たこづくし
2007年 05月 08日
日本では、タコは刺身、酢の物、たこ焼き、おでんの種。イカなら刺身、焼き物、煮物、てんぷら、干物、イカ飯、塩辛などが代表的な調理法だろう。
一方ポルトガルでは、タコは茹ダコ、オーブン焼き、ワイン煮、トマト煮、てんぷら、サラダ、リゾット。イカなら炭火焼、オーブン焼き、トマト煮、カルデイラーダ(鍋物)、白いんげん豆と煮たもの、イカの詰め物、てんぷらなど調理法の多彩さにおいては日本に負けていない。味付けも日本はほとんど醤油味であるが、それに対してポルトガルはあっさり系塩味、地中海系オリーブ・トマト味、濃厚系ワイン味など多様である。イカやタコの種類も日本同様何種類かある。ポルトガルには独創的なイカタコ料理があるなあと感心したものだ。
ポルトの有名なレストラン「トリペイロ」で日本人ツアーのグループがとった食事は、タコのてんぷらだった。一口大に切らずに、20cmくらいの足を丸ごと揚げたてんぷらを見て、顎の筋肉がこわばっていくのを感じたが、食べてみてびっくり、意外なほどに柔らかい。ツアーの人たちは皆、どうしたらタコがこんなに柔らかくなるのか知りたがった。店の人によると、かなり念入りに下ごしらえをするということだ。圧力鍋で煮るとき、より柔らかくなるように玉ねぎを一緒に入れるとか、茹でる前か後に棒でボコボコたたくとか、さらに衣をつけて揚げる前に牛乳に浸しておくとか、色んなコツがある。それを聞いて家でタコ天を作るのは諦めた。
同じくポルトのリベイラ地区のある店でのツアーのメニューはタコのシチューだった。オリーブオイルたっぷりのトマト風味のソースで長いままのタコの足を煮込んだものである。これも柔らかくて美味しいと評判だった。
ポルトガルツアーのメニューによく登場するのが、タコのリゾット。シーフードリゾットと並んで、最も日本人の好みに合ったポルトガルの食べ物の1つだろう。
バールのつまみやレストランの前菜に時々タコのサラダが出される。細かく切ったタコにピーマン、トマト、玉ねぎ、コリアンダーなどを混ぜた彩の良いサラダである。
写真は以前に紹介したアソーレスレストランで友人が食べたタコのワイン煮。見かけどおり、かなり強いタコの風味。パンの薄切りが添えてある。ごはんだったら何杯もお代わりできそう。
ここで、笑える?メニューを2つ。昼飯を食べるサラリーマンやOLでにぎわうリスボンのカフェで、スーツにネクタイ姿もりりしい男性がペンと受話器をナイフとフォークに持ち替えて食べていたものは、どこからか「たこで~す。」と間抜けな声が聞こえてきそうな、おっきな1本の茹でたタコの足だった。太さが5cm、長さは30cmはありそうな、足の先がくるんと渦巻き状に丸まった特大タコの足を、きりりとしたダークスーツに身を包んだビジネスマンがまじめな顔をして食べている。タコの他にはごろんと茹でたジャガイモが2個、ただそれだけ。男性の生真面目な外見やエレガントな物腰と、身も蓋もないような料理とのギャップがものすごく可笑しかった。
もうひとつは、友人がアソーレス観光のプロモーションで食べたと言う信じられないイカタコ料理。イカの詰め物は日本でもポルトガルでもおなじみの料理で、詰めるものは米、自分の足、野菜やハム・ベーコンなど様々であるが、なんとこのプロモーションで出されたアソーレスのイカの詰め物にはタコが入っていたそうだ!いったいどんな発想なんだ?じゃあ、タコの頭にイカを詰めたものは存在するのか?ううむ、やはり彼氏を調達してアソーレスに行く必要が生じてきた。