ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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オリャオンの白い島

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クラトラ島からオリャオンの町を望む

 アルガルヴェのオリャオンという町は元は貧しい漁村で、貧乏で結婚できない男たちは娼婦を買っていた。また女性はおそらくそれでしか稼ぐ手段がなかった。「このドアはsim(yes)、このドアはnão(no)」という表現は、オリャオンの至る所で買春が行われていたことを意味するそうだ。
 漁師と娼婦の出会いの場として使われていたバールに、初めて「普通の主婦」が足を踏み入れたのが、この町に17年住む日本人の青目海さん。サッカーチームのマフラーやポスターでデコレーションされ、テレビは試合の中継を流し、カウンターの奥にワインの樽があってその蛇口からコップにワインを注ぐ、ポルトガルのごく普通の居酒屋だが、この店に出入りする女性は娼婦と決まっていた。そのせいで青目海さんに絶交を言い渡した友人もいたそうだ。
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 しかし往々にしてこのような店は安くてうまい。この日のメニューは小イカの煮物で、日本人にとっては正に居酒屋料理。生ハムとチーズの盛り合わせはとても2人では食べきれない量で、お持ち帰りとなった。ワインも飲んで2人で10ユーロというのはリスボンではけっして高くないが、ここでは青目さんのご主人が「とうとうあの店もぼるようになったか」と苦笑した値段である。
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 海沿いの通りにはシーフードレストランがずらりと並んでいるが、青目海さんは美味しい店は1軒もないと断言する。彼女の ご主人は漁船員で、お二人とも魚の鮮度には厳しいが、魚の見たての判らない私の目から見ても確かに生きのいいものはない。アルガルヴェはヨーロッパの移住者が多く、本当の魚の味を知らない外国人ばかりなのでこのような商売が成り立つ。またこれらの店はマフィアが取り仕切っており、一軒だけ新鮮な魚を出す店があったが、マフィアの配下でなかったので続けることができなかったそうだ。従ってオリャオンの町で旨いものを食べるなら件の酒場とか一般家庭となる。青目海さんの家でご馳走になったヒメジとラタトゥイユのオーブン焼きは、その辺のレストランよりもよっぽど洗練された手の込んだ料理であった。
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 オリャオンには砂が堆積した細長い島があり、淡いベージュの長大な砂浜に囲まれている。島には漁師たちが作業用の小屋を作りそこに定住してできたクラトラ島、もう一つは島の端の灯台の付近に別荘が集まったファロル(灯台)島という2つの集落がある。どちらの村も「島」と呼ばれているので、昔は2つの島に分かれていたのかもしれない。オリャオンと2つの村を結ぶフェリーで、まずファロル島に行ってみた。そこで唯一営業していたレストランでマテ貝のソテーと白ワインを注文した。ニンニクとコリアンダーで風味をつけたマテ貝は汁もパンにつけて食べるとこれまた美味しい。値段は小さな皿で10ユーロと、まあ観光地値段である。請求書には食べていないオリーブやバターの値段が入っていたので訂正してもらった。観光地ではありがちなことである。
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 食後の運動がてら大西洋と地中海を結ぶ砂浜を30分程歩いて、漁師村のクラトラに向かった。さらさらの白い砂の海岸でたった一人働いていたのは赤いビニールの合羽をきた漁師で、様々な種類の貝からコンキーリャという白くて平べったい小さな貝を選別していた。この貝は味が良く値段も高いが、売れる程の量を集めるのはかなりの時間と忍耐が要りそうだ。
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 小さな倹しい家の集まったクラトラには意外なことに小学校や公民館もあり、地域のルーツを誇り後世に伝えようとする気概が感じられる。独裁政権時代、女に教育は不要という当時の政策に反発し、あるお金持ちの女性が密かに村人に読み書きを教えていたので、この島の女性の識字率は群を抜いて高かったそうだ。
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 ポルトガルの女流画家マルーダはオリャオンを白い矩形の家と青い空の対比の美しいエキゾチックな町として描いたが、実際のオリャオンは、売りに出されている朽ちかけた家が多い一方で、バブリーなマンションが建ち並び、漁港なのに海沿いのレストランは不味いというアンバランスな現況だ。物価の安さや気候の快適さ、自然公園にもなっている島のビーチの美しさに惹かれてやってくる移住者や観光客はお金を落とすかもしれないけど、町をより良く美しくするのに貢献しているとは思えない。残念ながら…
Commented by おっちゃん at 2013-04-11 08:34 x
世間は広いですね。人それぞれドラマがあるんだねえ。地元の人からみたら、怪しい日本人でしたね。(苦笑)
Commented by caldoverde at 2013-04-11 12:09
私もリスボンでおしゃれな店だなあと入った所がゲイ関連の専門店だったり、友達(女)とバルセロナで泊まった所がゲイカップル向けのホテルだった、という事がありました。ひと気のない砂浜も後から危ないと注意されましたが、知らないと怖いものはないですね。
Commented by Moreia at 2013-04-14 06:12 x
ああ、今週だったらクラトラで泳げたんでしょうねえ。リスボンから行くと、アルガルヴェはモロッコの延長に見えます、土も赤いし。島の小さな家たちはそれぞれ凝った飾りがついてて、面白いね。このおじさんの壁かけ、やっぱり目にとまりましたかwww
Commented by caldoverde at 2013-04-15 01:58
小さな手作りっぽい家を見ると、漁師が町からセメントや材木を少しづつ船で運んで作ったんだろうなあと想像します。クラトラの人々は自分たちの村が大好きで、村から出たことのないお年寄りもいるそうです。バールが沢山あって、1家族に1軒の割合でバールがあるとも。
Commented by pato at 2013-04-15 05:23 x
あああ、私も旅行に仕事以外で行きたい!けど
翼の在る子供たちが居るので難しいなぁ。
Commented by caldoverde at 2013-04-16 02:34
旅行と言っても騒音からの逃亡の旅ですので…最後に泊まったホテルでは2つ上の階のバーでライブがあって、歌や椅子の引きずる音や会話が夜12時過ぎまで聞こえ、リスボンのアパートと同じことでした。
by caldoverde | 2013-04-10 00:04 | ポルトガルの旅 | Comments(6)