ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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レトロ食品

 リスボンの地下鉄バイシャ・シアード駅周辺にはエルメスやカルチェなどのブランド店、創業100年の老舗、ベネトンやディーゼルなどの若者向けブティックが集中する。20世紀を代表する詩人ペッソーアの銅像と一緒に写真を撮る観光客たちで賑わう、カフェ・ブラジレイラ。その斜め向かいには、日本で言うと丸善のような書店、ベルトランがある。そのベルトラン書店のすぐ前の角を右に曲がった奥に、UMA CASA PORTUGUESA (ポルトガルの家) という店がある。一歩中に入ると、たちまち数十年前にタイムスリップしたような懐かしさを覚える。古びた木製のカウンターや棚の中に並ぶのは、かつてポルトガルで生産されて国民に愛されてきた日用雑貨が復刻されたものだ。粗雑な印刷、古臭いデザイン、なんともいえない素朴さというか、だささ。それが妙に新鮮だ。駄菓子屋で売っていたような紙のおもちゃや色鉛筆。アールデコ調の包装紙に包まれた石鹸。ブリキ製の調理道具。とぼけた味わいのあるものばかりで、見飽きない。その中に昔ながらのパッケージの食品が何点かある。今はスーパーには大メーカーや輸入品の大量生産されたものしか置かれていないが、かつて地域の食料品店には、このような家内制手工業的な製品が並んでいたのだろう。

 パッケージの面白さに惹かれつい買ってしまったのは、米の粉である。この絵の子供はどう見たって食べるのを嫌がって、泣きべそをかいている。なのにテーブルに上がりこんだ猫はうまそうにカップに入っているものをなめ、犬はテーブルに前足をかけて羨ましそうに、よだれを流さんばかりに舌を出している。箱の側面を読むと、米の粉は子供の食事に最適、との自薦の言葉が書かれており、反対側には水か牛乳で溶いて8分ほど火にかける、と食べ方が書いてある。日本のお粥みたいなものだろうが、レシピを読む限り、確かにうまそうだとは思えない。バターとか砂糖が入ればポルトガルの子供も少しは我慢して食べるかもしれない。私も買ってはみたもののどうやって食べようか考えた。米の粉なら上新粉だから、すあまを作ろうと思いついた。1回目は粉の粒々が残って失敗したが、2回目は熱湯で溶いて加熱した後手でよくこねたので、何とか似たものになった
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 同じメーカーの製品に、片栗粉があった。これも同じデザイナーがパッケージをデザインしたものに違いない。こちらの子供はずるがしこそうな笑みを浮かべ肩越しに振り返り、食べている皿とスプーンを体で隠すようにしている。箱の側面には、この片栗粉はオランダの良質なジャガイモから抽出した、と書いてある。子供の服装や、風車はオランダをイメージしたものらしい。大事そうに、誰にも取られまいと皿をしっかりと持った子供のしぐさから、片栗粉のほうが上新粉より子供に人気があるのだろうと推測できる。食べ方は上新粉と同じである。

 この2つの箱をデザインした人は、子供の頃さんざん上新粉や片栗粉のお粥を食べさせられたに違いない。その嗜好が如実にイラストに反映している。それにしてもポルトガルの絵画は昔から、宗教画にせよ、アズレージョ(タイル画)にせよ、このような商業美術にせよ、なんだかデッサンや遠近法が狂っているものが多い。子供の手や、犬の足など相当怪しい。子供の座っている椅子はいったいどんな構造なのか気になる。子供の顔や腕はふっくらとしているのに、胴はまるで1枚の紙か布切れのようにボリュームを感じない。Zellyのロゴマークの上が結構大きく開いているのは浮世絵の影響を受けた大胆な空間処理なのか。風車が立って船が浮かぶオランダの風景の前景が、びりびりに破けたようになっているが、何を表したものだろう。と見れば見るほど疑問がわく。

 月末になるとよくお世話になるのが魚の缶詰類である。スーパーにはイワシやツナ、イカやタコを加工した小さな缶詰めが並ぶ。安いものは50セント程度。ちゃんと箱に入ったものもある。このポルトガルハウスで買ったのは、缶を包装紙で包んださばのトマト煮の缶詰である。これも包装紙に惹かれた。派手な黄色の地に赤の、猫が舌なめずりをしている絵だ。これは美味しそうである。この缶詰メーカーは、今でも人の手で1個1個缶を包装しているそうだ。だからスーパーで売っているものより若干高い。手間ひまかかっているにもかかわらず、チープ感あふれる楽しいパッケージだ。しかし、猫に豪華な写真入キャットフードとこのさば缶を見せたらまっしぐらに駆けていくのはもちろんキャットフードのほうだろう。ポルトガルは本当に宣伝が下手だなあ。
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Commented by ショー at 2007-08-22 19:16 x
ああ、私もそこ行きました。面白い店ですよね。ハンコ買いました。バカリャオデザインの。その店の先に、右手の角に、NewWokというバー風の店があります。餃子は、飛鳥より旨いと思いました。麺類も東南アジア風と解釈すれば充分楽しめる味もありました。
Commented by おっちゃん at 2007-08-23 00:17 x
日本にはよくラーメンのパッケージなど集めてる人いますね。そういうの集めておいたら?日本に帰ってウケるかも…。
子供の頃読んだロシアの童話にミルク入りのくず湯というのが、でてきました。お金持ちの子供が、「私はクリーム入りのくず湯にも飽き飽きしてるのよ。」という台詞もでてきました。親に言ってミルクのくず湯を作ってもらったものです。なつかしぃ〜。
Commented by MOREIA at 2007-08-23 08:08 x
へぇ、面白い店があるんですねぇ、とまた穴から出てきました。
このパッケージ「なんちゃってアールデコ」ですよ。どう見ても、ラテン系の子供じゃないし。やっぱり阿蘭陀人とか英吉利人の子供を売りにしてたのか?二つ目のパッケージの子供なんて、何かをたくらんでいそうです、運河の土手を壊そうかな・・とか?そこはかとなく怪しい雰囲気がたまりませんね。
私がとうとう開ける勇気が無いまま、期限切れにしてしまったのは、アヴェイロの「うなぎ缶」でしたが・・・・・ではドロン!
Commented by caldoverde at 2007-08-23 16:52 x
この店で買い物している時、床の段差に気づかず足を踏み外して捻挫しました。ご注意を。ポルトガルの中華関係の店は面白い看板やパッケージの宝庫です。そのうち発表したいと思います。
Commented by ちゅんち at 2007-08-23 21:44 x
ふーむ。あちらこちらの王宮や宮殿に飾られてる昔の人の肖像画なんかでも、なんで3頭身なんだろーか?と美術・芸術オンチの私も常に思ってました。何だかズレていると言うか。専門家が見てもやはりそうなんですね。レトロな看板は、ここのところ消えつつある気がしてます。写真でも撮りに行っておかないと。と思いつつ引きこもり気味なのでした。
Commented by OvosMoles at 2007-08-25 10:33 x
あのー、米の粉の子供は、食べたくなくて泣いてるのでしょうか。それとも、大好きな米の粉を猫にまんまと横取りされて悔しくて泣いてるのでしょうか。
そう、ポル人の描画レベルは、かなり低いと思います。天使を描かせた時に一番よく分かります。ポチャポチャの体のはずが、筋骨隆々に見えたり、赤ちゃんは普通は鼻が小さくて目立たないのに、妙にダンゴっ鼻で小鼻までしっかり描写されてたり。
でも、訴えかける力強さは感じるかも。
Commented by yuko at 2007-08-27 17:40 x
でもこういうデザインって、今の日本の若い人に受けるだろうね。
もったいないなぁー
Commented by caldoverde at 2007-08-27 18:30 x
写真をクリックして拡大してみてください。面白いです。
Commented by caldoverde at 2007-08-31 06:11 x
最近このお店改装して、名前も A VIDA PORTUGUESA(ポルトガル生活)に変えました。本のコーナーが加わって、伝統工芸や料理の本があります。店の段差は相変わらずで、また踏み外し危うく捻挫しそうになりました。
Commented by pato at 2013-09-09 04:28 x
先週、この店でやっかいなことが。
手塚里美がテレビ番組で行ったらしいのですがそこで見た石鹸を
取り置きしてもらってたお客さんが居ました。
ところが、その石鹸は単体一つだと7ユーロなんだけど、
番組で紹介された3個組みは29ユーロなのだな。
3×7は21ユーロのはずで、じゃぁ8ユーロは箱代なのか?と。
しかも、レジ打ちのオッサンがとてもトロイ。
あのお客さんはもう二度とこの店に行きたいとは思わないだろうな。
さんざん、前振りしてもこの始末。
ポル人の商売下手はなんとかなりませんかな。
by caldoverde | 2007-08-22 18:11 | 話題の店 | Comments(10)