ドブラーダ(牛の胃と白豆の煮込み)
2021年 12月 22日
友人のYちゃんのパートナー、ペドロ氏が明日ドブラーダを作るから夕食にいかがと誘われた。ドブラーダは私の好物で、また彼の料理はその辺のレストランよりも美味いので、歓喜してご招待を受けた。
ドブラーダを辞書で引くと、牛の内臓、内臓の煮込み料理とある。ポルトガルの内臓料理と言えば、トリパス・ア・モーダ・ド・ポルト(ポルト風モツ煮込み)が有名である。1415年にエンリケ航海王子がポルトからモロッコのセウタに向かって出兵する際、ポルト市民は肉の良い部分を遠征軍に供出し、自分たちは残り物のモツに豆を加えて食べたのがトリパスの由来と言われている。しかしモツの他に腸詰や野菜、豆がたっぷり使われるこの料理の方が栄養価が高く、兵士たちのスタミナに貢献しただろう。しかもコストパフォーマンスが優れている。
このポルトの名物料理はポルトでしか食べられないという訳ではない。ポルトガル中部やリスボン周辺では、牛の胃と豆や野菜をトマト味で煮込んだ料理はドブラーダと呼ばれる。では、ポルトのトリパスとリスボンのドブラーダに違いはあるのか?とペドロ氏に質問すると、同じものだという答えだった。強いて違いを挙げれば、ポルトの方が牛の胃ばかりでなく、腸など他の部分も使い、肉の種類も多いという事だった。
牛の内臓は安いが、下ごしらえが大変だ。臭みや汚れを落とすのにレモンを使って何度も洗ったり、茹でこぼしたりと手間がかかる。しかし今は処理された内臓がプラスチックのトレーに入って売られている。豆もすでに茹でたものが缶詰や瓶詰になっているので、そのような材料を使うと調理がかなり楽になる。実は調理済みの缶詰もあり、私はたまに買って食べている。しかし家庭料理にはそれぞれの味があり、作る人のこだわりがある。今夜はアマチュアシェフ、ペドロ氏のお手並を拝見しよう。
白く薄いヒラヒラしたものが、牛の胃、ハチノスだ。弾力のある歯応えが心地よい。それ自体は淡白な味だが、ひだの間にソースがよく絡まり噛むほどに滋味が広がる。白豆はほんのり甘く、ソースがややピリ辛なので、その対比によってこれまた食欲が進む。ときおり人参やチョリソが登場しては、辛さを和らげたり、更なる刺激を追加する。気が付けば2杯目をお代わりしていた。嬉しいことに、大量に作ったのでお土産にとドブラーダを分けて頂いた。これで2日間はご飯のおかずに苦労しない。何しろ白ご飯にとても合うのだ。Yちゃん、ペドロ、ありがとう!どうもご馳走様でした!
材料: 何人分できるのかは不明。材料を揃えやすい単位にしたと思われる。
下処理した牛の胃 1kg
茹でた白豆 500g
チョリソ 1本
人参 2本
玉ねぎ 1個
にんにく 2片
トマト缶 1個
オリーブオイルかラード 大さじ3
月桂樹の葉 1枚
ピリピリソース 適宜
塩・こしょう 適宜
パセリ 適宜
インターネットには色んな作り方が出てくるが、一番シンプルな説明がこちら。
1、たっぷりのお湯で牛の胃とチョリソを丸ごと茹でる。
2、煮込み用の鍋で、みじん切りの玉ねぎとにんにくをオリーブオイルかラードで炒め、
柔らかくなったらトマト缶と小さく切った人参と月桂樹の葉を加える。
少し水を加えて人参が柔らかくなるように煮立てる。
3、お湯から出した牛の胃とチョリソを小さく切って、煮込み用の鍋に入れる。
白豆も加えて、煮込む。塩こしょうやピリピリソースで調味する。
調理時間や火加減は、様子を見ながら、ということでしょう。
この大雑把さがポルトガル料理の良いところである。
美味しい料理と、ともにテーブルを囲む友だちのいるしあわせ…どうぞよいクリスマスを!





