阿蘇列島旅日記4 フローレス島・コルヴォ島篇4 海からのフローレス島周遊
2010年 07月 20日
おそらく何度見ても新鮮な驚きを喚起するアソーレスの自然、特にフローレス島は風向きや潮の流れによって様々な雲が島を覆い、雨や霧を降らせ、虹をかけ、嵐を呼び、雨は滝となって島のふちから海に注ぎ、1日たりとも同じ姿ではないそうだ。夏と冬ではカルデラ湖に貯まる水の量や目に見える滝の数も違ってくる。
島の沿岸にはたくさんの洞窟がある。海賊が財宝を隠していた穴もきっとあるに違いない。
人も船も容易に近づけない崖っぷちには島民がアメリカに密入国するのに使っていた小さな家の廃墟がある。19世紀にアメリカの捕鯨船がアソーレスの漁師をリクルートし、多くの島民がアメリカやカナダに渡っていった。また滝をそのまま利用した水力発電所もある。ポルトガルで水力発電所の計画が持ち上がると、周辺の自然やコミュニティの破壊が問題になるが、ここでは自然とエネルギーの供給が程よく共存できている。精神修養を求める人には滝に打たれて修行する場にも事欠かない。
島の西側にヨーロッパ共同体のテリトリーの最西端に当たる、モンシック島という岩礁がある。大波に飲み込まれそうな小さな無人島、ヨーロッパはここで尽きる。
お昼は「鱈の井戸」という面白い名前の滝のそばにあるレストランで食事。店がスズキの塩焼きを準備している間、海風で冷えた体を温めるためバーで食前酒を立ち飲みした。バーにはアソーレス産リキュールの桑の実とパッションフルーツの2種類があり、パッションフルーツの方を注文した。スイス人の旦那さんは「ウィスキー?」と目を丸くしていたが、他の人たちも次々と同じものを注文し始め、甘いお酒に皆うっとりと目を細めていた。
クルーズは午後3時ごろ終り、ホテルに帰った後、20分ほど歩いたところにある海浜プールに出かけた。黒い溶岩が海に流れて固まった荒磯にコンクリートを敷いて作ったプールはフローレスのみならず、アソーレスの各島々にある人気観光スポットだ。潮の流れに身を任せながら魚と一緒に海水浴を楽しめる。付近には鮮やかな黄色と赤のグラジオラスが咲いていた。
超平凡なホテルの夕食メニューに業を煮やした熟女4人組は、会議の結果、ホテルの夕食を放棄し隣のホテルのレストランで島の名物料理を食べようという結論に達した。私やポルトの女性、退職した夫婦も異論はなかった。前菜がウサギの唐揚げ。昨日の島内観光では可愛い野ウサギをたくさん見たが、こんな姿で再会するとは。肉は脂肪が少なく鶏のささ身のような魚のようなあっさりした味で、かすかに草の香りがする。
メインはペイシェ・ポルコ(豚魚)と呼ばれるカワハギの仲間の天ぷらである。これは今回の旅で食べたものの中で一番美味しかった。リスボンでも大きなスーパーで売っているそうだが、私の近所のスーパーや市場では見た事はなかった。
これでデザートが島の牛乳から作られるアイスクリームなら最高なのだが、残念ながら大メーカーの量産品だった。ポルトガルの牛乳やバターの大半はアソーレス産である。ならばアソーレス産のアイスやソフトクリームがあってもいいはずだ。100%国産の、添加物なしのアイスクリームを作ろうと思えば可能なはずなのだが。翌日ホテルの近くの小さなスーパーの冷凍庫に数キロはありそうな業務用の手作りっぽいアイスクリームを発見した。量が量だけに持ち帰るわけにもいかず、幻のアイスとなった。ぜひ1人分の容器に詰めて売ってほしい。
naraba様、ぜひもう一度本場のポルトガル料理を食べにいらしてください。
ちゅんちさん。仰せの通り、カンナでした。実は自信がなかったのでアップの写真を使わなかったのですが、やっぱりばれたか。