カルニーデのネクタイ酒房
2013年 08月 30日
以前タコと栗を食べたあの地区は100年前の田舎町を都会のど真ん中に巧妙に再現したテーマパークのようだ。広場を中心に何件ものレストランが集まっているので、リスボン料理(と言うカテゴリーはあまり聞かないが)のテーマパークであるともいえる。今回はタコと栗の店ではなく、もう少し奥に入ったところにある「Adega das Gravatas」(ネクタイ酒房)という名のグリルレストランである。日替わりメニューの鴨が美味しかった、石焼ステーキの量が半端じゃないという体験者の生の声を聞けば、期待はますます高まる。
その名の通り、店内の木の梁には無数のネクタイがぶら下がっている。1908年、炭火焼を得意とする居酒屋としてスタートしたこの店では、1940年ごろからお客さんがこう書いたネクタイを置いていくようになった。「この店に入るならネクタイをここに置いていけ。ここで飲むワインは人生(生活)を安くあげる」
その安さと旨さはビジネスマンの間にも知られることとなり、カラフになみなみ注がれる自家製ワインやじゅうじゅうという音とともに運ばれてくる巨大な肉や魚に瞠目した彼らは、絹のネクタイをかなぐり捨て、自らの限界に挑戦したのであろう。満足した彼らはネクタイを店に寄贈し、現在3000本を超えるネクタイのコレクションに発展した。
前菜にもうモンゴウイカのフライが出ている。軽い食事ならこれだけでいいくらいの塊である。4人で魚と肉を1品ずつ頼んでシェアすることにした。魚はカンタリルというカサゴか金目鯛のような赤い大きな魚の炭火焼、肉は豚の骨付きあばら肉にたっぷりソースがかかったものを選んだ。
鮮やかな赤の体に大きな金色の目のカンタリルは、スーパーや市場で見ると買おうか買うまいか迷った末、アパートに魚焼きグリルがないので諦めていた魚で、レストランのメニューにも見たことがなく、私にとっては憧れで、かつ幻の魚でもあった。淡白だが適度に脂がのっていて大変に美味。今まで食べた魚の中でも最もおいしい部類に入る。1匹で2人前だが、いつか体調を整えて丸ごと1匹チャレンジしたい。
豚肉もかなりの厚みがあり骨をすっかり取り去ったとしても相当なボリュームとなる。ポルトガル料理にしては珍しく濃厚なソースがかかっていてコテコテだ。付け合わせはサツマイモで、これがまたねっとり甘い。
7時半に来た時はガラガラだった店内もいつの間にか満席になっている。昼は他の地区からわざわざやって来る勤め人でいっぱいになるそうだ。
デザートはセミフレッドのチョコレートソース、シュークリームにチョコレートをかけたもの、カボチャのムース。どれも巨大な上にクリームがたっぷり使われていて、ダイエットをするならしてみろとあざ笑うかのように甘いのだ。
肝心の独女セーフガードに関しては特に具体的な話にまでは発展しなかったが、誰かがまた「カルニーデで食べよう」と言い出せば、それで十分安否確認になるはずだ。
なんだか、最近の私はそんなんばっかりだけど。
でも、明日釣りに行くのでしばらくは外食できそうに無い。
お魚要りますか?
多いから二人で行っても一皿しか食べれないもんねぇ。
少し人数そろえてまた行こう!ということで私の9月17日
現在の生存通知とさせていただきます。