ネパール餃子
2022年 06月 20日
普段は見られない修道院を見学できる無料のガイドツアーがあるのでいかが、と日本人の友人たちに呼びかけたら、ほぼ全員が興味を持ち参加希望のメールを送った。ところが見学希望者が多かったのか、私ともう一人の友達以外は待機リストに入れられ、結局参加者は2人だけとなった。無料ということは、お金を払ったのだから元を取るぞという動機が薄くなり、必ず欠席者が出る。案の定、定員の30人にはまだまだ余裕のある20人をちょっと超えた人数しか来なかったので、せっかくの日本人の向学心が、週末は遊びたいポルトガル人のカラ予約によって水を差された形となった。しかし我々の向学心は何も歴史や宗教、美術の分野に限ったことではない。見学が終わったら待機組と合流し昼食会を設け、食文化について議論するついでに修道院の報告もということになった。場所は移民の多いアンジョス地区にあるネパール料理店である。
ネパール料理店はマイルドなインドカレー屋というイメージだったが、このネパール屋は餃子にそっくりのモモをフューチャーしている。しかもリーズナブルな値段で、かなりボリューミーな餃子が10個で4ユーロである。ちなみにある日本料理店の餃子は4個で4.20ユーロだ。参加者は4人なのでネパール料理を数種類頼んでシェアすることにした。
メニューには聞きなれない食べ物の名前が並ぶが、まずは店名にもなっているネパール餃子モモを食べないわけにはいかない。蒸したり揚げたりスープに入っていたりといろんな調理法のモモがあり、中身は鶏肉、豚肉、野菜と3種類ある。まずは赤いソースで和えたベジモモとプレーンな豚モモを選び、南アジアの炊き込みご飯である羊のビリヤニを頼んだ。
モモは皮が厚くもちっとして食べ応えがある。餡は中華の餃子と大きくは違わないが、ニラやニンニクではなく、言われれば感じる程度のスパイスが隠し味。プレーンな蒸しモモは醤油がよく合う。赤いソースのモモは、トマトや玉ねぎ、そして唐辛子と和えて、ピリッと食欲が増進する味だ。長いお米を使った羊のビリヤニは、細く切ったきゅうりが添えられ爽やかな香りで、インドのスパイシーなビリヤニとは全く異なる優しい味だ。
もう一つ何か変わったものをということで、干した豚肉を野菜と炒めた料理を追加した。酢豚に似たこの料理は見かけより辛い。ざっくりと切った玉ねぎと、ときおり見かける緑の唐辛子がそれぞれの辛味を主張する。硬めの干し肉を噛み締めると旨味と辛さがじわじわ広がりご飯が進む味だ。中和しようとトマトを口に入れたらこれもまた辛い。しかしいつまでもヒリヒリするような辛さではなく、香辛料が主張しないマイルドさがネパール料理の特徴なのだろう。
4人でお腹いっぱい食べ、水やワインを含めたお勘定は28ユーロ程度。インフレ傾向にある今、ありがたいお値段だ。どうしても餃子が食べたくなったらまたここに来よう。そう言えば修道院についての報告はどっかに行ってしまったようだ。
この修道院が老人ホームになって、お食事が週1でネパール料理だったら楽しい(別の週1はモロカン/チュニジアン)。料理で脳にもほどよい刺激。入居したい。
修道院はロシオ広場やレスタウラドーレス広場から近いですが、坂や階段を登るのでいい運動になります。でも外出できるのかな?