ギリシャカフェ
2015年 03月 06日
ギリシャの首相が、スペインとポルトガルがつるんでギリシャ政府の転覆を図っていると非難したというニュースに、なんだそりゃ?と思ったのは、スペイン、ポルトガルの国民ばかりではあるまい。ギリシャの攻撃の矛先は主に最大債権国のドイツに向けられていたが、意表をつく方向転換だ。
どちらかと言えば、ポルトガルは同じ借金大国として、互いにあるシンパシーを感じていたと思う。ところが劣等生仲間だと信じていたポルトガルが、頑張って借金を返す目処を示し、今まで下に見ていた友達に追い抜かれて裏切られたと逆ギレしたギリシャが、トンデモイベリア枢軸陰謀説を展開し始めた。
スペインの首相ははっきりと不快感を表明したが、ポルトガルのコエーリョ首相はどうも歯切れが悪い。コエーリョさんはタイミングが悪いことに過去の社会保険や税金の滞納がバレて、野党から突かれている。
誰も物凄く高い税金や社会保険料など払いたくない。しかしそれを実行しているのがギリシャ人で、その結果が今のギリシャである。ポルトガルの首相がギリシャに強く反論したら、お前こそ払ってなかったくせにと言われる可能性もあるから、慎重になっているのだろうか。
ギリシャと言えば、最近のマイブームはギリシャヨーグルト。各乳製品メーカーやスーパーが色んな種類のギリシャヨーグルトを作っているが、一番安いスーパーのホワイトブランドの無糖タイプにポルトガル産のオレンジの蜂蜜を混ぜて食べるのが好きだ。今まで食べたもので一番美味しいと思ったのは、アソーレス産のバナナソース入りの加糖タイプだが、遠くアソーレス諸島から空輸されるので、毎日食べるにはちょっと高い。
ギリシャも産地指定や商標登録の制度を利用し、他国で作られたものはギリシャヨーグルトと呼ぶのを禁止し、どうしてもそう名乗りたければ、名称使用料を徴収すると良い。そうすればすぐに赤字財政を解消できるはずだ。
リスボンの地下鉄アラメーダ駅の近くにサントリーニ・コーフィーというギリシャカフェがあるのを知り、ギリシャの財政支援のために行ってみた。オーナーはギリシャに魅せられたポルトガル人の元銀行員。外から見ると暗くて見逃しそうになるが、中に入ると陽光溢れるギリシャの島々をイメージした白とターコイズブルーの、花や写真で彩られた明るいインテリアである。
まず前菜にドルマダキアというギリシャちまき。ご飯を葡萄の葉で包み、オリーブオイルに漬けたもの。ご飯は酸味があってさっぱりしている。
ディナーだと12€前後のメインディシュが、ランチタイムは何と5,15€で食べられる。この日食べたのは、牛・豚・鶏肉を紙で包んで焼いたもの。ポルトガル料理では、コジード・ア・ポルトゲーザが、色々な種類の肉を使うが、他にこのような組み合わせの料理があるかどうかは知らない。3種の肉に、人参・ポロ葱・ジャガイモ・ピメントを加えて、ドボドボとオリーブオイルを注ぎ、その表面を覆うほど乾燥ハーブをふりかけ、紙とアルミホイルで包み、オーブンで焼いたものと思われる。とにかくオリーブオイルの使い方が半端じゃない。香草もポルトガル料理で使われる数倍の量だ。オイルの中に肉や野菜が浮かんだ状態なので、美味しいが油っこい事この上ない。さっきのギリシャちまきを口直しにとっておけば良かった。
デザートは、もちろんギリシャヨーグルト。イチジクのコンポートと蜂蜜を添えたヨーグルトは、マイルドな酸味と甘みでメインのギトギト感を払拭してくれた。他には糸状の飴でできたトルコ風のスイーツもある。
ギリシャ料理もポルトガル料理も地中海料理の仲間だが、ギリシャは長い間オスマントルコの支配を受けていたため、料理にもアラブの影響が見られる。エキゾチックなギリシャ料理を手頃な値段で味わうならサントリーニ・カフェでランチを。突発的なストライキやデモに遭うこともなくエーゲ海の雰囲気を感じることができる。