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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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闘牛の町 ヴィラ・フランカ・デ・シーラ

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アズレージョの美しいヴィラ・フランカ駅


リスボンから電車で30分の田舎町、ヴィラ・フランカ・デ・シーラでは毎年7月に「赤いチョッキの祭り」が開催される。この町のあるリバテージョ地方は闘牛の盛んな土地で、赤いチョッキとはカンピーノと呼ばれる牛飼いの着る民族衣装の一部をなすものである。様々なイヴェントが行われるが、特に重要なのはやはり闘牛で、夜に闘牛場で行われるものと、日中に町中に牛を放すストリート闘牛がある。今年は同じリバテージョ地方のトマールで四年に一度の「タブレイロスの祭り」も同時期に開催されるので、2つの重要なお祭りをいっぺんに見られる又とないチャンスとなる。日本からの観光客も見込まれるので、その下見を兼ねて、旅行会社の責任者であるJOJOさんと同町で5月の初めに行われる「闘牛同好会祭り」でその雰囲気を味わってみた。


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女性闘牛士もいます


ヴィラ・フランカの駅前はのどかな田舎町の佇まい。線路の向こうにはテージョ河と大きな中洲が広がる。こんな小さな町に(今はリスボンのベッドタウンとして人口が急増しているが)50以上ものテルトゥリア(サークル、同好会)があるそうだ。活動内容は全て闘牛に関する懇談である。「同好会祭り」では闘牛場に展示コーナーが設けられ、それぞれの同好会のメンバーの写真や活動を紹介している。中にはチラシを作っている同好会もある。リスボンからわずか30分の距離に、バリバリの伝統を大切に守り、自分たちのアイデンティティとしている所がまだあるとは意外であった。広報担当は女性で、本当に誇らしげに自分たちの伝統を説明してくれた。


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たてがみも結い上げて出陣を待つ


彼女の案内で、一般人には立ち入り不可の闘牛場内の牛や馬の控え室を見せてもらった。闘牛は気性が荒く、また夜に行われる競技を控えてナーバスになっている。刺激しないよう牛舎の天井の鉄板の上をそろりそろりと歩き、細い隙間から黒い塊がうごめくのを覗いた。別の牛舎には六頭の白と茶の牛がまとめて容れられている。この白茶の牛たちは、闘いを終えた闘牛がリングから退場する時に誘導する役割を持つ。傷付き興奮している闘牛の周りを取り囲み、出口に導く。赤いチョッキを着た牛飼いが、この牛たちを訓練するのである。


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競技の後は手当を受け、中には種牛として長寿を全うするものも


また厩舎では十頭くらいの馬がブラシをかけられていたり、出陣前の準備をしている様子を見せてもらった。通常は関係者以外は入れないエリアで、ここに入れるのは大変な名誉であると案内の女性は強調した。ポルトガル闘牛では、牛を仕留める(殺してはいけない)事ではなく、牛の至近距離まで近づいて銛を刺し、全力で追いかける牛を巧みにかわしながら逃げ切る、馬術が重要である。だから闘牛士は騎士(カヴァリェイロ)と呼ばれる。まるでダンスを踊っているように、前後左右と軽やかなステップで牛を撹乱し、急発進、急停止して、今にも牛の角で突かれそうになりながら、リングをギリギリに走る様子は、人馬が一体となったケンタウロスが華麗に牛を翻弄するがごとく。またそれぞれの馬には得意分野があり、カヴァリェイロは長さや形状が違う6本の銛で牛を攻撃し、何番目の銛にはこの馬をという風に何頭かの馬を使い分ける。


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美技にはブラスバンドがファンファーレを送る


この日はヴィラ・フランカ・デ・シーラ市のプロモートするワインの試飲もあった。2017年に収穫された葡萄で作られた白2種類と赤1種類がデビューした。テージョ河と鉄橋をイメージに使ったラベルのワインはボディがあり、重めの食事にもよく合いそうだ。町の広報のご厚意により、仮設のレストランで昼食をご馳走になった。モンゴウイカと豆の煮込み、豚肉のシュラスコ、鶏肉のリゾットと3本のワイン(試飲で既に減ってはいたが)を女二人で平らげた。この地方はテージョ河を下る船がリスボンに食糧を運んでいた農業地帯なので、市場が開いていれば、新鮮な肉や野菜や果物が沢山並んでいるはず。今度来るときは、地元の人の闘牛談義に耳を傾けながら闘牛か誘導役の白茶牛(とても美味いそうだ)のステーキを賞味したいものだ。


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豚の丸焼きの薄切り

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鶏肉と米をワインと鶏の血で煮たリゾット

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「だるまさんがころんだ」に似ているペガ(抑え込み)競技

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5〜600kgの牛を8人がかりで素手で抑え込む



by caldoverde | 2019-05-10 23:54 | カルチャー | Comments(0)