テージョ河は野鳥天国
2025年 01月 25日
水中のピンクがかった白い点々がフラミンゴ
ヴァスコ・ダ・ガマ橋対岸のモンティージョは広大な湿地帯が広がり、数々の野鳥が訪れるヨーロッパでも屈指のバードウォッチングのサンクチュアリになっている。畦道で区切られ水を湛えた田んぼの様に見える土地は塩田である。河口から数10kmも離れているのに、こんな所まで海水が押し寄せて来るとは、日本人にはなかなか想像がつかない。ここに色んな鳥がやって来るのだが、特に有名なのがピンクフラミンゴで、私も橋を渡る車中から何度も見た事がある。この塩田はハイキングコースにもなっていて、私の愛するロバも飼われている。また以前近隣の町の鰻専門店で白焼きを食べて美味かったので、お昼に鰻が食べられたら、という思惑もあり、1月にしてはかなり暖かな週末、友達のYちゃんと共に塩田のハイキングに出かけた。
17kmの長さを誇るヴァスコ・ダ・ガマ橋
オリエント駅のバスターミナルからサン・フランシスコ行きのローカルバスに乗ると、程なく長大なヴァスコ・ダ・ガマ橋に入る。バスが対岸に着くとポルトガル最大規模のアウトレット、フリーポート前で停車し、乗客の半分はここで降りる。私も降りたくなるのをぐっと堪え、数個先の住宅地の停留所で下車する。間近にテージョ河が広がり、意外にきれいな砂浜もあり、ウインドサーフィン場にもなっている。この辺はリスボンに通勤する庶民のベッドタウンかと思いきや、ベランダから河向こうのリスボンが一望できるピカピカの高級マンションが何棟も建っていて驚いた。売り物件もあり幾らで買えるのか興味が湧いた。
バーに改装中?の風車
そのうちにコンクリートの柱が沢山並んだ葡萄畑の様な場所が現れた。これはかつての鱈の千し場ですぐそばには廃墟となった鱈の工場がある。ポルトガルでは鱈はほぼ100%塩鱈に加工されるので、鱈と塩田は切っても切れない関係だ。工場を囲む塀には鱈の形の穴が開けられている。そして塩田ハイキングコースの入口はこの鱈工場のすぐそばにある。コースは3つあり、1番長い6kmのコースを歩くことにした。
鱈が並んで泳ぐ工場の塀
今冬のリスボン周辺は15度前後の暖かい日が多く、ハイキングには絶好の日和。しばらく雨がなかったので、あちこちにロバのフンが落ちていることを除けば地面は乾いており、また塩田なので起伏が全くなく、すこぶる歩きやすい。地面はカタバミの黄色い花が満開で、青空や水との鮮やかなコントラストをなしている。鳥の姿や声に気付くたびに立ち止まっては双眼鏡や携帯を構え、フラミンゴの群れやシギが佇む水辺の向こうにリスボンの新市街が広がる、その対比にも感動する。コースの途中にロバ舎があるのだが、ロバ達はかなり遠くに餌を食べに行っていた様で、残念ながらほとんど姿を見る事ができなかった。
6kmコースを歩き終えた頃はちょうど昼時、近くにレストランがあるのでそこで食べることにした。店の周辺は地元の人達の車で一杯で、予約なしだと30分ほど待たなくてはいけなかった。氷の上に並べた魚を選んで炭火で焼くスタイルで、その日は立派な鰻も3匹あったので1番小さいのを注文して、隣のバーで飲み物を飲みながら待つことにした。眺め抜群のバーも地元民で賑わっていた。
前菜が誘惑するが… 生ハムに負けた
お待ちかねの鰻の炭火焼きが到着した。ところが白焼きのはずがなんだか燻んだ色をしている。皮はパリッと身はふっくらとした食感を期待していたが、にちゃ~とした妙な弾力と歯や舌にまとわりつく様な脂っこさがあり、ウツボに似た食感である。正直なところ、鰻専門店で食べた白焼きには及ばなかった。しかしこれだけの繁盛ぶりは、他の魚は美味しい事を実証するのだろう。特に大きなヒメジは鰻を食べる決心を一瞬揺るがした程であるし、墨にまみれたイカも魅力的であった。次回のハイキングはここで別の魚を注文するか、足をのばして鰻屋の白焼きを食べるかのどちらかを選択しなければならない。後者の場合、鰻のタレと山椒の粉を持っていくべきかどうかも検討事項である。
今回ハートを射抜いたのはタラ塀。なんとかわが庭に造れないものか。ちなみにわたくしは白焼きにはすりおろしワサビと醤油派です。次回渡航の折は絶対行くぞう。











