日本で食べるポルトガル料理
2008年 09月 04日
今までさんざんポルトガル料理は洗練されてないだの単純だの言いたい放題言ってきたが、このとき改めて素人でもできる(参加者の方々ごめんなさい)ポルトガル料理の偉大さを思い知ったのである。メニューは前菜にヒヨコマメのサラダ、メインは「フランゴ・ナ・プーカラ」という鶏料理、デザートはボーロ・デ・ボラッシャ(ビスケットのケーキ)、ワインはヴィーニョ・ヴェルデである。
ヒヨコマメは以前にも取り上げたが、鱈の顔の付け合せや牛の脚の煮込み料理、スープ、そしてこのようなサラダにと応用範囲は広い。今回は年中簡単に手に入るツナ缶で作ったが、冬は鱈を茹でたものを使うといっそうポルトガルらしい。サラダには絶対オリーブオイル、それもフルーティなエクストラ・ヴァージンオイルが欠かせない。ポルトガルのオリーブオイルであれば最高なのだが、残念ながら日本ではあまり見かけない。先日他の植物油と混ぜて偽装していたのが発覚したイタリア産より、同じイベリア半島のスペインのオリーブオイルのほうがいいかも。日本人やスペイン人の中にはコリアンダーを苦手とする人が結構いて、日系ブラジル人の友人もそうなので、香草はイタリアンパセリにしたが、本当はコリアンダーの方がもっとポルトガルっぽくなる。
このパプリカの色が食欲をそそる?
フランゴ・ナ・プーカラのプーカラとは土鍋のことで、本来は赤土の土鍋に材料をぶち込み、暖炉の火や薪のオーブンでとろとろ煮込んだものだったのだろう。今回はどの家庭にもあるような土鍋であらかじめコンロで煮込み、材料が十分柔らかくなったところで仕上げに暖めたオーブンに入れて煮詰めた。
鮮やかな朱赤と甘い香りのパプリカで下味をつけた骨付きの鶏肉と、ざく切りの玉ねぎ、トマト、人参、ニンニクを層状に重ねる。サイコロに切った生ハムやチョリッソを散らしてこくを出し、味に深みを与える。日本ではブロックのベーコンやポークソーセージで代用する。月桂樹を何枚か入れワインを注いでただひたすら煮る。最後にオーブンに入れてちょっと表面に焦げ目をつけるといかにも田舎風でこれまた美味そうになる。付け合せはグリーンサラダとご飯。ポルトガルでは塩や油で味をつけたご飯が一般的だが、鶏が濃厚な味なので日本式の白飯が良く合う。
形はゆがんでますが味は店のものと遜色はありません
デザートのビスケットケーキ、ボーロ・デ・ボラッシャはレストランでも家庭でもとてもポピュラーなお菓子で、オーブン無しで出来る。マリービスケットと生クリームとコンデンスミルクを混ぜたクリームを交互に重ねると花形のケーキが出来る。表面もこのクリームで覆い、冷蔵庫で冷やす。激甘かと思いきや、ビスケットのわずかな塩味と濃厚なコンデンスミルクの甘さがお互いを引き立てちょうど良い加減である。
今はポルトガルの食品を扱うネットショップがあるが、一般の酒屋でポートワイン以外のポルトガルのワインを探すのは難しい。ことにヴィーニョ・ヴェルデは若いうちに飲むタイプなので、在庫を恐れると輸入できないかも。という訳で、仙台でたった一つ見つけた緑のワインはGatão(大猫)という銘柄で、酒の安売り店にもかかわらず現地の値段のウン倍で販売されている。昔のビンのデザインは長靴を履いたデッサンの狂った猫が踊っている変な絵だったが、今は可愛いキャラクターになっている。味は他のヴィーニョ・ヴェルデに比べてやや甘い。日本人向きの味とデザインということで買い付けたのかもしれない。
昔の大猫と今の大猫
東京では何軒かポルトガル料理があり、しかも都内の一等地なのでいいお値段なのは想像がつく。ところが実際に日本の一般家庭でポルトガル料理を作るとこれまたコストは安くない。日本ではワインが高いし、オリーブオイルやチョリッソなどの材料にこだわればきりがなく、その辺のスーパーには置いてない食材も多い。鱈もポルトガルだけでなく日本でも高くなっているようだ。という訳で、安くて美味しいポルトガル料理を食べたいのなら、やはりポルトガルに行くしかない。ヨーロッパのツアーの食事で一番美味しいのはイタリアでもフランスでもなくポルトガルだいう話はよく添乗員から聞く。皆さんぜひポルトガルにうまいものを食べに来てけさい!(仙台弁)
次回帰国時には、我が家でもぜひ「日本で食べるポルトガル料理教室」を実施していただきたい!!
友人知人集めて企画いたします。
お出でいただいたときに食材を購入したスーパーの地下で、ワインとオリーブオイルの量り売りをしていることが判明しました。ポルトガル産があるかは、これからの調査で判明すると思います。
ポルトガル料理を堪能するには、ポルトガルに行くのが一番なんでしょうけど…。
うーん、ポルトガルに帰ったばかりなのに、次の帰国が待ち遠しいゾ。
面白いので写真をクリックし拡大して見てください。
一応、長靴をはいたネコを意識しているんだろうと思ってましたが。
ワタシもここで育っていれば、パースのずれた絵の下手さをコンプレックスにしなくて良かったのでは?と思います。
変わるよね。おいしいものは、高い!その差がすごいね。
それに比べると、ポルトガルは(良いのか悪いのか・・)
下手すると値段に反比例して安いものの方が、シンプルな
ものの方がおいしかったりするからね。
おいしいものが万人に平等な、良い国であります。
リスボンへの出発が決まってから「勉強しなきゃ」と思って、東京にあるポルトガル料理屋をこの度「全店制覇」しました!
メニュー等の概要は大体把握しましたが、確かにワインは高いですね。
ヴィーニョ・ヴェルデは酒屋さんとかネットで買えば千円前後なのに、店で飲むとグラスで700円とか800円とかしますしね。
現地でたらふく飲む事にします!