだが、昨年、若者向けのジーンズメーカーと組み自らデザイン(に参加)したパンツ、オーバーシャツ、Tシャツ、トレーナーのシリーズを限定版として売り出した。現在のジーンズはほとんどがケミカル加工を施し、色が抜けて穴が開いていたり、わざと折ジワをつけたものが主流で、染色したてのような濃いめの鮮やかな色のジーンズは滅多に見ないが、この限定版のデニムの美しい青はポルトガルのアズレージョの色をイメージしたそうだ。ちょうどジャケットとシャツの中間のようなものが欲しかったので、サルサ・ジーンズのサイトで在庫のある店を調べ、最後の1枚のオーバーシャツをゲットした。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06283152.jpg


綺麗なインディゴブルー


シャツの裾には白い革のアップリケがあり、子供が描いたような変な動物がプリントされている。これもシザ先生のデザインで、働き者(と愚か者) のシンボルのロバだそうな。私の好きな動物は猫とロバとカピバラとマンボウで、猫以外は何も考えていないようなぼーっとした生物であるが、このロバも働き者というよりは所在無げなぼんやりした感じで、私のツボにハマった。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06290292.jpg
ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06503277.jpg

なんとも言えない味わい


このオーバーシャツは大いに気に入ったので、パンツも欲しくなった。このサルサ・ジーンズというブランドは、ピチピチスリムなシルエットを特長としているので、典型的日本人のおばさん体型の私には全く縁のない店であったが、写真で見るとシザのジーパンは太めのストレートで、これなら私にも着られる可能性がある。尻ポケットの上には例のロバの白革のアップリケが付いているが、そればかりではなく、脇ポケットの袋にもロバがプリントされていて、見えない所に凝るとは粋だなあと感心した。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06294058.jpg

裏返しに着てもOK?


限定品なのですでに店頭にはなく、インターネットで買うことにし、写真を掲載していたサイトにアクセスして注文した。元値より安くなっていた上、送料無料なのでラッキーとばかり、個人情報やカード番号を入力すると、すぐに注文完了のお知らせと発送を追跡できる番号がメールで送られて来た。届くまで2週間ほどかかるらしい。毎日発送状況を確認すると、飛行機に積み込まれ、ヨーロッパに到着し、税関を通過し、と徐々にポルトガルに近づきつつあるのが分かり、思ったより早く配達されそうだと楽しみにしていた。ただ一つ気になるのは、発送元が香港になっている。サルサ・ジーンズはポルトガルの会社なのだが…。


ジーンズの到着を心待ちにしていたある日、たまたまスマホで銀行残高を確認したら、クレジットカードの使用金額が700€を超えている‼︎全く身に覚えのない金額である。明細を見ると、SPの両替屋で3回お金を引き出され、もう一つは全然知らないサイトの買物になっている。SPとはおそらくサンパウロであろう。私は一度もブラジルに行ったことはないし、その日はリスボンの自宅にいた。慌てて銀行に連絡してカードを止めてもらった。気が付いたのは金曜日の午後だったので、月曜日の朝に銀行に事情を話し改めてカードを無効化し、警察に届けた。私が買物したサイトは本物そっくりの偽サイトだった。それで香港から発送されたのか。では一体何が届くのだろう?


今度はちゃんとしたリスボンの直営店に行ってパンツを注文した。色も形もイメージ通りだった。しかし身長153cmの私が上下揃えて着ると、雑誌のモデルの写真とあまりにもかけ離れ過ぎて笑う他なかった。モデルと同じコーディネートは避けよう。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06324309.jpg

ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06324584.jpg


ポルトのセラルヴェス美術館では現在、草間彌生の展覧会が開催中。水玉の眩暈の世界に酔いしれた後は、明快で理知的なシザの仕事を紹介する常設展を見ることができる。記念に草間彌生のカボチャのグッズが欲しかったがいいお値段なので、もっと安いシザのうなだれたロバのイラストがでっかくプリントされたジーンズのバッグを買った。


ポルトガルの脱力系ファッション_a0103335_06330487.jpg

かなり大きい。生成り色もあり。


ところで香港から発送されたブツは配達完了になっている。どんなものが届くのか楽しみにしていたのだが、何の音沙汰も無く郵便箱に不在票も入ってない。それにしても最近の詐欺は手が込んでいるなと感心した。皆様も偽サイトには気をつけて。




# by caldoverde | 2024-05-10 05:56 | カルチャー | Comments(4)

復活祭のパン 2

 復活祭のパン 2_a0103335_05432259.jpg


スーパーの菓子コーナーに巨大な卵型チョコレート、色んな種類のアーモンドチョコやアーモンドの砂糖がけが並ぶと、もうすぐ復活祭があるのだと気付く。パン屋やお菓子屋には卵を殻ごと練り込んだパン、卵をたっぷり使ったカステラの元祖のパン・デ・ロー、鳥の巣を模ったケーキなどがウインドウを飾る。聖週間にキリストの受難を偲び肉や卵を控えた後、復活祭にキリストの復活を祝って卵たっぷりのお菓子や、肉料理を食べるという伝統に由来しているそうだが、現代において復活祭までの断食を実行している人はほとんどいないだろう。むしろクリスマス同様だらだらと甘い物を食べ続けて体脂肪が蓄えられる時期である。


 復活祭のパン 2_a0103335_05450495.jpg


通りに面した大きな窓に卵やウサギなどで復活祭の飾り付けをした近所のカフェLomarに入ると、ケースの中に久々に私の好きな「ニーニョ」がずらりと並んでいる。パイ生地の中央に黄色いカスタードクリームを絞ったもので、卵あるいはヒヨコが入った鳥の巣を表現したお菓子だ。私と、復活祭休みでイタリアからリスボンに滞在中のヤマザキマリさんの夫君ベッピ氏は迷わずこれを選んだ。


 復活祭のパン 2_a0103335_05453893.jpg


ベッピ氏からはリスボンに来る度にチーズやらパスタやらイタリアの珍味佳肴をお土産に頂くのだが、今回はコロンバというイタリアの復活祭の伝統菓子を贈られた。卵をたっぷり使ったブリオッシュのような生地にドライフルーツやハチミツなどを使った甘いパンで、上から見ると十字架の様な形をしている。これは鳩(精霊)を模ったもので、イタリアでは復活祭の期間中に少しづつ切って食べるそうだ。かなり甘いので日持ちするのだろう。美味しいのでついつい1切れが2切れ、2切れが3切れに…いかん、復活祭が終わるまでキープしなくては。


 復活祭のパン 2_a0103335_05460463.jpg


別の近所のカフェには、珍しく元祖カステラのパン・デ・ローが何個か並んでいた。丸い穴あきの型で焼いたもの、四角い紙の箱にすっぽり収まったものと、中央に卵型のチョコレートを何個かのせて鳥の巣をイメージしたものがある。色んなチョリソや肉を練り込んで焼いたどっしりしたパンもあり、これも普段は見ないものである。値段はキロ当たり10ユーロだという。迷った末買わずに店を出たが、特定の期間にしか売っていない物だと考え直し、結局買いに戻った。値段は8ユーロ、約800gということになる。これも食べ過ぎ注意のシロモノだ。


 復活祭のパン 2_a0103335_05462446.jpg


復活祭のご馳走は仔山羊か仔羊だろう。以前カステロ・デ・ヴィーデで復活祭の特別メニューという仔羊のスープを食べたことがある。神の生贄に捧げた神聖な動物を使ったスープにはよくわからない部位の肉片が色々入っていた。アルカンタラ地区にある昔ながらのカフェのイースターサンデーのメニューは仔山羊のロースト。しっかり下味をつけた骨付き肉と、肉汁のしみたジャガイモが絶品で、付け合わせのレバー入りご飯や青菜のソテーもいい味を出している。


 復活祭のパン 2_a0103335_05464032.jpg


今年の聖週間は全国的に激しい風雨に見舞われ、イースター休みでポルトガルに来た観光客にはまさに受難のお天気だったが、聖金曜日と復活祭は青空が広がり、太陽が復活した。いよいよ春本番、カメラと甘いパンと肉のパンの残りを持って花の写真を撮りに行こうかと思う今日この頃である。



# by caldoverde | 2024-04-01 05:26 | 季節 | Comments(2)

セトゥーバルの冬の魚

セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00055619.jpg

リスボンの小さなワンルームで魚を調理しようものなら、しばらく部屋から魚臭さが抜けないどころか、アパートの階段ホール全体にまで臭いが充満してしまう。炭火焼きなどもっての他である。たまにセトゥーバルに行く機会があれば、なんの変哲もない住宅地の、普通の食堂で地元の人々に混じって焼魚を食べるのが楽しみである。最近は「魚の家」が贔屓であったが結構高いので、近くの町食堂「タスカ・ドス・プリモス」に行ってみた。「魚の家」同様、普通の民家風の飾り気のない、エアコンさえもないモグリっぽい店構えである。客筋は地元の労働者のお得意さんがほとんどで観光客はいない。メニューはマダムがポケットから出す紙切れである。それによると、イカ、スズキ、クロダイ、魚卵、なんかよく分からない魚が本日のメニューである。その何だか分からない魚は、先客のカップルが食べている小さな鯛の炭火焼きで、ステンレスの皿にぎっしり10匹ほど並べられ、なかなか美味しそうである。リスボンではこんなサイズの鯛は見たことがないので、その小鯛を注文した。



セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00013613.jpg


この店のハウスワインは残念ながらシーフードによく合うヴェルデ(緑)はないので、マダムおすすめのロゼを選んだ。微かな炭酸ガスの含まれたやや甘めの爽やかな飲口で、軽い塩味のオリーブに合う。他の客が注文した大きなイカや、少なくとも6~7腹ある魚卵が運ばれて来るのを横目で見ながら、一皿に色んな種類の魚をちょっとづつ盛り合わせたメニューがあれば良いのになあと思った。


セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00021334.jpg
ジャン・レノ氏は巨大なイカのグリルを

セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00021936.jpg
ブルース・ウィリスさんは魚の卵の焼いたのを召し上がっています。


ステンレスの皿にぎゅうぎゅう並んだ小鯛は程よく焦げ目がついたミディアムな焼き加減。柔らかく脂肪の少ない淡水魚と海水魚の中間のような淡白な味を、粗塩がきゅっと引き締める。一口サイズなので、魚にオリーブオイルをたっぷりかけて、皮付きのジャガイモと一緒にどんどん食べられる。


セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00025566.jpg

セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00030151.jpg


この小さな鯛はアルコラースと呼ばれ、セトゥーバルの名物の一つらしい。数年前は12月にアルコラース週間というイベントも催されていた。セトゥーバルはモンゴウイカのフライが有名であるが、季節ごとに様々な魚が市場に出回るので、その時期ならではのメニューを味わうのも一興である。淡白な魚にはロゼワインもよく合うのを知ったのはちょっとした収穫だった。そろそろ色んな花が咲きだす季節、桜を連想させる可愛い魚とピンクのロゼワインで乾杯!

 

セトゥーバルの冬の魚_a0103335_00031604.jpg
2015年12月12日から20日にかけて開催された小鯛週間の広報

# by caldoverde | 2024-03-04 23:56 | シーフード | Comments(2)
パステイス・デ・ベレンの新製品_a0103335_21110827.jpg


元日は必ず何かが値上がりするので、ポルトガルの正月などちっともめでたくない。リスボンの公共交通機関はバスが2.10€、市電が3.10€、ケーブルカーが4.10€と、変な料金になっている。料金を受け取る運転士の苦労が偲ばれるし、乗客の財布はお釣りのコインでパンパンになりそうだ。数十分も待って1分で終わるサンタ・ジュスタ・エレベーターは6€と、ちょっとした展覧会や博物館が見学できる値段だ。近所のカフェも以前は小銭整理によく行っていたのだが、最近はエスプレッソコーヒーと菓子で2€を超えるところが殆どで、お札で払うとあっという間にお金が消えてしまうので、控えなければ。


世界的に有名なジェロニモス修道院そばの、エッグタルトの本家本元のパステイス・デ・ベレンもその例外ではない。昨年久しぶりに行ったら1.30€になっていて高くなったものだと嘆いていたが、今年は1.40€とまた値上げしているのには驚いた。かなり儲けているはずなのだが…。それでも巷の菓子屋と比べて高いわけではない。むしろ安い方かもしれない。だから世界中の観光客がウンカの如くやって来て、その行列を捌くためにテイクアウト専用のカウンターまで設置してある。


このパステイス・デ・ベレンは創業1837年以来の伝統を守りつつ、経営陣が新しい世代に交代したのか、新製品も開発していることに気が付いた。奥のカウンターにはエッグタルトの他に、卵の黄身系伝統的菓子やコロッケなどの揚げ物が並び、エクレアのような生クリーム系のお菓子も若干ある。この店の生クリーム系はイマイチなので、どうしようか悩んでいたら、プラスチックのケースに入った見慣れない菓子があるではないか。見慣れないと言っても世の中にありふれたチョコレートチーズケーキとラズベリージャムのチーズケーキである。しかし黄色いポルトガル菓子に囲まれたチョコレートチーズケーキは新鮮で、見るからに濃厚でねっとりとした舌触りとほろ苦いカカオの香りを想起させ、その誘惑に抗うことは不可能であった。エスプレッソコーヒーと相性が抜群だが、アグアルデンテ(ブランデー)と一緒なら至福の極みであろう。今度やってみよう。


パステイス・デ・ベレンの新製品_a0103335_03244465.jpg



赤いジャムのチーズケーキはタルト台の上にムース状のクリームチーズとラズベリージャムをのせたもので、意外と軽い口当たりである。チーズらしい軽い酸味があり(ポルトガルのチーズケーキは全然酸味のないのが多い)甘さは優しく、タルト台はしっかりしている。サイズは小さめで、今ひとつブームになり切れなかったカスタードクリームを挟んだ揚げドーナツ「ボーラ・デ・ベルリン」よりは、罪の意識が段違いに軽い。


パステイス・デ・ベレンの新製品_a0103335_21112539.jpg


この2つの新製品はグルテンフリーを標榜している。最近世の中ではグルテンが悪者になっており、ポルトガルでもあちこちでグルテンフリーの表示を見かけるようになった。意識の高い海外からの客が増えて、そのような要請というか流行に乗って開発されたものと思われる。しかしお菓子である以上、糖分脂質が豊富なのに変わりはない。グルテンが無いからと安心して毎日食べたら逆に不健康であろう。更にヤバイ事には、この2つの新製品の値段は2€と一般のポルトガルの菓子屋のチョコレートケーキやチーズケーキよりも安く、しかも美味い。これらはグルテン中毒ならぬグルテンフリー中毒にさせる悪魔の食べ物である。


# by caldoverde | 2024-01-27 21:10 | お菓子・カフェ | Comments(2)

サントメ料理店

 サントメ料理店_a0103335_00150510.jpg


宝くじの発売元サンタ・カーザ・ダ・ミゼリコルディア(聖なる慈悲の家)ではその収益金で福祉事業や文化活動を行う。私も時々宝くじを買うので、サンタ・カーザの主催する無料イベントにはよく参加させてもらう。これで元が取れるというものだ。今回のイベントは、バイロ・ソシアル(市営住宅などの多い地区)のウォーキングツアーで、リスボン北部にあるアメイショエイラ地区を訪れた。隣の市との境にあるアメイショエイラは地下鉄駅もあり、中心部とのアクセスは良い。しかしまだこんな所がリスボンに?と驚くような所でもある。


 サントメ料理店_a0103335_00154438.jpg
立派な教会もあれば

 サントメ料理店_a0103335_00163219.jpg
庶民の家も。真ん中の入口の上部には十字架とローマ数字があるが、騎士団と関係あり?


案内してくれたサンタ・カーザの職員ペドロさんによると、アメイショエイラは19世紀までは貴族の別荘地でありのどかな農村であったが、20世紀になると地主は土地屋敷を市に売却し、市営住宅が造成された。葦のしげる原っぱの向こうには郊外の白いベッドタウンや緑の丘陵がのぞめ、高層アパートに囲まれるようにクラシックなお屋敷や小さなチャペルもあれば、ヴィラと呼ばれる労働者の長屋や農民の住んでいた小さな家もある。現在はアフリカ系住民とシガーノ(ジプシー)系住民が多い。この2つのコミュニティは仲があまり良くない。ゆえに、リスボンでも治安の良くない地区とされている。


 サントメ料理店_a0103335_00193546.jpg
エスニックな内装


つましい小住宅の集まった地区にある三角の広場に、元は物置かガレージだったような白い平家のレストランがある。カンティーニョ・ダ・アメイショエイラというその店は、アフリカの旧ポルトガル植民地サントメ・イ・プリンシペの料理店で、ガイドのペドロさんのお勧めである。サントメ料理は食べた事がなかったので、ツアー終了後に入ってみた。店内はアフリカの布地や仮面が飾られ、お客さんもアフリカ系の人ばかり。もちろんアジア人は私1人である。


 サントメ料理店_a0103335_00205339.jpg
中央の塊は口を細く開けた魚の頭


注文したのはカルルという魚のシチュー。以前アンゴラ料理店で食べたカルルは干した魚やオクラが入っていて、美味しかったが、サントメのカルルはどうだろう。最貧国の小さな島国の食べ物にふんだんな食材や美しい盛り付けなどは全く期待していないが… ぶつ切りの魚のアラと謎の野菜をカレーに似たとろみのある汁の中にぶち込み煮込んだものが出てきた。味はカレーほどではないが辛味があって、付け合わせのご飯ととうもろこしの餅が進む。汁には細かく刻んだ青菜やキャベツが混じり、貧しい材料ながら栄養面ではバランスが取れている(多分)。すごく苦い野菜は丸いナスの一種で、この葉っぱも汁の中に入っているそうだ。油脂はパーム油、スパイスはマラゲッタという辛い唐辛子やサントメ産の胡椒など色々使う。魚もサントメの魚を使うそうだが(ポルトガルの魚でしょう)スパイスのおかげで魚臭くはない。見た目よりは美味しいと言えよう。


貧しい島国の料理に顧客は付近の住民とあれば安いだろうと思いきや、お勘定は普通のポルトガル飯より高めの14€だった。メニューには値段が付いていないので、レシートを請求すると「メニュー 14€」としか書かれていない。頼んだのは炭酸水、カルル、コーヒーで、私は明細が知りたいのだ。いちげんさんのアジア人なので適当な値段をつけたのか、何を飲んでも食べても一律14€なのか不明。ここもモグリの脱税の店か?モヤモヤした気持ちのまま支払い、店を出たが、あの苦いナスや魚やスパイスをサントメから取り寄せているならこの値段だろうと自分を納得させた。そのうち変わったものが食べたくなったらまた来るかもしれない。


 サントメ料理店_a0103335_00240533.jpg
貝の化石のある岩。大昔は海底でした。アメイショエイラという地名はアメイジョア(アサリ)の貝殻が沢山あったからという説も。

# by caldoverde | 2023-12-04 00:14 | インターナショナル料理 | Comments(2)