泥棒市でキノコ料理
2020年 01月 06日
毎週火曜日と土曜日にアルファマのサンタ・クララ広場で泥棒市が開かれる。一時陶器にハマり通った時期もあったが、売っているものはほとんどがゴミに近いものばかりで、しばらく足が遠のいていた。たまたま天気の良い土曜日に、急に思い立って泥棒市に出かけた。目的は陶器ではなくキノコだ。広場の中央にサンタ・クララ市場がある。この市場で野菜や魚を売っているのを見たことはない。当然ここにキノコを買いにきた訳ではない。建物の外側に何軒かの骨董屋や小さなバールがあり、骨董屋の並びにおどろおどろしい看板が置かれている。ここがリスボン唯一のキノコ専門料理店、「サンタ・クララ・ドス・コグメロス(キノコのサンタ・クララ)」である。ずっと気になっていたのだが、土曜日を除いては夜しか開いていないので、なかなか行く機会がなかった。今日は泥棒市の見物を兼ねてキノコ料理のランチを食べよう。
前菜から当然キノコづくしであるが、この日のおすすめとして、『カジキマグロの燻製、ヤギの脚添え、ハーブソース』というメニューがあった。ヤギの脚というのはキノコの名前らしい。燻製は大好きなので、これとグラスワインを頼むことにした。白ワインは3種類あり、カジキマグロにはリストの一番上のヴィーニョ・ヴェルデがぴったりですと勧められた。一杯4€と自分基準では高めであるが、超辛口でキレが良い。
香ばしく燻されたカジキマグロは中がほんのり桜色で、特有の脂っこさを感じさせない、あっさりとした味だ。中華料理に出てくるようなパリッとした揚げ煎餅の上にはキノコのソテー。わずかな枯れ葉の香りとシコっとした歯触りが素晴らしい。ライムや香草の香りと酸味の効いた緑のソースは、今まで食べた料理の中で最も美味しいソースだった。パンを頼んでお皿のソースを拭って食べるべきであった。
あまりにも美味しく、まだ胃に余裕もあったので、肉料理も頼むことにした。その日のおすすめ『猪とキノコのクレープ包み、冬のサラダ添え』を赤ワインとともに注文した。極薄のクレープに包まれたものは、猪の肉をキノコとともにペースト状にしたもので、これまた野趣あふれる香りと、パリッ、トロッ、コリッといった様々な食感を楽しめる。ルッコラ、ビーツ、クルミ、赤玉葱のサラダはポルトガル料理に一般的なオリーブオイルとビネガーではなく、クリーミーな自家製ドレッシングで味付けされている。
こうなったらデザートを食べない訳にはいかない。ポルチーニ茸のジェラートにマロングラッセのソースをかけた『サンタ・クララの恍惚』。ワッフルの器に入ったジェラートを一口食べると独特のキノコの香りが口の中に広がり、あっさりとした甘味の中に時々マロングラッセの濃厚な甘さを感じる。
ポルトガルの春と秋の雨の降る季節には野山に様々なキノコが現れるが、ほとんど産地で消費され、リスボンで見ることは少ない。先日バイシャ地区の果物屋で黄色いミスカロスというキノコが売られていたが、ちょっと高かったのと、どのように処理して食べるのか分からなかったので買わなかった。後で植物に詳しい友達に聞いたところ、砂だらけで二度と買わないだろうという答え。でも今なら買って食べてみたい。どのように砂を完全に除去するか調べておこう。









