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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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リスボンでトンカツを

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今年の日本の夏はやや涼しめで7月も終わりに近づいて、ようやくいつもの蒸し暑い気候になった。一方でヨーロッパは記録的な猛暑でパリでは嬉しくない新記録を達成した。いつもは太陽とビーチを求めて欧米人はポルトガルに来るのだが、今年は太陽から逃れるためにやってきた人達も多かっただろう。私も早い所快適なリスボンに戻りたいと思いつつも、日本の圧倒的な物や情報の種類と量に驚嘆せざるを得ない。常に新しいものが生まれ消えて行くスピードはポルトガルの比ではない。にも関わらず東京には昔の面影を残している場所もまだ有り、そのギャップが観光客には魅力的に映るのだろう。昭和の香りの漂う浅草は、日本人にも外国人にも懐かしい街だ。


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高校以来の友達と浅草の「リスボン」で待ち合わせをした。確か昔「ぴあ」を片手に青春18きっぷで仙台から6時間もかけて東京に遊びに来ていた頃から、いやそれ以前から存在していた洋食屋である。店名とポルトガルの首都との関係は不明だ。メニューはリスボンで食べられそうなものはほぼ無い。しかし昭和の雰囲気漂うレトロな佇まいは、リスボンの下町のレストランと共通するものがある。いかにも手書きのメニューや、飾り気のないインテリア、余計なBGMがないところなど。


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ハイカラな食べ物だったトンカツ、オムライス、グラタンなどは最もポピュラーな日本の家庭料理となっている。ルーツはフランスだったりイギリスだったり色々だが、ポルトガル料理が「洋食」として日本に定着したものは無いようだ。天ぷらは完全に洗練された和食になってしまったが。


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一方ポルトガルでは日本食ブームで、日本にない発想のネタや盛り付けの寿司が大受けだ。日本料理と言えば寿司(最近ようやくラーメンが進出してきた)のワンパターン気味だが、サクッと香ばしく揚げた衣からジューシーな豚肉の覗くトンカツ、じっくりほろほろになるまで肉を煮込んだカレーやビーフシチュー、甘酸っぱいチキンライスを包んだ黄金色に輝くオムライスも立派な日本の味。どれも単純そうに見えて実はバランス良く作るのは難しい料理だ。ボリュームはあるけど、姿も美しい。そこがポルトガル伝統のてんこ盛り料理と違うところ。トンカツやカレーやシチューを引き立てるのは白いご飯。美味いシャリがあってこその洋食だ。そんな日本発の西洋料理を出す店がリスボンにあったら、まだ生魚に抵抗のあるポルトガル人にも喜ばれると思うのだが…店名は「リスボン」で。


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# by caldoverde | 2019-08-01 04:21 | 話題の店 | Comments(0)
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この缶が一番かっこいい。中身は特にポルトガル名物ではない。


懐かしい友達に会うのが楽しみな帰国だけど、お土産に何を持って行こうかとまた悩ましくもある。ポルトガル土産もマンネリ化しつつあったが、最近は可愛くてお洒落な、気の利いたものが増えてきた。こんなのがあればいいのにと思っていた製品やお店もポツポツ現れた。

時々ポルトガルのサッカーチームの公式ユニフォームやグッズはどこにあるか質問されるが、それぞれのチームのオフィシャルショップは当然だがそのチームだけのしかないし、一般のスポーツ用品店だとサッカー用品だけ扱っている訳ではないので、お目当のものが100%手に入るとも限らない。もっともクリスチアーノ・ロナウドの名と背番号7の入ったシャツは、インド人の経営するお土産屋などで安く売っている。でも本物にこだわるなら、60€以上はする。オフィシャルかつもっとお手頃なお値段のものはないか…


そこに救いの神が現れた。フィゲイラ広場の Força Portugal(頑張れポルトガル) というお店は以前からあったのかもしれないが、21年住んでいてごく最近その存在に気が付いた。店舗は1階と2階で、2階のベランダに赤いユニフォームを着たロナウドのマネキンが立っている。広場に面した一階には、ポルトガルの選抜チームだけでなく、ベンフィカ、スポルティング、FCポルトの3大チームのユニフォーム、マデイラのクリロナ博物館で販売するオリジナルグッズもあれば、ばら撒き用に数を揃えられるような小物も色々ある。ロナウドの写真入り袋に入った男性用下着は親密な相手へのプレゼント又はジョーク土産になる。ロゴやパッケージがポルトガルっぽくかつオフィシャルなのが重要だ。中身はともかく。


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牛のハリボテも国旗になっている


そのお店で缶入りのクッキーを3つ買った。お土産を全部それにしても良いような値段だが、いかんせん嵩張る。丸い缶のデザインは3種類で、いずれもクリスチアーノ・ロナウドの写真。本人のサインも印刷されている。缶は紙の箱に入っており、値段の割になかなか立派に見える。1つは中学時代からの友達へ贈るつもりで、赤と緑のポルトガルの国旗をあしらったお店の紙袋にクッキーを入れ、数日間身を寄せている神奈川県厚木市の妹の家から小田急線で新宿に出て、JRに乗り換えて彼女の仕事場のある飯田橋に向かった。電車が四ツ谷駅に着いたら荷物が足りないのに気が付いた。飛行機ではほとんど寝ていなかったので、小田急でうとうとしたら既に終点の新宿駅で、慌てて降りた際に傍らに置いていた紙袋を忘れたのだ。


半ば諦めかけたものの、まだ時間があったので四ツ谷駅から新宿まで引き返し、小田急の忘れ物相談室に行って届けを出した。乗った電車はすぐに本厚木に折り返し運転したので、途中の駅で調べてくれるという。その時点では何も出てこなかったが、誰かが拾って別の駅に届ける可能性もあるので、時間をおいてまた来てみて下さいと言われた。駅員の親切な対応に満足し、また高価なものでもなかったので、拾った人が食べても構わなかった。

友達には手ぶらで会いに行って失礼したけれど、まだ2缶あるので後で送ると約束して別れた。その後は上野で妹と合流してクリムト展を鑑賞し、厚木に戻る道すがら再び小田急新宿駅の忘れ物相談室に立ち寄った。紙袋だけ届いていたりしてね、とくすくす笑いながら。


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国旗をモチーフにした紙袋


そうしたら何と、紙袋に入ったままのクッキー缶が喜多見駅に届けられてそうだ!その上新宿駅から喜多見駅までの切符、喜多見から厚木までの料金は小田急が負担してくれるとは!むしろお手数をおかけした分、余計に払っても良いくらいなのだが。改めて、日本は凄いと思った。リスボンでは何度もスリにあったり、忘れ物をしてバス会社に問い合わせた事もあったが、無くしたものは戻らないと悟った。(いくつかは戻った) 日本の忘れ物の返却率は世界でも群を抜いているのではないだろうか。ロナウドが無事返ってきて、日本の土産話を仕入れる事ができた。


# by caldoverde | 2019-07-03 21:47 | 話題の店 | Comments(4)
セン・マネイラス (百の方法)という店名が示す通り、ポルトガルの食材を使いながらポルトガル人にはない発想の組み合わせや盛り付けが、ボスニア人シェフ、Ljubomir Stanisic(すみません、読み方が…)の強みであろう。

彼の綴る歴史の第二章は、ヒメジから始まる。

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香ばしく焼き目を入れプリッとしたヒメジにお出汁をかけた和テイストの一品。

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とろけるような鱈の舌をふんわりムース状のサリのクリームソースが覆い、隠れているマカダミアナッツのスライスが時おり歯に快いリズムを刻む。

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小さな片手鍋に入っているのは細い筋状に煮込んだ牛肉とネギ。木の器はフライドオニオン。白い石の容器はトリュフやブルーチーズのような香りのするソース。これをパンケーキにのせて食べる。

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小さいけどズシッとくる。
いよいよ終章。

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和風の器に、吹き寄せの様にそれぞれ違う味の5色の煎餅が重なりあう。一枚一枚なんの味だろうと少しづつ食べて広げていくと、中からワインゼリーを散らしたフォアグラが。

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締めくくりのデザートは、さっぱりとしたマンジェリカン(バジルの一種)のシャーベットと、

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アーモンドミルクのシャーベット。

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いよいよ最後は地球儀に入った何か。

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4つの材料でできた石の形のお菓子。表面は手に取るとすぐ溶けるほど薄いチョコレートで、中身は不思議な味と香りの濃厚なクリーム。

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食後のコーヒーには、中東風のナッツのシロップ漬けのような激甘のお菓子がお供に。

普段はオヤジ系大衆食堂でお一人様を満喫する私だが、仲間と一緒にこれは何だろう、こんな調理法や盛り付けもあるんだね、などと話しながら食べるのは新鮮だった。エレガントな店では静かに食べないと顰蹙ものだが、ここでは8人がけの大きなテーブルに3組相席で、後から来たお客さんの反応をチラ見したり、聞き逃した料理の説明をまた聞けたりと、リラックスした雰囲気が魅力だ。ドレスコードも厳しくない。隣のカップルの男性は緑色のジャージの上着だった。(ブランド物かもしれないが) 
また大きな特徴は、ナイフで切るような料理が出ないこと。フォークとスプーン、または箸か指を使って食べるものばかり。スタッフもフレンドリーで、英語で接客できる。
最近はリスボンが世界一の観光都市になったとも聞いているが、カジュアルに一流の味を楽しめるという要素も貢献しているのだろう。


# by caldoverde | 2019-06-16 22:38 | 話題の店 | Comments(0)
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グローバルな、あるいは無国籍を象徴?器も凝っています


日本からかつての仕事仲間がポルトガルにやって来た。現役または元調理師である彼らはミシュラン級の店で食べたいというご希望で、バイロ・アルトのレストラン「100 Maneiras」(百の方法)でのディナーにご招待された。たまたま3日前に予約できたが、ディナーは土曜日だったので少し出遅れていたら入れなかった可能性大であった。有名レストランは一ヶ月先まで予約で埋まっている場合も多く、どうしてもここで、という希望のお店があれば、早めの予約が推奨される。予約の確認とともに、アレルギーの有無も問われる。様々な食材を使うので、万全を期してということだろう。


料理は「ヒストリー」と題されたコース。なんと17品もの料理が供される。シェフはボスニア人で、故郷からポルトガルに移住し料理人として働き成功を掴むまでのストーリーを料理というキャンバスに託したのだろうか。あるいは中東の影響を受けた東ヨーロッパと、大航海時代に既に世界中に拠点を置き様々な文化を吸収してきたポルトガルの歴史を皿に表現したのか。百聞は一見に如かず。百見は一口に如かずかもしれないが、写真から繊細で複雑な味、香り、舌触りや歯ごたえをご想像あれ。


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歴史の表紙を飾るのは、焼きたてのパンに、パテ、ミルクを煮詰めたペースト、溶かしバター、薫製肉、茄子のペーストをつけて。皆ボスニアの食べ物らしい。

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ポルトガルの代表的なシーフードの一つ、亀の手。枡に入っているのは飾りで、食べるのは一つだけだが、磯の香りが口の中で束になってかかってくる。

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カリッと香ばしい海老の頭

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ロシア料理でもよく使われるビーツ。中にはコリアンダーの香るクリームチーズが仕込まれている。

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細長いクッキーの中身はポテトのムース、両端に細く裂いた豚肉を詰め、パプリカの粉を振り、薫り高い葉巻タバコを再現。

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小さな木のスプーンに盛った甘エビはコリアンダーの花と何かの煎餅?を載せて可憐に。ここまでが「前書き」。


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「序章」は赤い粒胡椒のベッドに寝ているサラダ。チコリのボートにトリュフやパルメザンチーズなどで味付けしたソースがたっぷりと。


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「第一章」はアスパラガスで始まる。焼き加減が絶妙で、食べた後は器の端を口に持っていき、ソースをいただく。

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アジのお造り。魚もソースもほんのわずかなのに、味がギュッと詰まっていて、白いご飯が欲しくなるほど。

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薄く切った大根の下には5色のムースが隠れている。周りはアーモンドのソース。

第二章に続く。

# by caldoverde | 2019-06-16 20:33 | 話題の店 | Comments(0)
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アズレージョの美しいヴィラ・フランカ駅


リスボンから電車で30分の田舎町、ヴィラ・フランカ・デ・シーラでは毎年7月に「赤いチョッキの祭り」が開催される。この町のあるリバテージョ地方は闘牛の盛んな土地で、赤いチョッキとはカンピーノと呼ばれる牛飼いの着る民族衣装の一部をなすものである。様々なイヴェントが行われるが、特に重要なのはやはり闘牛で、夜に闘牛場で行われるものと、日中に町中に牛を放すストリート闘牛がある。今年は同じリバテージョ地方のトマールで四年に一度の「タブレイロスの祭り」も同時期に開催されるので、2つの重要なお祭りをいっぺんに見られる又とないチャンスとなる。日本からの観光客も見込まれるので、その下見を兼ねて、旅行会社の責任者であるJOJOさんと同町で5月の初めに行われる「闘牛同好会祭り」でその雰囲気を味わってみた。


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女性闘牛士もいます


ヴィラ・フランカの駅前はのどかな田舎町の佇まい。線路の向こうにはテージョ河と大きな中洲が広がる。こんな小さな町に(今はリスボンのベッドタウンとして人口が急増しているが)50以上ものテルトゥリア(サークル、同好会)があるそうだ。活動内容は全て闘牛に関する懇談である。「同好会祭り」では闘牛場に展示コーナーが設けられ、それぞれの同好会のメンバーの写真や活動を紹介している。中にはチラシを作っている同好会もある。リスボンからわずか30分の距離に、バリバリの伝統を大切に守り、自分たちのアイデンティティとしている所がまだあるとは意外であった。広報担当は女性で、本当に誇らしげに自分たちの伝統を説明してくれた。


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たてがみも結い上げて出陣を待つ


彼女の案内で、一般人には立ち入り不可の闘牛場内の牛や馬の控え室を見せてもらった。闘牛は気性が荒く、また夜に行われる競技を控えてナーバスになっている。刺激しないよう牛舎の天井の鉄板の上をそろりそろりと歩き、細い隙間から黒い塊がうごめくのを覗いた。別の牛舎には六頭の白と茶の牛がまとめて容れられている。この白茶の牛たちは、闘いを終えた闘牛がリングから退場する時に誘導する役割を持つ。傷付き興奮している闘牛の周りを取り囲み、出口に導く。赤いチョッキを着た牛飼いが、この牛たちを訓練するのである。


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競技の後は手当を受け、中には種牛として長寿を全うするものも


また厩舎では十頭くらいの馬がブラシをかけられていたり、出陣前の準備をしている様子を見せてもらった。通常は関係者以外は入れないエリアで、ここに入れるのは大変な名誉であると案内の女性は強調した。ポルトガル闘牛では、牛を仕留める(殺してはいけない)事ではなく、牛の至近距離まで近づいて銛を刺し、全力で追いかける牛を巧みにかわしながら逃げ切る、馬術が重要である。だから闘牛士は騎士(カヴァリェイロ)と呼ばれる。まるでダンスを踊っているように、前後左右と軽やかなステップで牛を撹乱し、急発進、急停止して、今にも牛の角で突かれそうになりながら、リングをギリギリに走る様子は、人馬が一体となったケンタウロスが華麗に牛を翻弄するがごとく。またそれぞれの馬には得意分野があり、カヴァリェイロは長さや形状が違う6本の銛で牛を攻撃し、何番目の銛にはこの馬をという風に何頭かの馬を使い分ける。


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美技にはブラスバンドがファンファーレを送る


この日はヴィラ・フランカ・デ・シーラ市のプロモートするワインの試飲もあった。2017年に収穫された葡萄で作られた白2種類と赤1種類がデビューした。テージョ河と鉄橋をイメージに使ったラベルのワインはボディがあり、重めの食事にもよく合いそうだ。町の広報のご厚意により、仮設のレストランで昼食をご馳走になった。モンゴウイカと豆の煮込み、豚肉のシュラスコ、鶏肉のリゾットと3本のワイン(試飲で既に減ってはいたが)を女二人で平らげた。この地方はテージョ河を下る船がリスボンに食糧を運んでいた農業地帯なので、市場が開いていれば、新鮮な肉や野菜や果物が沢山並んでいるはず。今度来るときは、地元の人の闘牛談義に耳を傾けながら闘牛か誘導役の白茶牛(とても美味いそうだ)のステーキを賞味したいものだ。


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豚の丸焼きの薄切り

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鶏肉と米をワインと鶏の血で煮たリゾット

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「だるまさんがころんだ」に似ているペガ(抑え込み)競技

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5〜600kgの牛を8人がかりで素手で抑え込む



# by caldoverde | 2019-05-10 23:54 | カルチャー | Comments(0)