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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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城を眺めながらパンを食す

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リスボンのオリエント駅のバスターミナルから、パルメーラ行きのバスに乗る。出発して数分後にはバスはヴァスコ・ダ・ガマ橋を渡り始め、17kmにも及ぶ橋からはテージョ河とリスボンのエキスポ地区の素晴らしい眺めが楽しめる。対岸には広大な平地の向こうにぴょこっと飛び出した丘と城が見える。パルメーラ城だ。お城からの眺めは言うまでもないが、今日の遠出はこのお城に登るのではなく、お城自体が最高に美しく見えるスポットに行って、パンを食べるのが目的である。


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月曜定休、土日休日は8〜20時、平日は16〜20時営業です。今度は夕陽を見ながらパン食べる


パルメーラのバスターミナルで降り、左手にパルメーラ市街と城を見ると、右手には尾根伝いに白い円筒形の建物が3つ並ぶ別の丘が延びる。白い円筒は粉挽きに使われていた風車で、昔はたくさんの風車がこの辺りにあった。風車の下には薪でパンを焼くパン屋があり、ここのりんごパンがもの凄く美味しい。3つ目の風車の先は車の入れない歩道となるが、その先には先史時代の遺跡があり、ここからのパルメーラ城の眺めがまた素晴らしい。ここで最高のパンを食べながら、最高の眺めを楽しむのだ。



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パンは店の窓越しに注文して受け取るのだが、簾の下がったドアを押してみると開いたので、中に入らせてもらった。店の中はパン生地を練る部屋と、パン釜のある部屋の2つに分かれており、パン釜の部屋には既に焼き上がったパンが数台のテーブルに所狭しと並べられていた。先客は多分飲食業者で、プラ箱一杯に大きなキノコ型の伝統的なパンを仕入れているところだった。小麦のパンの他にとうもろこしや大麦で作ったパン、フォラールという甘いパン、クッキーなど、色んな種類がある。できれば全部試してみたいところだが、一度食べて感動したりんごパンと、チョリソパン、ニンニクパンの3つを買った。全部で3ユーロ70セント。




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パン屋の先にあるカストロ・デ・シバーネス遺跡には、青銅器時代から人が住み着いていた痕跡があり、石を積み上げて築いた建物の跡が残されている。四角く区切られた部屋や、井戸か浴場か、あるいは台所のかまどだったのか、石の輪もいくつか見られる。最も新しい部分はローマ時代のもので、眺望と海の幸山の幸に恵まれたこの場所は、古くから軍事的にも商業的にも重要な役割を担っていたのが伺われる。お城の良く見える場所を選んで石に腰掛け、さっき買ったまだ暖かいりんごパンを頬張る。う~ん、うまい!



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雨が多く比較的温暖なポルトガルの沿岸地方の冬は、街の石畳にも野原にも草が萌え始める。崩れた石壁をおおう草は朝露に濡れ、緑がいっそう鮮やかだ。一方、野原に立ち尽くす葉のない黒い木々は昨年の山火事の跡で、風車も被害を受け廃墟状態となってしまった。牧歌的な風景の中に強烈な生と死のコントラストが存在する。またこの丘からは古代の遺跡に始まり中世の城郭、現代の民家や海沿いの工業地帯と、様々な時代の人間の営みがいっぺんに俯瞰できる。



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パルメーラ城の建つ丘は、地層が渦を巻いているように見える。丘を取り巻く民家やオリーブ畑などをすべてはぎ取ったら、巨大なソフトクリームが溶けて固まったような姿ではないだろうか。風車や遺跡のあるこの丘の地面には、波打ちぎわに押し寄せる小波が石になったような凹凸が沢山ある。この丘はマントルの動きによってじわじわと押された地層がバキッと割れ、その断面が盛り上がってできたものではないだろうか。そんな人類誕生以前のはるか昔にまで思いを馳せながら、大きなりんごパンを完食したのであった。



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持ち帰ったチョリッソパンとニンニクパン


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水彩画も描いてみた

Commented by fernandapessoa at 2023-01-27 20:17
水彩画、いい味だしてますねえ!(いかにもこなれた感じが鳥獣戯画にも通ずるような)
パンと絵葉書、毎月セットで通販してほしい。買うっ。
Commented by caldoverde at 2023-01-28 03:59
この角度から見るお城が気に入って何枚か描きましたが、いちばん適当に描いたのが、いちばんいい感じになりました。
ポルトガルは脱力感に力を入れた(?)方が上手くいく。パンも然り。

by caldoverde | 2023-01-23 00:55 | ポルトガルの旅 | Comments(2)