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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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アマリア・ロドリゲスとカルド・ヴェルデ

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 不況だ不況だと言われているが、アパートの下のスーパーはいつものように人で一杯だし、デパートやショッピングセンターはクリスマスプレゼントを買う人でごった返しているし、とりあえず、今日も世の中は普通に動いている。でもやっぱり景気悪いのかなと感じるのは、以前あった店が他のオーナーに変わっていたり、別の業種になっていたりするのを見るときである。最近も仕事でお客さんとよく行っていたバイロ・アルトのファドレストランが閉店という知らせを聞いた。

 リスボンの夜の観光といえばやはりファドを置いて他にない。スペインにフラメンコ、イタリアにカンツォーネ、ブラジルにサンバ、そしてポルトガルにファド。ファドレストランは食事をしながらショウを楽しめる。レストランは8時ごろから開くが、ショウが始まるのはだいたい9時から9時半の間である。旅行会社の主催するツアーに参加すれば、ちょうど食事がひと段落ついたころショウが始まる。たまにファドを聴きに来たら、踊りが出てきたとおっしゃるお客様がいるが、ファドとともに民族舞踊をプログラムに入れている店も多い。私は正直言ってファドだけだと飽きるし、暗くなるので、明るいフォークダンスで気分転換できるほうが好きだ。リスボンに来たなら、ファドの入門編として食事もドリンクも、歌も踊りもあるファド・ディナーショウに参加してみてはいかが。日本人客の多い店なら、「暗いはしけ」が登場する確率も高くなる。ただし、いつも必ず聞けるわけではない。なぜなら・・・



 日本ではアマリア・ロドリゲスの歌であまりにも有名な「暗いはしけ」は、元々はブラジルの歌だ。メロディーもリズムもファドらしくない。しかし、アマリア・ロドリゲスはポルトガルのものにしてしまった。いや、アマリアのものにしてしまったというべきか。朗々と響き渡る美声、感情移入しすぎて時には歌いながら涙を流すほど豊かな表現力は比類がない。この曲を歌うなら、未だに人々の記憶に残るあの名唱と比較されるのを覚悟しなければならない。また私のような素人が聴いてもかなり難しい曲だとわかる。ファド歌手の誰もが「暗いはしけ」をレパートリーにしている訳ではない。

 場末の酒場で人生に疲れた女が酒とタバコで潰したしゃがれ声を張り上げるイメージのあるファドを、芸術にまで昇華させた偉大な歌手は1999年に亡くなった。アマリアのお墓はアルファマの泥棒市の立つサンタ・エングラシア教会にある。件の閉店となったファドレストランでもアマリアは歌っていたことがあったそうで、店内には彼女の最も美しい時期のポートレートのアズレージョがあった。

 12月初めからアマリア・ロドリゲスの伝記映画がポルトガル全国で上映されている。アマリアの経歴やポルトガルの時代背景を知らないとややわかりにくく、評論家の意見は厳しいが、アマリアを演じた無名の女優さんは口パクながら迫真の演技である。日本でも公開されるといいのだが。


 食べ物の登場するファドというと、私はほんの数曲しか知らないのでこれしか思いつかない。
「ポルトガルの家」Casa Portuguesa という曲で、ポルトガルの家には貧しさの中に喜びがある、愛とパンとワインとカルド・ヴェルデさえあれば・・・と歌っている。不景気だろうが、師走の寒風が吹こうが、この一汁一菜?があれば体もココロも懐も温まる。愛があれば尚可である。
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Commented by おっちゃん at 2008-12-13 11:38 x
秋冬は演歌がよく似合う。ポルトガル版みそ汁の唄ですねえ。
Commented by Moreia at 2008-12-13 20:40 x
映画「アマリア」の出来はどうでしたか?この主演女優はよく似せて作ってますよねー!でも、遺族からは「アマリアはまあんな下品な言葉は使ったことがない」と不平が出たそうですが(笑)
カルド・ヴェルデをはじめて作ったときは「こんなに簡単でよいのか?」とレシピを疑いました。うちの旦那は鍋一杯食べてしまいます。
Commented by koh at 2008-12-13 22:52 x
こんばんは、おじゃまいたします。
昔、「過去を持つ愛情」というフランス映画がありました。複雑な過去を持つフランス人男女(ダニエル・ジェランとフランソワーズ・アルヌール)がリスボンで偶然出会い、恋に落ちる、といったストーリーでした。ふたりが訪れたファドレストランの歌姫がアマリア・ロドリゲスという設定で、歌われた曲が「暗いはしけ」です。
この曲が大ヒットし、初めてファドという音楽を知った日本人も多かったと思います。わたしもそのうちのひとりです。
当時の中学生のガキにとっても、アマリアの歌はすごかった。
それとフランソワーズ・アルヌールの魅力にも参りました。
Commented by caldoverde at 2008-12-14 02:51
カルド・ヴェルデは材料費の安さ、手間のかからなさ、栄養価の高さにおいて、正にポルトガルの味噌汁ですね。ファドはやはり、しみじみとした秋冬の歌です。
ポルトガル映画は一般的に映像はものすごくきれいです。でも話のテンポがね・・・アマリアの映画は出来不出来は別としてポルトガル人なら見るべき映画でしょう。
何年か前、サンタ・エングラシア教会で日本人の男性に会いました。その方はやはり中学生のときに見た「過去を持つ愛情」の中のアマリアを忘れられず、50年後ついに念願かなってポルトガルを訪れ、アマリアのお墓参りが出来たと感激の面持ちで語っていらっしゃいました。
Commented by おっちゃん at 2008-12-14 15:17 x
今テレビ「地球の歩きかた」で、ポルトガル特集やってるのを観ています。空がキレイですね。野外で鰯を焼いて食べる小母さんが映ってます。ケーブルカーや、リスボン市電、素敵な街ですね。菓子博覧会も映りましたよ。
Commented by jojo at 2008-12-15 22:50 x
暗いはしけ、うちの父親がレコードを持っていて、どうやら
お気にいりだったらしく、こちらに来て初めて聞いた時、
「あ!この曲知ってる!」って感動しました。
アマリアの名前なんて、いや、FADOだなんて全く知識のないまま、
幼い頃から刷り込まれた曲。
正直FADOのよさ、アマリアのすごさ、未だ良くわからない
未熟者ですが、日本滞在中に友人が、「そうそう、そういえば
ポルトガルの有名なFADO歌手死んだってよー。なんだっけ、
えーっと、あま、あま・・・」と言ったとき、「アマリア!?」と叫んだ
元夫の驚愕の表情は未だ忘れられません。
Commented by モリアオ at 2008-12-16 15:09 x
お菓子の図鑑 FABRICO PRÒPRIO 今日届きました。
美味しく楽しそうなので注文しました。
11月25日にPayPalで支払い、12月3日発送消印、12日間で届きました。
娘が辞書片手に早速読んでます。
ポル語の電子辞書発売して欲しいですね。
再来年2月にある、一ヶ月のポルトガル研修目差して勉強中です。
研修中に覗きに私も行こうかと企画中です。

by caldoverde | 2008-12-13 08:58 | カルチャー | Comments(7)