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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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阿蘇列島旅日記part2 テルセイラ島篇5 しゅうとめのスープ

  テルセイラ島の滞在も今日で最後である。残念ながらこの日も天気は良くない。宿はアングラからプライア・ダ・ヴィトリアに移した。プライア・ダ・ヴィトリアの魅力はビーチとヨットハーバーなので、曇りの日は厚化粧を取ったスッピンの女性のように魅力が半減する。もちろん素顔が美しい女性もいるのだが、アングラ・ド・エロイズモのように派手な化粧の下にも古い文化遺産が豊富にあるわけではないので名所旧跡めぐりも出来ず、北ヨーロッパ系の老人たちが元気に寒中水泳?を楽しむ人気の少ないビーチやほとんど誰も来ない丘の上の展望台を散歩するぐらいしかない。11時のアングラ行きバスに乗って途中下車して昼ご飯を食べてから、プライアに戻り空港に行くことにした。

  去年も使った英語のガイドブックによると、アングラとプライアの間にあるサン・セバスチャンという村にはアソーレス諸島でベストのレストランがあるらしい。風車を改造した小さな建物で、最高の魚や肉の炭火焼を出し、ワインリストも著者が知る限り島で最も充実したものを揃えていると絶賛している。郷土料理のアルカトラやデザートも素晴らしいと褒めちぎっている。そんなに言うのなら話のタネになるものがあるだろうと、その「オズ・モイーニョス(風車)」というレストランを目指した。

  バスはいくつかの集落を通り過ぎ、20分ほどで村と呼べるほどの規模に達するところに着いた。小さいながらもゴシック様式の教会とこの島特有の派手に塗られた小礼拝堂のある広場でバスは止まり、私も降りた。ゴシック教会の中に何人か入って行くので、ミサでも行われているのかと思ったら、内部では壁画の修復が行われていた。中世の面影を残す平面的な表現ながら力強い線描による宗教画で、ポルトガルでは珍しい、価値のあるものに見受けられた。剥がされた部分も再現されたら素晴らしいものになるだろう。これでひとまず名所旧跡を見る欲求は満たされた。残るは食の欲求を満たすことである。実はペンションで朝食をとったので、腹はそれほど空いてはなかったが、安宿だけあって非常に不味いハムとセロファンに包まれたスライスチーズを食べてしまったので、口直しの必要があった。
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  広場から海に向って降りる道の途中に、白壁のところどころに黒い石が塗り込められた典型的なアソーレス風の、家にしてはかなり小さな変形的な建物がレストラン「オズ・モーニョス」だ。入り口には昔の役割をしのばせる粉を受ける箱や碾き臼があり、調度品は田舎風のアンティークで統一され、なかなかいい雰囲気である。メニューは覚悟していたほど高くない。最後の日はタコか牛肉の煮込みを食べたいと思っていたが、この店にはタコがないのでアルカトラというテルセイラ島の郷土料理を食べることにした。確かリスボンのアソーレスレストレンでアルカトラを食べたときは、牛肉が崩れるほど柔らかく煮たシチュー様のものだったと記憶している。ここでも当然コクのあるビーフシチューが出てくるものだと期待した。
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  鉄製の3本足の付いた伝統的な鍋がテーブルにやってきた。入れ物も昔風の凝ったものだと感心しながらお玉にたっぷりとシチューをすくい、皿によそったつもりであった。
  皿に現れたのは、煮詰めたキャベツの味噌汁のようなものであった。しばらくキャベツを食べてなかったので、その柔らかな甘味は懐かしく心と体に染み入っていく。キャベツの芯に近い白い部分にまで牛肉のスープの滋味がたっぷり含まれている。野菜と肉の旨みが見事に融合している。
  まず1杯目はキャベツとスープを味わい、2杯目は肉である。今度は注意してなるべく鍋のそこからお玉をすくって皿にあけた。キャベツはより細かくなっている。たまに豆も見える。それで味が複雑なんだと納得しながら肉を捜したが、1本の赤い糸状のものがフォークに引っかかっただけであった。これは煮込んで繊維状にほぐれた牛肉だ。
  では肉はいったいどこに?スープの中にすっかり溶けてしまったのだろうか?3杯目は何度もお玉をかき回して鍋のそこにあるものをすっかりさらったが、やはりキャベツしか引っかかってこない。確かにスープは濃度があっておいしいけど、バスに乗ってわざわざやって来てこれだけかよ~と心の中で叫んだ。

  いやもしかすると野菜と肉を一緒に煮込んで、出すのは別々かもしれないぞという考えが浮かんだ。もう少し待ってみよう。三本足の鍋が下げられた後、少したつとゆでじゃがいもの皿と、素焼きのどんぶり鉢がやって来た。鉢には透明な、液状の脂肪とおぼしき黄金色のスープの中にごろんとした肉の塊が入っている。これこそがテルセイラ島名物料理のアルカトラであった。そしてスライスされた甘いパンが運ばれてきた。そういえばリスボンのアソーレスレストランの支配人がアルカトラには甘いパンを添えると言っていたのを思い出した。こんなに色々来るのなら、さっきのキャベツスープは加減して食べるんだった。しっかりと弾力を残しながら崩れるほど柔らかく煮たビーフ、ほくほくねっとりしたじゃがいも、そして脂をさっぱりさせ肉の味を引き立たせる甘いパン、永久運動を引き起こしそうな組み合わせである。
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  食後はデザートが入る余地もなく、コーヒーだけを注文し精算を頼んだ。レシートを見ると、アルカトラの上に「しゅうとめのスープ」1ユーロ50セント也とある。あのキャベツのスープはアルカトラの1部ではなく、独立した別物だったのだ。チーズやオリーブと同じ、前菜の1種だったのだ。店の女の子は何も言わずにテーブルに置いていったので、私はアルカトラと思い込んで食べてしまった。まあ、大げさに言えばだまされた。しかし実際美味かったし、それほど高くはないので許すことにしよう。
  それにしてもなぜ「しゅうとめのスープ」などという変な名前が付いているのだろう。しゅうとめは腹の膨れる安いキャべツのスープを最初に出して嫁があまり肉を食べないように仕向けたのだろうか。
Commented by jojo at 2008-08-05 21:41
スープは珍しいねぇ。もしかしてなにかの誤解かも?
いずれにしろ、今度からはちゃんと食べる前に確認しましょう~。
で、caldoverdeさんの意見として、そこまでわざわざ
行く甲斐はあるレストランだった?
Commented by Moreia at 2008-08-06 01:44
Caldo do cozidoみたいなもんですかね、スープと肉と一石二鳥みたいな。このキャベツの煮え方からして、美味しそう。バターもさすが酪農の島、アソーレスのものですね。
実は私、アルカトラってずっとステーキだと思っていたのですが。
ポルには「姑のなんたら」っていう名前多いね。このスープは姑は歯が悪くて肉が挟まっちゃうから、スープで充分ですよ、って感じ。
肉は鬼嫁が食べちゃうんじゃないの(笑
Commented by caldoverde at 2008-08-11 19:33
前日タクシーの運転手やペンションのお姉さんが推すプライアの店でスズキを食べたのですが、やっぱりスズキねという感想だったので、わざわざ行った甲斐はありました。
バターに見えるものはチーズです。ナポレオンのお后のような香りの。
チーズ工場にも行きたかったんですが、時間が無くて断念しました。
Commented by Moreia at 2008-08-13 06:35
うっ!ジョゼフィーヌ香か・・凄いな。確かにケージョダイーリャは古くなるとピリッとして、ブルーチーズのようになりますね。
噂ではどこかに鯨の乳で作ったチーズがあると・・・ものの本にありましたが・・・聞いたことありませんか?
Commented by caldoverde at 2008-08-13 18:32
今はポルトガルも捕鯨反対国になっているので、鯨のことを話題にすれば立場が悪くなるのではという危惧もあり、聞けませんでした。
Commented at 2008-08-26 11:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by caldoverde | 2008-08-05 14:27 | ポルトガルの旅 | Comments(6)