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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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今年の6月のリスボンのイワシ祭りは中止でした


 ご無沙汰しています。コロナを言い訳に更新をサボっておりましたが、仙台で元気に過ごしています。老人世帯には持て余す庭の手入れや不用品・ゴミの始末、家の補修、日々の家事などで、ポルトガルを忘れる事もしばしばです。片付けてみると、もう車のない敷地は意外に広く感じられ、外でイワシの炭火焼もできるかもと思いたちスーパーに行きました。ところがポルトガルの粗塩と同じタイプの塩をあちこちで探すも、一番似たものがフランス製の塩で、お値段がかなり高級。こんなもんピンゴ・ドーセで1kg1€もしないのになあ…


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日本で売っているポルトガルワインは大体1000〜1300円。現地では5〜8€位と思われるが、いつも3€程度のワインしか買わなかったので、美味い。イワシには赤ワインです。


 そこに、ポルトガル語の先生で友達の日系ブラジル人ヴァレリアから、ポルトガル料理を作ろうとお誘いが来た。旦那さんの伝手でイワシが手に入り、ワインも用意してあるそうだ。じゃあ私も何か作って持っていくね、と久々のポルトガル料理の夕べとなった。


 最初私たちはイワシをエスカベーシェ(南蛮漬け)に調理しようと考えて、材料をヴァレリアにメールで送り用意してもらったが、旦那さんが持ち帰ったイワシが新鮮なので、シンプルに塩焼きにすることにした。ヴァレリア先生は、私があまりの高さに買うのをやめたフランスの粗塩を持っていたので、イワシに塩を振って焼くだけで十分美味しいはずだ。イワシが焼けるまで、もう一人のお客様のショウコさんの持ち寄ったスパークリングワインで、ナッツやチーズ、サラダなどをつまむ。スパークリングワインも前菜もお洒落で上品な物ばかり。

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緑の卵の失敗したやつです


 そこに私が持参したのは、おっちゃんたちがバールでビールを飲みながらつまむような典型的なスナックだが、案外店には置いていないものである。一つはペイシーニョ・ダ・オルタ(畑の小魚)という名前のモロッコインゲンの天ぷら、もう一つはオーヴォス・ヴェルデス(緑の卵)というゆで卵のコロッケだ。


 畑の魚とは言っても魚は全く使わない。形が魚に似ているから付けられた名前だ。サッと茹でたモロッコインゲンに、天ぷら粉にとき卵を入れて塩胡椒で味をつけた衣をつけて揚げただけ。料理サイトや本を見ると、黄身と白身を分けて白身を良く泡だてて、とかそれぞれ微妙に作り方の違いやこだわりがあるが、日本式の天ぷらとほとんど変わらない。天つゆを使わないので、衣に味をつけるのだが、マヨネーズやタルタルソースで食べても美味い。


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ここでやめときゃよかった


 緑の卵の方は、ゆで卵を作り、半分に切り、黄身を取り出す。黄身を潰し、みじん切りにしたパセリや玉ねぎ、ニンニクに、油漬けのマグロを混ぜる。パセリが黄身に緑の色を与えるので、緑の卵。ツナ缶の代わりにハムなどもいいかもしれない。塩胡椒などで味付け。私はマヨネーズを加えた。この緑色の黄身を今度は白身に詰め直す。嵩が増えるので、卵1個が2個分のボリュームになる。日本で発行されたポルトガル料理の本では、ここで終わりにしているが、リスボンで食べるのは、粒々の細かいパン粉をつけて揚げてある。私も揚げたのが食べたいので、豚カツの要領で、卵に粉をはたき、溶き卵にくぐしてパン粉をくっつけた。しかし、つるんとした白身に満遍なく衣をつけて揚げるのは難しい。日本のガサっとしたパン粉が良くないのか、何か特別な手順があるのか。


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イワシのオープンサンド


 材料費は安いのに手間がかかる緑の卵は、体格の良い旦那さんがパクパクと食べてくれた。そのうちにイワシが焼き上がった。こんがりと焼けた皮に、大根おろしもいいなあと思ったが、今日はポルトガル料理の日だ。ヴァレリア先生は、南蛮漬けの材料をきれいな野菜ソースにして、フランスパンを添えてサービスした。パンに焼きたてのイワシの身を乗せて、野菜ソースをかけてオープンサンドにして食べると、ほっぺた落ちそうなほど美味しい。しかも凄くオシャレだ。このタイプのソースはポルトガルではアジの塩焼きに添えられるが、イワシと一緒に出された事はない。イワシには茹でたジャガイモと焼いたピメント、と決まっている。でも今度リスボンでイワシの塩焼きを頼むときは、ヴィナグレッチ(みじん切りにした野菜を酢とオリーブオイルで和えたソース)がないか聞いてみようかな。


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トマト、ピメント、玉ねぎ、パセリなどでカラフルに

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# by caldoverde | 2020-06-29 11:23 | シーフード | Comments(2)

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美味かったのに…


ポルトガルのファストフード、トンバーガーことビファナとカタツムリ(カラコイス)でカンポ・デ・オリークでは有名だったローザさんは、病気のため惜しまれつつ旅立った。家族が後を継いだが長続きせず、小さなバールは扉を閉ざしたままだった。昨年の秋頃、工務店の職人たちが店に出入りするのを目撃した。ああ、本当になくなったんだ、あのビファナはもう食べられないんだとちょっと悲しくなった。


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しばらくして近くを通りかかると、正直言って小汚かった店が何だか可愛らしくお洒落になっている。「ア・ダ・ビア」という看板がかかっていて、テイクアウトも承りますとの張り紙もある。間口の狭い、四人がけテーブルが3つ入るくらいの小さな店で、壁の片側がキッチンでカウンターが客席と区切っているのは昔と変わらないが、入り口の左右の、道路に面した窓にもお一人様用の小さな席がある。これは私の指定席だ!お皿は可愛いアンティーク、正面にはアズレージョが綺麗なアパートがあり、道ゆく人を眺めるのも楽しい。


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奥行き30cmもない小さなテーブル


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今日のメニューはバカリャウ・ア・ゼ・ド・ピポ(ピポさん風鱈料理)。手間がかかるせいかリスボンではあまり見ない。


メニューはどちらかというとベタなポルトガル料理であるが、鍋からよそってドン!ではなく別皿でやって来る。ワインも安食堂にありがちな箱の酒ではなく、今週のお勧めワインやリストがあり、グラスで注文できる。お値段はビファナ並みとはいかないが、それ程高くもない。新しいオーナー夫妻に、以前はよくここにビファナを食べに来ていたんですよ、と話しかけると、ああ、ローザさんね、亡くなったんです、と答えた。前の店の評判を承知の上でこの場所を選んだようだ。


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モンゴウイカのマッサーダ(マカロニの煮込み)

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デザートは生クリームと苺を添えたプリン


奇をてらわず基本を守りながらお袋の味の良さを、吟味したワインと共に楽しんで欲しいという心意気は、地域の人々に愛されていたローザさんの後継者として支持されるだろう。今ポルトガルのみならず世界中の飲食店はとても苦しい状況に置かれているが、コロナ禍が収束すれば、人々は困難を乗り越えた喜びと懐かしさ(サウダーデ)に身悶えしながら街に繰り出すだろう。その日を待ちわびつつ、遠く日本から応援したい。


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テイクアウトしたバカリャウ・ア・ゼ・ド・ピポ。レンジでチンして食べるためわざわざ焦げ目をつけて盛り付けが崩れないようにアルミの容器に入れてくれた。

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同じ建物の壁のレリーフ

# by caldoverde | 2020-04-02 13:55 | 話題の店 | Comments(4)

大いなる休暇

2月9日にポルトガルを出国し、ドーハ経由で東京に着いた頃はまだリスボン空港も羽田空港も心浮き立つ人々で賑わっていた。しかしどの旅行会社のツアー客だろうか、服や帽子に日の丸のバッジを付けていた家族がいた。帰国前に一緒に仕事をした男性添乗員はヨーロッパの某国でコロナウィルスに関連し不愉快な思いをしたと憤慨していたので、この家族あるいはツアーはアジア人に対する偏見差別対策を取っているんだろうなと思った。


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仙台駅のカルディで買ったアレンテージョワイン。千円以下でコスパ抜群、味も良い。いつも数種類のポルトガルワインを置いていてどれも外れがないのが嬉しい。


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つまみはスパニッシュオムレツ



3月初めまでポルトガルは感染者が一桁だったが、やはり増加のスピードは加速し、スペインの惨状を目の当たりにして国境を封鎖した。宿敵であり兄弟でもあるスペインとの行き来をほぼ遮断するのはイベリア半島の歴史でも稀な事だ。二つの国は北西はミーニョ川、北東はドウロ河、中部はテージョ河、南部はグァデアナ河が部分的に国境をなしている。もし国境が全て陸続きだったら、感染者の数はもっと増大していただろう。


ポルトガルもイタリア、スペインと同様に、人と人との距離が近く、挨拶は身体的接触を伴う。お喋りが大好きで、家族を大事にする。衛生面はかなりおおらかで、医療体制は日本に比べると脆弱な印象を受ける。中国との結びつきは特に近年益々密接になっている。いつアウトブレイクが起きても不思議ではない。


ポルトガルにおけるコロナ対策はEU諸国に準ずる。非常事態宣言下で、国民は自宅待機が求められ、イベント、映画館などは興行中止、飲食店や商店の営業制限、学校などの公共施設の休業、など戦時中のような状況らしい。らしい、と言うのは3月中にリスボンに戻る予定だったが、あっという間に日本から出るのも、ポルトガルに入るのも難しくなり、取りあえず仙台に居ることにしたからである。ポルトガルも観光立国でインバウンド頼りだったから経済産業への影響は計り知れない。私も観光ガイドとして生計を立てていたので、今年の収入はほぼ諦めた。


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「ブラインドネス」というタイトルでジュリアン・ムーア主演で映画化された。


このタイミングで再版されたのはポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの「白の闇」。ある日突然視界が真っ白になり何も見えなくなる病が発生し、ヒト-ヒト感染により瞬く間に街中に蔓延する。当局は軍を出動させ、感染者を収容所に隔離するが、そこでは人間のエゴが剥き出しとなる地獄絵図が繰り広げられる。酸鼻極まる描写は第二次大戦のユダヤ人収容所、ひょっとすると武漢の臨時病院もかくやと思わせる。


明けない夜はなく、どんな嵐も必ず過ぎ去り、青空がまたやって来る。状況を嘆くばかりではなく、これを機に家族、地域との繋がりを見直し、連帯を深める良い機会とし、自宅待機で生じた時間を新たな創造を生み出す原動力になればと願う。有名観光地のひと気の無い通りやモニュメントの映像は、改めてその美を世界中に知らしめ、病禍が収まればぜひ行ってみたいと強く印象づけるだろう。



# by caldoverde | 2020-03-25 10:59 | カルチャー | Comments(0)

仏蘭西風タコ料理

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週に2回は黄身クリーム入りクロワッサンか、カスタードクリームをたっぷり挟んだボーラ・デ・ベルリンを食べに行かずにはいられないフランス菓子店『ダックワーズ」は、日曜日にはブランチ、平日もランチがある。黒板のメニューボードに書かれた本日のランチは、タコのグリル野菜とピュレ添え、スープかデザートのプチフールを選べてコーヒー付きで8€であった。

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かつてこんなお洒落なタコ料理があっただろうか。ポルトガルのタコの料理といえば、付け合わせに皮付きのまま焼いたジャガイモがどんどーん。味付けといえばオリーブオイル、ニンニク、塩。それだけで充分美味いのだが、見かけがアレだ。初めてのデート向けではない。ところが『ダックワーズ』のタコはまるでパリのお嬢さんのように可愛くて華やかだ。ピュレはアスパラガスだろうか、爽やかな緑色で、タコの赤い色がよく映える。カラフルな茹で野菜は8種類くらいの材料を使っていて、クタクタにせず、シャキッとした歯ごたえを残している。


これなら女の子を誘っても絶対喜ばれるだろうし、ご馳走されたとしても、気を使うほどの金額でもない。むしろこの金額なら男は奢らなくてはいけない。私は一人で入ったので当然自分で払ったが、グラスワインを頼んで10€ちょっとで、味も良く見た目も楽しめ、パンやデザートも付くのでなかなかお得だ。難を言えばタコが小さ目かな。この太さならもう一本欲しいところだ。しかしその問題は、普段は手を付けないパンを完食する事で解決できた。ここではパン屋も兼ねており、布に包まれたライ麦の丸パンはほんわか暖かく、食べたらお腹が膨れるぞと理性が警告するも、抗うことは不可能であった。またバターがうまい。


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食後のデザートに好きなプチフールを選ぶことができる。とろりとしたチョコレートに金粉をまぶしたオペラは小さな貴婦人といったたたずまい。


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ポルトガル料理は良く言えば素材を生かした、悪く言えば芸のない料理だが、ちょっぴり異国風の装いをすれば、田舎娘がお洒落なパリジェンヌになる。昔フレンチポップスのアイドルだったLIOはベルギーに移民したポルトガル人家庭の出身で、全盛期はキュートでフランスのマドンナとも言われたが、最近ポルトガル在住のフランス人向け情報誌の表紙を飾った彼女は見事に先祖返りをしていた。


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# by caldoverde | 2020-03-09 11:22 | シーフード | Comments(0)

海賊酒場

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左からピラタ、チーズ、生ビール、砂肝、モンゴウイカのフライ、サラダ


以前リスボンの中心部のレスタウラドーレス広場に間口の狭い小さなバールがあった。そこの名物はピラタ(海賊)という赤ワインに炭酸か何かを混ぜた、サングリアから果物を取ったような飲み物で、店の名前も同じ『ピラタ』であった。この店はかなり古くからあるらしく、外国人向けのポルトガル語の教科書の中にリスボンの伝統的な店として紹介されていた。客筋は主に労働者や退職者のおっちゃん達で、カウンターでピラタを飲む人が多かったが、教材にもなり立地的にも観光局のすぐそばなので、外国人観光客もよく来ていた。その建物は数年前丸ごと買われ、今は高級マンションになっている。


リスボンの中心部は昭和の香り?のする昔ながらの庶民的な店がどんどん減って、世界中どこにでもある洋服屋やこじゃれているが別にどうってことのない飲食店にとって代わりつつある。ダサくて安いポルトガルを愛する私としては寂しい限りであるが、海賊は生きていた。ダサくて安い昭和っぽいお店がまだ残るモラエス・ソアーレス通りに『ピラタ』は新装開店していた。


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アルミの食器がまたノスタルジック


昔の店舗はうなぎの寝床式に奥行きがあり暗い印象だったが、今は通りに面した窓を大きく取り、内装も明るくお洒落になった。しかし客筋は相変わらず地元のおっちゃん達が大勢を占めている。近くに住むMoreiaさんは既に顔馴染みであるが、私は10年ぶりだ。折しもコロナウイルスが連日ニュースを賑わせており、アジアンの我々が咳やくしゃみをしようものなら眉を顰められること必至なのだが、鈍感力に益々曇りがかかった私は周囲の視線など微塵も感じず、久しぶりに飲むピラタに舌鼓を打った。


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モンゴウイカのフライと砂肝の煮込みをつつきながら、ピラタを2杯飲んだ後、今度は別の飲み物を注文した。木の義足(ペルナ・デ・パウ)はレモンの皮で香りをつけたマルティーニに似たものだが、わざわざ名前を付けているのなら材料はポルトガルの酒(ポートワイン?)を使ったスペシャリティだろう。「海賊」も「義足」も1.50€と年金生活者にも優しい。従業員は昔ながらの白シャツに黒いズボンというスタイルで、パタパタあるいは悠々と客の注文を受ける。こういうお店に「おもてなし」など期待はしていない。安くて美味ければそれで充分!


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# by caldoverde | 2020-02-25 09:02 | 話題の店 | Comments(0)