日本で味わうポルトガルワイン
2021年 01月 01日
EUからの農産物の関税が下がり、チーズやワインが安くなるという話を聞いたのは随分前の様な気がする。確かに500円前後のイタリアやスペインのワインをコンビニでも見かけるようになった。ではわがポルトガルのワインはどうだろう。スペインワインのコーナーに無理に置かせてもらっている風な、棚の下の方の隅に追いやられているような、不遇な扱いを受けている場合が多い様に感じる。その割にあんまり安くない。私がリスボンのスーパーや食料品店で買うのは3€前後の当たりもあれば外れもある価格帯で、当たりであればリピートするし、外れなら炭酸飲料で割って流し込む。日本で売っているポルトガルワイン(ポートワインでない、テーブルワイン)はほとんど1000円以上する。現地では大体4~6€位のものと思われる。私が普段飲むのよりも高い価格帯なので、あまり外れがない。むしろうまい。
私の長年の経験に基づくワインの良し悪しの判定法は、①ラベル、②ボトル、③キャップをよく観察することだ。特にラベルには、産地、収穫年、品種、生産者、味や香りの特徴、飲む適温、料理の相性、など重要な情報が満載である。言語は当然ポルトガル語で書かれているが、海外市場を見据えて英文を併記しているものも増えている。しかしよほどワインに関心があり、本を読んだりテイスティングをするのが好きな通でなければ、ポルトガル語だろうが英語だろうが何のこっちゃである。だが知識はなくても、選ぶヒントはある。重要なのは、そのラベルから受ける印象である。ラベルを数十秒じっと見つめて、頭が痛くなりそうだと感じたら、買うのを見合わせている。実際に悪酔いするかどうかは、飲んだことがないので確かめようがないが、多分当たっていると思う。
ラベルと共に貼っているシールも参考にする。何年のコンクールで銀メダルを取ったとか、ワイン協会が推奨とかのメダルの形のシールがあるのは、多分悪くない。しかし中には賞とは何の関係もない自社のロゴや自推のシールも多いので、注意である。また賞を与えた団体がどれだけ権威があるかも考慮した方が良いだろう。例えば中国のワインアワードの賞などは、どういう基準で選ぶのか疑わしい。偏見かもしれないが、リスボンの中華レストランのワインは不味いことが多い。
今度は実際にボトルを手にして、瓶底の形を確かめる。底が凹んでいる瓶のワインは何となくちゃんとしている様な気がする。瓶の凹みはオリが溜まる様にあるそうだが、ポルトガルのワインはそんなに長く寝かせておくタイプではないので、あまり必要無いと思う。でも底が窪んでいると、レストランのガルソンがかっこよく客にワインを注ぎやすいであろう。底が平らだと親父が瓶の首を掴んでコップの縁まで注いで、こぼれない様に顔を近づけて飲むような安酒に思えてしまう。
キャップはコルクが良い。金属の捻って開けるタイプは、いかにも安っぽい。高級なワインにスクリューキャップの栓は似合わない。慎重に、コルクが壊れないように引き抜いた時のポンという音や、ワインに染まったコルクの匂いを嗅ぐのは、ワインを賞味する為の重要な儀式だ。上手くいけば場が盛り上がるが、安いコルク抜きで開けようとしてしくじった時の失望が挽回できるのは、相当飲んで、コップの中のコルクの破片などどうでも良くなった頃である。金属のキャップはそのような心配はないのだが、その安直さは、やはり底の平らなボトルに詰められたワインから受ける印象に共通するものがある。
仙台の酒の量販店で見つけたポルトガルワインは、ラベルが大変魅力的で、ボトルの底がしっかり窪んでいるが、金属キャップだ。値段は千円ちょっとで別に安くはない。なのになぜ金属キャップなんだろう。しかし瓶の首とキャップを繋ぐ金属部分に、面白いイラストが描いてある。味はどうでもこのボトル自体を見せたくて、友達の誕生日に持って行った。飲んでみると、非常にスムーズで飲みやすい。これはお買い得だ。産地がリスボン地方なのにリスボンでは見たことのないワインなので、在庫があるうちに買って、ワイナリーを確かめなければ。それにしてもこのイラストの親父さん、いかにもコップで安酒を呑んでいそうな、典型的なポルトガル人の労働者である。








