鮫のスープ
2009年 02月 27日
リスボンからテージョ河を越えた対岸のアラビダ半島の南にある港町セトゥーバルには日曜も営業している魚市場があり、そこで小さな鮫カサォンが売られているのを見たことがある。アレンテージョのレストランで供される鮫はこの港からやってくるのだろうか。今でこそ高速道路が発達して内陸でも新鮮な食物が簡単に入手できるようになったが、つい20年ぐらい前の南ポルトガルは曲がりくねった狭い国道やのろくさした鉄道だけだった。港から何時間もかけて運ばれた魚の鮮度は大丈夫だったんだろうかという疑問が湧くが、鮫は腐りにくい魚で日本でも昔から山間部で食べられてきた、ということで納得。
鮫は淡白な白身で小骨はなく、大きい骨も軟骨で子供やお年寄りにも食べやすい。アレンテージョ料理はコリアンダーやポエージョという香草をよく使う。どちらも独特の香りで肉の臭みをカモフラージュする。この鮫のスープもたっぷりと香草を使う。鮮度が落ちた魚も香草を使うことによって美味しく食べられるように工夫したのかもしれない。また鮫のスープには必ず酢を使う。これもにおい消しのためなのだろうか。しかしそれほど酢の味は感じない。ホワイトシチューをゆるくしたようなマイルドな味である。そしてこの地方のスープやシチューに欠かせないのはパン。それも硬くなったパンの方がいい。でなければ揚げてカチカチにする。皿や鍋にパンを敷いてその上からスープやシチューを注いでテーブルに運ばれる。
それではポルトガルの女性シェフによる鮫のスープの実演を動画で。材料はオリーブオイル、ニンニク、コリアンダー、塩、鮫、水、小麦粉、酢、固いパン。
ダイナミックだ。分量も時間もほとんど適宜、といった感じである。レポーターが引っ張り出してきたのは巨大なコルク容器で、これに暖かい食べ物や冷たい飲み物を入れると適温が保たれるという元祖ランチジャーである。アレンテージョの土産物屋にこれの小さいものが売られている。
リスボンのホテルの最上階の眺めの良いレストランで食べた鮫料理は更にデリケートな味であった。鮫の肉はとても柔らかくて口の中でとろけるようだ。新鮮で魚臭さがまったく感じられない。ソースのコリアンダーも控えめで、コリアンダー嫌いの人でも美味しく食べられるはずである。でもこの盛り付け、やっぱりポルトガル、かなあ。
この盛り付けおかしい・・
色々考えて、左右対称で、うん、これ!と思ったのかなあ。
人参立っとるし・・
ポルトガルのように、人参の先っぽも捨てずに利用するのがホントの料理人というべきでしょう。
人参は先っぽを利用したのではなく、これでも飾り切りにしたのかも。
スペインだとアンダルシアで酢漬けにしてフライにするようです。
鱈以外の干物食べたいなあ。鰯の丸干し、さんまのみりん干し、のしいか、帆立貝の干物・・・