パステイス・デ・ベレンの新製品
2024年 01月 27日
元日は必ず何かが値上がりするので、ポルトガルの正月などちっともめでたくない。リスボンの公共交通機関はバスが2.10€、市電が3.10€、ケーブルカーが4.10€と、変な料金になっている。料金を受け取る運転士の苦労が偲ばれるし、乗客の財布はお釣りのコインでパンパンになりそうだ。数十分も待って1分で終わるサンタ・ジュスタ・エレベーターは6€と、ちょっとした展覧会や博物館が見学できる値段だ。近所のカフェも以前は小銭整理によく行っていたのだが、最近はエスプレッソコーヒーと菓子で2€を超えるところが殆どで、お札で払うとあっという間にお金が消えてしまうので、控えなければ。
世界的に有名なジェロニモス修道院そばの、エッグタルトの本家本元のパステイス・デ・ベレンもその例外ではない。昨年久しぶりに行ったら1.30€になっていて高くなったものだと嘆いていたが、今年は1.40€とまた値上げしているのには驚いた。かなり儲けているはずなのだが…。それでも巷の菓子屋と比べて高いわけではない。むしろ安い方かもしれない。だから世界中の観光客がウンカの如くやって来て、その行列を捌くためにテイクアウト専用のカウンターまで設置してある。
このパステイス・デ・ベレンは創業1837年以来の伝統を守りつつ、経営陣が新しい世代に交代したのか、新製品も開発していることに気が付いた。奥のカウンターにはエッグタルトの他に、卵の黄身系伝統的菓子やコロッケなどの揚げ物が並び、エクレアのような生クリーム系のお菓子も若干ある。この店の生クリーム系はイマイチなので、どうしようか悩んでいたら、プラスチックのケースに入った見慣れない菓子があるではないか。見慣れないと言っても世の中にありふれたチョコレートチーズケーキとラズベリージャムのチーズケーキである。しかし黄色いポルトガル菓子に囲まれたチョコレートチーズケーキは新鮮で、見るからに濃厚でねっとりとした舌触りとほろ苦いカカオの香りを想起させ、その誘惑に抗うことは不可能であった。エスプレッソコーヒーと相性が抜群だが、アグアルデンテ(ブランデー)と一緒なら至福の極みであろう。今度やってみよう。
赤いジャムのチーズケーキはタルト台の上にムース状のクリームチーズとラズベリージャムをのせたもので、意外と軽い口当たりである。チーズらしい軽い酸味があり(ポルトガルのチーズケーキは全然酸味のないのが多い)甘さは優しく、タルト台はしっかりしている。サイズは小さめで、今ひとつブームになり切れなかったカスタードクリームを挟んだ揚げドーナツ「ボーラ・デ・ベルリン」よりは、罪の意識が段違いに軽い。
この2つの新製品はグルテンフリーを標榜している。最近世の中ではグルテンが悪者になっており、ポルトガルでもあちこちでグルテンフリーの表示を見かけるようになった。意識の高い海外からの客が増えて、そのような要請というか流行に乗って開発されたものと思われる。しかしお菓子である以上、糖分脂質が豊富なのに変わりはない。グルテンが無いからと安心して毎日食べたら逆に不健康であろう。更にヤバイ事には、この2つの新製品の値段は2€と一般のポルトガルの菓子屋のチョコレートケーキやチーズケーキよりも安く、しかも美味い。これらはグルテン中毒ならぬグルテンフリー中毒にさせる悪魔の食べ物である。
年末年始、彼の地はさぞやにぎやかだったでしょうね(RTPで各都市燃え落ちんばかりの花火中継見ました)。
しかし、市電高いねえ。もはやケーブルカーは贅沢品か。同じ金額ならタルト食べるよ。食べたら、歩く。バス代節約とカロリー消費の一挙両得。でもまた道草してしまうかな。
市電、ケーブルカー、サンタジュスタエレベーターは乗客の99%が観光客なので、取れるところからぶんどってやろうという事ですね。スリも活躍中です!
リスボンには、白Yシャツに黒ズボンのおじさんが給仕するコーヒー80セント、ランチ8〜9€、ミニプレートは5€のお店もわずかにあります。外国人に媚びない地元民の店、残って欲しいです。




