2度目のマデイラ その3
2017年 04月 10日
バナナの花と果実
豪奢なホテルの建ち並ぶフンシャル西部は、かつてはバナナ畑だった。今は家庭菜園の規模の畑しか残っていない。私は普段マデイラバナナを愛食しているが、中南米のインポートものの2倍の値段なのが難点だ。しかし急斜面に石垣を作ってわずかな土地に植え、収穫し、運搬する労力を考えれば、高いものではない。リスボンではキロ2€以上だが島では1€くらいだった。
カラフルな漁船の浮かぶ小さな港は、カマラ・ドス・ロボス(狼の部屋)。狼とは海の狼(アザラシ、トド)のことで、元々はトドの寝床という呼び名をもうちょっと典雅?にしたものだそうだ。以前マデイラに遊びに来た時は、この港が路線バスを使って自力で来れた最西端だったと思う。夜に着いたので、暗く寂しい印象だったが、今では観光客向けのバーでひしめき合っている。
ひゃー
カーボ・ジラゥンという高台には、世界で2番目に高いガラスの床の展望台がある。足元から500m下の海岸が見える高所恐怖症の人は近づけない観光名所で、10年前になかったものだ。すぐそばにはイギリスのデベロッパーによる真新しいバカンス用のコンドミニアムがある。泊まるのはもちろんイギリス人だ。長年君臨したジャルディン知事がマデイラの経済発展に大いに寄与したのは誰もが認めることだが、不動産屋や建築業との間に何もなかった訳はあるまい。観光客から集めたお金をもっと島民や自然保護に還元してもいいのではないかと思うが…
いつか建物の上に岩が落ちる
ポルト・モニスの海浜プール
マデイラは、海から屹立した崖に囲まれた、ほとんど平らな土地がない島だ。季節によっては強風が吹く。フンシャル以外には大きな船が停泊できるような港はない。小さな湾に造られた漁港は、今や漁業よりもその景観や天然プールを呼び物にしている。昼食をとったポルト・モニスは、荒磯と人工的なプールの対比が素晴らしく、レストランや水族館や科学館などの施設もそこそこあって、北部の最大の観光地になっている。一応ガイドブックで紹介されているレストランを覗いたが、あまりピンとくるものがなかったので、観光案内所で住民の食べる店はどこかと聞いたら、直ぐに教えてくれた。職員もそこで食べるのだろう。マデイラの郷土料理である一口大に切った牛肉の煮込み(ピカード)を頼んだ。ソースに浸ったフライドポテトが美味い。
つつくように食べるのでピカード(刺された)なんでしょうか
マデイラのピークは1860mに達し、島のてっぺんは霧に覆われ、南海岸の暖かさとは対照的だ。日照の良い島の南斜面はほとんどが人の手の加えられた段々畑になっているが、島の北側はまだ天然の森が残っている。特に照葉樹林は氷河期を生き延びた貴重なもので、ユネスコ世界遺産になっている。良く考えると花や果物がいっぱいというマデイラのイメージは、市場や植物園によるものが大きい。島の本来の自然はアクセスの悪い北側に行かないと見られない。
岩にぺったり張り付いたバラのようなサボテンの仲間
花嫁のベールという名前の滝
世界遺産になっている照葉樹林
アソーレス諸島とマデイラ島どちらが好きかと言われたら、迷いなくアソーレスと答えるが、マデイラ島の北東やポルト・サント島、デゼールタ島などの付近の小さな島も見たいので、また安い切符が手に入れば再訪したい。しかし島への旅行は天気に左右されやすい。私がリスボンに帰った翌日、マデイラ空港が強風のために何便かキャンセルになったというニュースを聞いた。今年は運が良いらしい。
空港とフンシャルの町の中間くらいに在るらしい。
北東部のSanatanaだったかな?合掌作りの家のある辺もしばらくご無沙汰です。
まだまだ、見所がたくさんありますね。