テルマエ・ロマエ in ポルトガル その2
2024年 11月 25日
月曜日はローマ浴場ミュージアムの入場料が無料になり、11時からガイドツアーも行われる。まだ新しい石造りの立派な建物の中に、2000年前の公衆浴場が残っているとは。この温泉は12世紀に初代国王アフォンソ・エンリケスがバダホスの戦いで骨折した足を治療したという。そして19世紀には健康上の問題を抱えていたアメリア王妃がサン・ペドロ・ド・スルの湯治により快癒したという効能あらかたな湯である。
ローマ風呂は小さな浅めのプール状で、四方は腰を掛けることのできる段差がつけられている。古代の人々は入浴を楽しむばかりでなく談笑したり運動も行っていたとの学芸員の説明を聞いて、漫画「テルマエ・ロマエ」の場面は本物なんだと実感した。それにしてもこんな辺鄙な場所によく温泉を探し当てたものだ。ローマ人は温泉を探すセンサーを持っていたのだろうか。
サン・ペドロ・ド・スルの浴場は時代によって様々に改変された。16世紀のマヌエル1世の時代は浴槽の周りにバルコニーを作ってより多くの人々を収容できる様にしたり、18世紀には軍人用の病院になったり、20世紀には小学校になったりと、用途を変えつつ2000年間使われ続けてきた。19世紀は上流階級の間で湯治が流行り、小さいローマ浴場の上に一人用のバスタブを設置した。ルシウスの言う「棺桶型の浴槽」であるが、内部は綺麗なアズレージョ貼りである。
お昼は川沿いにあるカフェで昼食。ポルトガル中部の内陸部は大貴族ラフォンイス家の領地で、この地方の牛肉はラフォンイス牛という銘柄牛で柔らかく美味ということだ。ただしステーキは高いので、ラフォンイス牛かどうかは分からないが、今日のお勧めの仔牛のローストを選んだ。しっかり焼いて厚めに切った牛肉は、脂が少なく噛めば噛むほど旨味がじわっと広がる。しかし次回はやはりステーキか、仔牛肉をマリネしてジャガイモと一緒にオーブンで焼いたラフォンイス風ビーフを食べようと思う。
甘いものはアーモンドの黄身餡を詰めたヴォウギーニャというお菓子の他にもご当地菓子がいくつかある。バスタブ型の菓子は豆の餡を使ったよくあるタイプだが、ミルフィーユやビスケットのタルト台ではなく、ウエハースのような軽くて口溶けの良い皮を使っている。
到着した日と次の日は6時にドン・アフォンソ浴場で入浴する。水着を着てシャワーで全身を濡らしたあと、セラピストの指示に従って、プールの端にあるジェット水流で背中をマッサージする。首から腰にかけて移動する強烈な水圧がイタ気持ち良い。ようやくお湯の連続パンチから解放されてプールの中央に進み、軽い水中エクササイズを行う。オフシーズンの夕方に温泉に入っているのは4~5人だけで、ゆったり入浴できた。お湯の温度は38度ぐらいだろうか、ほんわか温かく、日本の温泉のようにのぼせることはない。入浴の後は隣のカフェで生ビールをぐいっと。ああ極楽。







