ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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阿蘇列島旅日記 遂に登場!アソーレスツアー

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ファイアル島から見たピコ島の勇姿

遂にこの秋日本とポルトガルを結ぶチャーター機が飛ぶことになった。今まで何万人の日本人がポルトガルは遠いと嘆いていたことだろう。東京からリスボンに昼過ぎに到着、しかもアソーレス諸島も訪れるツアーができるとは‼︎ 

リスボンに2泊、アソーレスのファイアル島2泊、サンミゲル島2泊、ポルト2泊という、珍しい行程で、更にピコ島の日帰り観光も入るという、アソーレス大好き人間の私にとっては夢のような旅だ。今回はツアーガイドとして行くので責任重大である。


飛行機からファイアル島に近づくと、どうしても隣のピコ島に眼が釘付けになる。ポルトガルの最高峰でもあるピコ島は、雲海の中に尖った山頂を見せて旅人を歓迎する。特に日本人にとっては感動的な光景だ。ファイアル島のオルタ空港では若いベルギー人のガイドのマリーさんがお迎えに来ていた。彼女は半年祖国の旅行代理店のオフィスで働き、半年オルタでガイドをするという素敵な生活を送っている。オルタに住むようになってたった4年だそうだが、歴史や地理に精通しているばかりではなく、島民にもかなり顔がきくようである。私が個人でアソーレスに行くときは英語のガイドブックとタクシーの運転手を頼りにしていたが、次回からは島のガイドさんを依頼するのも視野に入れようと思う。


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世界中のヨットマンが集まるオルタ港

ファイアル島に着いたのは月曜日の午後で、定休日にもかかわらずフラメンゴ地区の植物園はほぼ地球の裏側からやって来た私たちのために開けてくれた。入ると懐かしい湿った土の匂いがする。リスボンでは嗅ぐことのない匂いだ。学芸員から聞くアソーレス諸島の固有種や人間が島に持ち込んだ植物の話は興味深く、花の沢山咲く時期にぜひまた訪れたいと思った。またここには最近発見された世界に2株しかない新種を含む素晴らしい蘭のコレクションがあり、蘭の愛好家には必見だ。

ファイアル島中央のカルデイラ(火山盆地)には固有植物80種のうち50種があり自然保護区になっている。許可を得て専門のガイド同伴でないと入れないので、機会があればぜひ行って見たい。


翌日はホエールウオッチングを兼ねたボートでピコ島に渡り、捕鯨博物館と世界遺産のワイナリーを見学というプログラムだ。船を操縦するのはファイアル島に知らない人はないという島の有名人、ノルベルト船長である。ヒッピーがそのまま年取ったような、海賊のような風貌の船長は、ファイアルを捕鯨の島からホエールウオッチングの島へと転換させた立役者だ。船長は他の船と連携しながら鯨のいる場所を探し当て、私達はマッコウクジラの潮吹きと水上に飛び出した尻尾を2回も見ることができた。マイルカやマダライルカがシンクロ水泳のように2頭一緒に海面に顔を出してはくるりと潜ったり、船と競争するかのように一緒に泳ぐのを見るのも愉快だ。


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クジラやイルカを撮るには良いカメラと腕が必要なので、停止中の船しか取れず

ポルトガルはかつてマッコウクジラを捕って鯨油や肥料を作っていた。日本の捕鯨と異なるのは食用目的でない事と、手漕ぎのボートから手で投げる槍で仕留めるという伝統的な手法で行われた事だ。今は捕鯨博物館となった鯨加工場の前に立つ鯨捕りの彫像には、地球上最大の動物に原始的な道具で立ち向かっていたアソーレスの男たちの勇気がしのばれる。


世界遺産になっているピコ島のワイナリーでは、数世紀に渡り火山岩を積み上げて作った石垣に囲まれたわずかな区画に一本一本ぶどうの木を植え、手で摘み取り運ぶという気の遠くなる作業に思いを馳せ、不毛の地と格闘してきた先人の汗と知恵が作り上げた景観に感動せずにはいられない。ピコ島醸造組合でそのエッセンスである高貴な香りのピコワインに舌鼓を打った。

機械化による効率主義や大量生産といった文脈から離れて細々と継承され、数世紀の間アソーレスの経済を支えてきたこの二つの産業は、反捕鯨の潮流やブドウの病気や自然災害などのカタストロフに打ちひしがれても再び立ち上がるアソーレス人の不屈の精神を反映している。


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アソーレスの人々がしばしば直面したカタストロフは、火山の噴火と地震である。ファイアル島のカペリーニョス火山は自然の威力をまざまざと見せつける、恐ろしくも美しいモニュメントだ。火山灰に埋もれた灯台の下は、アソーレス諸島で最も人気の高いミュージアムの火山センターとなり、1957~58年の大噴火の映像記録や、火山の成り立ち、種類などを解説している。火山の噴火によって島の茶畑とオレンジ畑が全滅し、多くの人々がアメリカ大陸に移民した。当時のケネディ大統領が特別にヴィザを発給し、カナダも米国に倣ったという事だ。


3日目はファイアル島からサンミゲル島にプロペラ機で移動。小さな飛行機は座席が自由席である。空港からサンミゲル島のガイドのマヌエルさんと共に、島に2つしかない海の見えない村の一つのフルナスに向かう。ここは去年の冬に湯治にきた所である。フルナス湖のほとりは硫黄の匂いと湯気のたちこめる温泉で、そこでは地熱によって有名な鍋物のコジード・デ・フルナスが作られる。今回は時間の関係で残念ながらツアーのメニューには入っていなかったが、サンミゲル島に来たらぜひ食べてみるべき料理だ。その代わりもう一つのフルナス村の温泉地のカルデイラス(お釜)で、名物のボーロ・レヴェドという薄甘いパンをお土産に買った。温泉で茹でたトウモロコシも有名だ。あちこちから湧き出る鉱泉水はそれぞれ微妙に味が違い、村人はペットボトルに好みの水を詰めて持ち帰る。


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茶摘みは機械で行うので茶畑は平ら

フルナス村では世界の名庭ベスト100にも選ばれたテーラ・ノストラ・ガーデンを散策し、その後にゴレアナ茶園の茶畑と製茶工場を見学した。紅茶とともに緑茶も生産しているが、よりシンプルな中国伝来の製法で作っており、日本茶と一味違う素朴な味わい。農薬は使用せず、除草係はヤギという、自然農法で栽培されている。


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奥が青湖、手前が緑湖

最後の日は、サンミゲル島の湖を巡る旅。神秘的な青と緑の湖のあるセッテ・シダーデス村、小高いすりばち状の噴火口にできたサンチャゴ湖、島で最も自然の姿を残すフォーゴ湖と、それぞれ異なる特徴を持つカルデラ湖をとても良いコンディションで見ることができた。


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島で最も澄んだ湖水のフォーゴ湖

この後一行はサンミゲル島からポルトに飛んで、ポルトからANAのチャーター機で日本に帰るのだが、10月にしては好天に恵まれ、アソーレスで雨具を使わずに済んだのはほとんど奇跡と言って良いと思う。ところが翌週はなんとアソーレスに台風がやって来てピコ島を荒らして行った。島への旅は、主催者も参加者もある程度気候条件による旅程の変更も念頭に入れておくべきだ。飛行機や船が欠航になるのはどの季節でも十分にあり得るのだから。










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Commented by pato at 2017-10-28 15:41 x
待ってました。この報告を。
そうか、お天気に恵まれて良かったね。
Commented by caldoverde at 2017-10-29 21:07
初めて知った衝撃の事実は、アソーレス(鷹)諸島には鷹がいない事。大航海時代に発見された島にはアソール(鷹)が沢山いたので名付けられたと思いきや、イタリア語の「青い島」から来たそうです。アソーレス州の旗には鷹のような鳥が描かれていますが、何の鳥でもないそうです。
by caldoverde | 2017-10-21 18:54 | ポルトガルの旅 | Comments(2)