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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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世界の最果てで阿呆と叫ぶ その2

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遂にヨーロッパ最南端まで自転車で到達!最後の6kmだけですが

 昨夜のレストランも泊まったホテルも客の姿はほとんど見えず、シーズンオフの観光地の寂寥感がひしひしと伝わるが、秋冬の荒涼たるたたずまいにこそアルガルヴェの本来の魅力があると思う。アフリカからの風に吹きさらされ、石がゴロゴロと転がり、ほとんど耕作不可能な荒地に立ったエンリケ航海王子は、水平線の彼方に、アフリカのどこかにあるはずのキリスト教国を捜し求めていた。
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宿泊客は私を含め3人しかいなかったようだ

 2日目は爽やかな秋空の絶好のポタリング(自転車でぶらぶら散歩する)日和となった。大変な思いをして自転車を持ってきた苦労は報われた。サグレス岬は海面から垂直に切り立ったテーブル状の平らな半島で、起伏はほとんどない。道路はきれいに舗装されていて、観光シーズンが過ぎた10月の終りは交通量も少なく、車からどやされることもなく、非常に走りやすい。しかし国道から分かれたサグレス岬に向かう一本道は粗い石畳なので、街乗り用として作られているブロンプトンには過酷な条件であり、ポルトガルの輪行にはやはりタイヤの太いマウンテンバイクが適している。
 それでも道端の草や海を眺めながらのんびりペダルをこぐのは何と気持ちの良いことか。ちょっと気になるものが視界に入ったら止まって眺めたり、写真を撮ったりしながら、ぶらぶらと海岸や港、住宅地を散歩した。
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枯れた草にはびっしりカタツムリ
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 サグレス岬は地図では爪先立った足のような形をしている。足首の靴下のゴムにあたる部分に古い城壁が残っており、そこから先は入場料を払って入る。城壁の内側の岬には「風のバラ」と呼ばれる羅針盤、教会、火薬庫、エンリケ航海王子の時代に作られた水をくみ上げるための小さな石造りの塔などの古い小さな建物の他に、モダンな建物の売店やカフェ、資料展示館などがある。昔は岬が一つの城砦だったらしいが、岬をぐるりと囲む城壁は海に崩落したのだそうだ。この岬にはエンリケ航海王子が優れた科学者を集め航海学校を作ったという伝説があるが、人が住めるような場所ではなかったので、実際に学校のようなものがあったのはラゴスだったと言われている。
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岬の先端にある謎の建造物の中心には深い穴が金網で塞いであった

 高さが海抜50mに達する断崖絶壁の上はテーブル台地。海岸線は大西洋の荒波が削り、どんどん浸食されていく。現在は周囲をコンクリートの塀で防御しているが、いつかは崩れ落ちることだろう。そして何百年後か何千年後かには岬は小さな島になり、やがて荒波の中に消えてしまうのだろう。

 そう考えただけでザワザワするのに、ここではさらに恐ろしいことが行われている。漁師たちが塀の外の崖っぷちで釣をしている。やっと立っていられるような狭い足場で50メートル下の海面に釣り糸をたれている。もし強い風が吹いたら、大きな魚に引っ張られてバランスを崩したら、すぐそばでカメラを構えている観光客がこっちを向いてくれと頼んだりしたら、私がでっかいくしゃみをしたら、漁師は海の藻屑となる。しかし中には悠然と鼻歌を歌ったり、ワインを飲みながら仕事をしている漁師もいる。
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タバコを吸いながら50m下を覗き込む釣人
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この道何十年の漁師は命綱もつけず崖の淵に立つ
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魚を狙って猫が漁師を襲う?!

 サグレス岬から北西にはサン・ヴィセンテ灯台が見える。海岸線に沿って真っ直ぐに灯台に向かってのびる国道268号線は、とても気持ちのよいサイクリングコース。途中数軒のレストランがあるほかは見晴らしの良い荒野が続く。初夏は可憐なアルメリアの花も秋は茶色のいがぐり坊主。
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 灯台の近くには屋台が並びホットドッグやみやげ物を売っているが、ポルトガルの物産品の店はひとつだけ、それもいつ仕入れたのか判らないような干しアンズや干しイチジクとか、割れそうな器に入った蜂蜜とか、不ぞろいのオレンジとか、どうも買う気の起こらないものばかり並べた屋台だ。売り物の中に干からびたような大きな黒いサヤの豆があったが、これが昨夜食べたデザートの材料のキャロブ豆で、屋台の歯のないおじいさんは豆を一つポキッと折って食べてみろと差し出した。埃っぽい屋台の、洗わない手で差し出された洗われていない豆を食べるのに一瞬躊躇したが、噛むとほんのりと自然の甘みが口に広がった。
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岬のカフェにもキャロブが飾られていた

 サグレス岬を望む小さなビーチのレストランで遅い昼食をとった。エイのニンニク煮とビールを注文した。茹でたエイとジャガイモにたっぷりのニンニクとオリーブオイルで味付けしただけのシンプルな料理だが、エイが新鮮で、淡白でとろりとした味わいがとても上品。軟骨もコリコリとした歯ごたえが楽しい。オリーブオイルがもっと上等だったら更に良かった。
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 日没が近づき、岬の根本にある岩場に囲まれた小さなビーチで夕日を鑑賞した。ヨーロッパの最南端に沈む太陽で黄金に染まる海。古代ローマ人は燃え盛る太陽の火はこの海に落ちて鎮められると考えていた。
 これで昨日のカタキはとった。
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Commented by momoji at 2010-11-05 10:33
Boa tarde !(←あっていますか?)
pinkの自転車が本当に可愛いですね★

初めてコメントさせていただきますmomojiと申します。
ブログ、楽しく拝見させていただいています。
10月に初めてポルトガルを訪ねました。
学生時代にファドを聴いて心を打たれて以来、いつか必ず行ってみようと思っていながら、数々の寄り道?を重ねやっとたどり着きました。
そして期待以上に気に入ってしまってまた絶対に行こうと思っているところです。
渡葡にあたり、caldoverdeさんのブログのSweetsやお食事記事はプリントして持って行きました。
ツアーでしたが、お勧めのお菓子やポルトガル名物のお料理はかなり頂けました。
ブログにもあったとおり、ツアーの食事ですら満足度の高いものでした。
お目当てだったファドも堪能、こんなにうっとりした時間を持てたのはいつ以来でしょう。
今度は南のほうへも行って見たいです。引き続きcaldoverdeさんのブログを楽しみにしています!

それでは良い週末を♪
Commented by caldoverde at 2010-11-05 18:50
駄ブログがお役に立てて嬉しいです。ぜひポルトガルの美味しさをお友達にお伝え下さい。南のアレンテージョ地方や北のミーニョ地方も良いですよ。景色も食べ物も人も素朴で、きっとハマると思います!
Commented by おっちゃん at 2010-11-06 16:56
ホントに自転車を抱えて行ったのね、あなたはエラい。苦労のかいあって、大西洋の潮の香が漂ってくるような素敵なレポートですね。
Commented by momoji at 2010-11-09 08:35
コニンブリガのローマ遺跡を歩いていると、まさにこのブログにある写真の通り、カタツムリが草にも地面にもびっしりといました。踏まずに歩くことは不可能な状態で、殺生を詫びながら歩きました。それにしてもなぜこんなにたくさん!?
帰国後、NHKのアレンテージョ地方を特集した旅番組で、茹でた(?)カタツムリを食べているのをみたのですが、エスカルゴと違って角がちゃんと出たまま料理されていて、視覚的に手を出しにくいお料理かな?と思いましたが、今度は是非チャレンジしてみたいです。美味しいのかなぁ。。。
Commented by caldoverde at 2010-11-09 09:05
カタツムリに関しては2007年5月の日記にも取り上げていますので、よろしければそちらもご覧下さい。
Commented by momoji at 2010-11-09 09:14
ありがとう御座います!
素晴らしい体験レポート、今読ませていただきました。
ただ茹でただけ?炒めただけ?と思っていたお料理が、小麦粉を食べさせるところから始まるだなんて・・・。実はとても手間のかかるお料理だったのですね。こうなると俄然、トライしてみたくなりました。
by caldoverde | 2010-11-05 09:28 | ポルトガルの旅 | Comments(6)