人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

グロリア線の悲劇

Wikipediaより

こんな話題でブログを再開するのは本当に悲しいのですが、9月3日の午後6時ごろ、リスボンの中心部にある歴史的ケーブルカー、グロリア線が脱線し、4日現在16人の犠牲者と5人の重体22人の軽傷者を出した事故は、ポルトガルのみならず各国に大きな衝撃を与えました。私もこのケーブルカーでアルバイトに通ったり、観光で案内したりと非常に親しみを持っていたので、建物に衝突して大破し、跡形もない姿になった車両の映像にショックを受けました。この車両に乗っていた方々の恐怖や痛みを想像すると、胸が締め付けられる思いです。


グロリア線の悲劇_a0103335_18134022.jpeg


19世紀末に設置された歴史的ケーブルカーはリスボンに3路線あり、中でもこのグロリア線は最も利用者の多い路線で、レスタウラドーレス広場とバイロアルト地区という2つの繁華街を結ぶ交通機関として重要な役割を担ってきたばかりでなく、その特徴ある姿で観光客に愛され続けた乗り物です。しかしだいぶ以前から軋むような耳触りな騒音を立てるようになっており、定期点検のため1ヶ月運休した後もさっぱり改善しないので、いつかは壊れるだろうと漠然と思っていましたが、こんな大事故を起こすとは…。当然他の2路線も再点検が行われます。



グロリア線の悲劇_a0103335_18143564.jpeg


グロリア線の悲劇_a0103335_18151777.jpeg


https://monumentosdesaparecidos.blogspot.com/2019/11/o-elevador-da-gloria.html




しかしグロリア線は2022年に最後のオーバーホールを行い、以後は徹底的な検査は行わなかったばかりか、最近は定期点検をCARRIS社の社員ではなく外部に委託していたそうです。報道陣のインタビューを受けたCARRISの社長は薄笑いを浮かべ、安全対策に問題はなかったというおざなりの答えを述べたのには腹が立ちました。せめて申し訳なさそうな様子だけでも見せるべきだと思うのは、私が日本人だからでしょうか。


犠牲者の国籍はまだはっきりしておらず、ポルトガル人も外国人もいるようです。日本のツーリストもこのケーブルカーをよく利用するので、ポルトガルを旅行中のご家族や友人のいる方は心配している方もいるかと思います。かく言う私も友達が私の安否を問うメッセージでこの事故を知りました。犠牲者の中には車内だけでなく坂道を歩いて事故に巻き込まれた人もいたという事です。こののんびりしたポルトガルでも、いつ何時思わぬアクシデントに遭うかわからないものです。


グロリア線の悲劇_a0103335_21253751.jpeg


9月4日午後の現場の様子。前の車両はレールを超えて歩道に乗り上げ、後方には衝突した車両の残骸が見える。もしこの車両が建物に衝突しなかったら、もう一つの車両を直撃してもっと被害が酷かっただろうということです。


ポルトガル大統領は事故後の3日間国喪に服す事を表明しました。今後事故の検証が行われ、原因が究明されるでしょうが、マズい事は隠さずに事故から得た教訓を今後の安全確保に生かすことを切に望みます。そしてあのユーモラスな姿がまた見られますことを!


by caldoverde | 2025-09-04 18:22 | ポルトガルの旅 | Comments(0)