日本で食べるポルトガル料理 フェイジョアーダ・ア・トランスモンターナ
2020年 12月 09日
日本の一時帰国がコロナのせいで長期滞在となってしまい、和食主体の食事のおかげで体重が少し減ったものの、ポルトガル料理への渇望は募る一方。たまたま甘煮用の金時豆があったので、ポルトガル北部の豆料理、フェイジョアーダ・ア・トランスモンターナを作る事にした。レストランのや缶詰のは食べた事があるが、自分で作るのは初めてだ。
ブラジル料理で有名な黒豆と豚の耳や鼻を煮込んだフェイジョアーダは、元々奴隷たちが食べていたもので、腹持ちの良い黒豆に、余り物である豚耳や豚足などを放り込んで作ったと言われている。しかしルーツを辿るとおそらくブラジルに入植したポルトガル人の郷土料理だったのではないだろうか。冬は厳しい寒さのポルトガル内陸部では秋に豚を解体して腸詰めや燻製を作っていた。それらをやはり保存のきく豆と共に煮込み、ローコストながらスタミナ満点の料理で人々は厳しい風土と過酷な労働に耐えてきた。そうして培われた根性で、荒くれ男たちは危険な大海原に乗り出し、ようやく着いた新天地で故郷を思いながら奴隷と共にフェイジョアーダを食べていた…自分のは良い肉を取って。多分。

2008年5月の記事、アンゴラ料理店「モアンバ」で食べた巨大な量のフェイジョアーダ・ア・トランスモンターナ
作り方をネットで調べると、サイト毎に微妙に材料や調理方法が違う。しかしポルトガル料理の大雑把なところが非常に気に入っている私は、なるべく面倒のない方法で、日本でも簡単に入手できる材料で作る。
あるサイトによると、豚の耳や顔の肉は全て燻製でなくてはならないそうだが、ベーコンやスモーキーなソーセージで代用できる。豚足は出来合いのテビチ(沖縄の豚足の煮込み)を使えば超簡単。ピリッと辛いチョリソ、黒いスパイシーなブラッドソーセージ、ふにゃっとした酸っぱいファリニェイラがあれば完璧だが、ポルトガル製の腸詰めは入手困難なので無し。他には玉葱、人参、キャベツ、トマト、ニンニクといつでも冷蔵庫にあるような野菜たち。調味料はオリーブオイル、塩、白ワイン、スパイスは鷹の爪、パプリカ、月桂樹の葉、そして金時豆。
まず金時豆を一晩水に浸けて膨らませ、圧力鍋で下茹でをする。圧力がかかり、シューシュー鳴り始めたら、3分ほど加熱して火を止めてそのまま蒸気が下がるまで放置してある程度柔らかくしておく。
次に、一口大に切ったベーコンやソーセージをひたひたの水で茹でる。これも圧力鍋を使うと早い。その隣でフライパンにみじん切りの玉葱とニンニク月桂樹を入れてオリーブオイルで炒め、輪切りにした人参も加える。野菜が適当に炒まったら、肉の鍋に投入し、缶詰のトマト(生でも)、白ワイン、キャベツ、金時豆など他の具材も入れ、塩で調味して、再び加圧する。時間は適当に。あまり長い時間圧力をかけると、豆の皮が破れてしまうので、強火で数分加圧したら自然に蒸気が降りるのを待って、味見をして再加圧したり調味料を加えて、好みの固さや味に調整すると良い。
ちょっと汁気が多かったけど、美味しくできました!
初めて作ったフェイジョアーダ・ア・トランスモンターナは、予想した程重くはなく味はマイルド。チョリソやブラッドソーセージが無いのは寂しいが、これなら血のソーセージに抵抗のある方や甘い煮豆しか食べた事のない方も食べてくれるだろう。お試しあれ!




