復活祭のパン
2008年 03月 08日

ポルトガルのいたるところにあるカフェやパステラリア(菓子パン屋)では、まだ暗い早朝はタクシーの運転手が眠気覚ましのコーヒーを飲み、朝は出勤前のサラリーマンやOLがカフェオレにチーズやハムを挟んだ丸パンの朝飯をかっ込み,9時過ぎから11半時ごろはリタイアしたおじさんやおばさんたちがおしゃべりや新聞読みに没頭し、12時過ぎから昼定食を食べに来る付近の会社員や住民で賑わい、午後は授業を終えた高校生や大学生がおやつを食べながら宿題をし、夕方は労働者が仕事の仕上げ前に軽く腹ごしらえし、夕飯がそろそろ始まるという夜7時半前後にようやく客も少なくなり店じまい、という1日中フル回転の商売である。中には夜11時までやっている店もあり、自宅で夕食をとった後、近所のカフェでコーヒーを飲みにいく人も多い。店のテレビのサッカーの試合を見て歓声を上げ、ため息をつく人たち、カウンターで従業員と世間話を交わす人たちなど、それぞれコーヒーを傍らに楽しんでいる。日曜日は家族連れがカフェにやってきて遅い朝食をとる。日曜日は主婦も休むのだ。
どの店もカウンターのガラスケースに置いているものはだいたい同じ。甘い菓子パンと、サルガードス(しょっぱいもの)と呼ばれるコロッケやてんぷら、チキンパイなどビールのつまみ系スナックが20種類くらいあり、店によって種類や数は異なる。しかし日本のように季節限定ものや新製品が月ごとに登場することはまずない。10年前も20年前も、いや50年前も多分同じものが並んでいたのだろうと想像がつく。
飲食施設のない、主に食事用のパンを売るパン屋もある。朝早くから客がやってきては丸いパンのたくさん入ったビニール袋を提げて店から出てくる。昔はカルカッサという軽いスカスカのパンは1個数円(1桁)という安さだったが、やれ石油の値上げだ、小麦の高騰だと、パンの値段の上昇はとどまることを知らない。食料自給率の低いポルトガルは国内消費をまかなうほどの小麦は生産されていない。それなのに、なぜかポルトガルのパンは美味い。

地下鉄アロイオス駅を降りると、マゼランの銅像の建つチリ広場に出る。このあたりは洗練とか最先端という形容とはだいぶかけ離れた、日本で言えば昭和テイストの昔っぽい庶民的な店が集まり、道行く人々はほとんどおじいちゃんおばあちゃんばっかりという老人パワー炸裂の街である。そのリスボンの巣鴨のベーカリー兼カフェ「リド」は、思わず生唾を飲み込ませるパンの数々が私を誘惑し、店に引き込み、その日予定していた献立をキャンセルさせてしまうのだ。
この店のパンで一番気に入っているのはブドウパンである。卵を使ったほんのり甘いブリオッシュのような生地。これだけでも美味いのに、干しブドウがこれでもかこれでもかと入っている。これを薄く切って、カマンベールチーズや、ロックフォールチーズ、または白カビ青カビが合体したブレス・ブルーというチーズなどを乗せて、ワインと食べるとパンの甘さにチーズの塩気と独特の香りが交じり合い、官能的なとも言えるような佳肴となる。

もうひとつ買わずにいられないのが、巨大ポン・デ・ケージョ。日本でもおなじみになったブラジル生まれのおやつパンはポルトガルでも人気がある。粉チーズを混ぜたでんぷん質の粉で作ったモチモチの食感のこのパンは、普通は一口サイズなのだが、この店のは中華饅頭くらいの大きさで、緊急の食欲にすばやく対応してくれる。買って店から出るやいなや歩きながら頬張ってしまう。ポルトガルではいい年をした大人も歩きながらものを食べる人が多いので、私も羞恥心が麻痺しつつある。

そろそろ復活祭の季節。移動祝祭日なので、何月何日なのかはさっぱりわからないが、パン屋やお菓子屋に殻付きゆで卵入りのパン、フォラール・デ・パスコアが登場するともう春だと実感する。大きいものだと4つの卵が練りこまれている。表面はジャムか何かで照りが付けられている。生地はどっしりと目が詰まっていて、ほんのり甘く、香草で香りが付けられている。

食事を作るのが面倒になったときは、焼きたてのパンにポルトガルのエキストラ・ヴァージン・オリーヴオイルをつけて食べる。オイルに皮ごとつぶしたニンニクを入れてもよい。ポルトガルのオリーヴオイルはイタリアのものよりもはるかに美味しいと、イタリア料理のエッセー漫画を連載中のリスボン在住の漫画家ヤマザキさんは太鼓判を押している。うまいパンにうまいオリーヴオイル、そしてうまいワイン。ポルトガルはほんとに良いところだ。
いいなぁ、パン美味しそー。パンは買って食べるのが、一般的なんですか?それじゃ、昨今の値上げは家計に影響大ですね。
日本のように季節メニューはなくても春を告げる復活祭など伝統行事が生きていて素晴らしい。
日本のように季節メニューはなくても春を告げる復活祭など伝統行事が生きていて素晴らしい。
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パンは買って食べるのが1パン的です。自分で焼く人はあまりいないと思います。最近のニュースで小麦の価格が高騰しているからパンが50%値上がりするかもしれないと報道されました。日本でもラーメンとか値上げしましたよね。そうなったら大変だ。
復活祭にはこの卵パンのほかに、アーモンドの砂糖がけ(卵の形に似ている)や卵形のチョコなどがスーパーに並び、卵の入った鳥の巣をかたどったケーキなども登場します。ラグビーボールの大きさの卵形チョコ、一人で食べられる方いますか。
復活祭にはこの卵パンのほかに、アーモンドの砂糖がけ(卵の形に似ている)や卵形のチョコなどがスーパーに並び、卵の入った鳥の巣をかたどったケーキなども登場します。ラグビーボールの大きさの卵形チョコ、一人で食べられる方いますか。
なんだぁ、近くまで来たのなら一言かけてくださいよ。
「リド」はうちの旦那のお気に入りです。パンは美味いですよね。
最近は近所にお洒落なベジタリアンレストランが出来たり、喫茶インペリオが安いセルフサービスをはじめたりで、若者はそちらに流れ、「リド」のお客の年齢層は益々上がっているようなきがします。
「リド」はうちの旦那のお気に入りです。パンは美味いですよね。
最近は近所にお洒落なベジタリアンレストランが出来たり、喫茶インペリオが安いセルフサービスをはじめたりで、若者はそちらに流れ、「リド」のお客の年齢層は益々上がっているようなきがします。
このおっきいパォン・ド・ケイジョすごいね!
焼き立てを食べてみたい。
でもあのゆで卵の入ったパンだけは、うーん、ゆで卵を入れる
必要性がどこにあるのか・・まぁ季節物で、気持ちの問題
なんだろうけどさー。でもさー。やっぱさー。
焼き立てを食べてみたい。
でもあのゆで卵の入ったパンだけは、うーん、ゆで卵を入れる
必要性がどこにあるのか・・まぁ季節物で、気持ちの問題
なんだろうけどさー。でもさー。やっぱさー。
ゆで卵入りパンは1粒で2度美味しいのだ。初めにパンを食べて、ゆで卵は後でうどんに入れて食べるのだ。
by caldoverde
| 2008-03-08 00:56
| パン・ご飯
|
Comments(5)


