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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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栗の季節

シントラ王宮前の焼き栗屋さん
栗の季節_a0103335_1812519.jpg

 季節感に乏しいポルトガルではあるが、街のあちこちに白い煙を上げる焼き栗の屋台が出ると、どんなに暑くても、もう秋なんだと感じる。電話帳を破いて丸めたメガホン状の入れ物に、熱々の焼き栗が10個程入っている。これを歩きながら食べる。栗には切れ目が入れてあり、片手でもむくのは容易である。軽い塩味が栗の甘さを引き立てる。熱いうちが美味しい。冷めると味が半減する。リスボン市内でも、地方の町でもどこでも見られる焼き栗であるが、では、栗を使ったお菓子や料理はというと、店ではほとんど見ない。ポルトガル人は焼き栗以外の食べ方を知らないのだろうか?

 11月11日はサン・マルチーニョの日というカトリックのお祭りで、新酒のワインと栗を食べて、冬の到来を迎える。この日に食べる栗はエルヴァ・ドースという香草を入れてゆでた栗だ。香草を入れると甘くなるそうだ。

 これでもまだ食べ方は2種類だけだ。一度ブラガンサのレストランで雉に栗を詰めて焼いた料理を食べたことがある。他には料理の本で豚肉と栗を煮込んだものの写真を見たことがある。知っている限りの栗料理はこれだけだ。中世の昔はポルトガル人の主食は栗だったそうだが、毎日焼き栗ゆで栗で飽きなかったんだろうか?

 お菓子にいたってはリスボンのカフェやお菓子屋で栗を使ったものにはお目にかかったことがない。マロンシャンテリー、モンブラン、栗きんとん、栗饅頭、栗羊羹が恋しい。なぜ、なぜないんだ!とうとう耐え切れず自分でモンブランを作ることにした。冷凍むき栗をゆで、砂糖やバニラエッセンスを混ぜてつぶしてざるで裏ごしし、生クリームを飾る。多分こんな手順だろう。冷凍栗は1kgも入っている。ところがアパートに備え付けの小型冷蔵庫は冷凍室がない。保存する場所がないので仕方なく全部ゆでた。栗をゆでたお湯を捨てようとしたところ、手元が狂って流しでないところにこぼしてしまった。料理台やガスコンロ、流しの下の棚の扉、床にまでゆで汁が流れた。余計な仕事を作ってしまった。悲劇はそればかりではなかった。翌日栗のいい匂いに引かれて蟻が大量にアパートに侵入したのだ。三階のコンクリート造りの部屋にどこから湧いてくるのか、黒い帯が栗をゆでたガス台目指して行進している。よく掃除したつもりだったが、まだ栗のゆで汁が残っていたのだ。捕っても捕っても出てくる。出所を突き止めようとしても判らない。部屋から蟻が完全にいなくなったのは1週間ぐらい後だったろうか。蟻と戦って作ったモンブランは自画自賛の味であったが、何せ大量に出来上がったので、半分近所の友人家族に分けても二,三日食べ続けなくてはならなかった。

 アレンテージョ地方のカステロ・デ・ヴィーデやマルヴァンは栗の産地で、ここでは例外的に色んな栗のお菓子が作られる。マルヴァンでは秋に栗祭りなるイベントが行われ栗のお菓子コンクールも開かれる。春の復活祭の時期だったと思うが、カステロ・デ・ヴィーデの町の広場にお菓子の屋台が出て、素人の主婦が作ったような栗のタルトとか栗のパウンドケーキなど素朴な栗菓子が何種類か並んでいた。全部試してみたいところであったが、栗は結構どっしりと重いしポルトガルのお菓子は甘みが強いので2種類が限度だった。確認できなかったが村のレストランをよく調べれば、栗をフィーチャーしたメニューもあるのかもしれない。黒豚に栗を組合せた料理など、あればぜひ食べてみたい。この二つの村はアレンテージョ地方、いや、ポルトガルの中でも最も眺めの美しい所なので、11月11日の栗の日、または春の復活祭の時期に訪れてみてはいかがでしょうか。
Commented by miwakof at 2007-10-22 20:10 x
焼き栗、おいしそうですね。日本じゃ、秋、栗、といったら栗ごはんじゃないでしょうか!新米+栗=うまい、もち米+栗=すごくうまい、栗+きのこ+米=これもうまい、ってなかんじ。しかし、黒豚+栗=いまだ知らぬ味、、、いやあ、caldoverde さんの文章を読んで、ついポルトガルに行きたくなる人って、いるかも。アリ退治、お疲れ様でした!!
Commented by caldoverde at 2007-10-22 21:50 x
写真の焼き栗屋さん、買わないで写真だけ撮らせてもらいました。だって暑いんだもん。今日は暑いから食べたくないといったら、冷えてるから大丈夫だと。よけいいらないよ。
Commented by OvosMoles at 2007-10-23 17:38 x
栗料理は、栗スープとか、栗入りコジードも食べたことあるよ。スープは、芋の代わりに栗を入れたポタージュって感じでした。コジードのほうは、Lousaの近くのレストランで、大きなパンの中に入ったコジードで、下から栗と腸詰、キャベツ、豚という順の層になってました。私も栗料理で食べことあるのはそれくらいかな。
Commented by miwakof at 2007-10-23 18:41 x
焼き栗と、焼き芋、似ていますね。暑い日にいやで、さめたらいや、も同じ。ところで、サツマイモはそちらにもアリましたよね?でも、焼き芋やは、ないのか。。。
Commented by caldoverde at 2007-10-24 00:28 x
そうだ、思い出した。マデイラ島の山の中の村がやはり栗の産地で、栗スープがありました。豚汁みたいな感じでした。塩辛くてあまり美味しくなかったけれど。サツマイモもポルトガルにありますが、焼き芋屋はありません。スイートポテトや芋餡の饅頭もありません。でもアソーレス諸島にサツマイモのジャムがありました。要するに芋餡です。
Commented by おっちゃん at 2007-10-25 12:07 x
栗が主食ってどんだけ栗の木があるんですか?
栗の季節は駆け足ですぎていって、もうこの頃はあまり見なくなりました。すぐに干からびて保存が大変です。むくのも一苦労ですね。モンブランにしたアナタは偉い!栗はホワイトシチューに入れて食べます。茶碗蒸しも美味しいです。あの形なぜかココロひかれます。
by caldoverde | 2007-10-22 18:09 | 野菜・果物・キノコ | Comments(6)