人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3

阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_7133031.jpg

 午後からは天気もやや回復し、オルタの町の観光スポットを訪ね歩いた。オルタはテルセイラ島のアングラ・ド・エロイズモと同じように、噴火で出来た半島がぴょこっと飛び出している。欠けた輪のような形の小山で、島と皮一枚でつながっている。つながっている首のところにかつての鯨の加工工場、現在は海洋センターとなっている建物がある。
 アソーレスはかつて捕鯨基地だったが、30年ほど前にポルトガル政府が捕鯨を禁止した後は、ホエールウオッチングを観光の目玉として前面に押し出し、欧米からの観光客を獲得することに成功した。私は外国人と鯨で議論するのは避けたいし、確実に鯨が見られるか疑わしいのでホエールウオッチングボートには乗らなかった。
阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_711915.jpg

 しかしポルトガル人がどのように鯨を捕まえどのように利用していたのかは幾分興味があったので、海洋センターに行ってみた。ピム湾に引き上げられた鯨は、頭を化粧品に、脂肪を石鹸に、骨は工芸品に、肉はなんと畑の肥料に加工されていたそうだ。ああ、もったいない。ポルトガル人にとって鯨肉は硬くて不味かった。ま、他に美味しい牛や豚や羊がいるので、無理に鯨を食わなくても良かったのかもしれないが。
 かつて鯨の血で赤く染まったピム湾は、今では穏やかな海水浴場になっている。ファイアル島では珍しいベージュ色の砂浜だ。

阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_6571972.jpg

 世界中のヨットが集うマリーナは、寄港記念にヨットマンが描いたカラフルな絵で彩られ、白いマストの林の向こうからピコ島が見える。港の近くには有名な「ピーターズ・カフェ・スポーツ」があり、観光客がビールを飲みながら歓談している。二階はスクリームショウという、鯨の骨に精巧な絵をかいた工芸品を展示する小さな美術館がある。高さ10cmほどの鯨の牙?にアソーレスの人々の生活を描いたもの、精巧な小さな彫刻など興味深いものが並んでいる。カフェの隣には同じ名前のギフトショップがあって、ここのTシャツはいいよと友達に教えてもらった。確かにデザインは可愛いし値段も手ごろだ。ただし鯨の骨細工はとても高い。
阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_712458.jpg


 そのほか市内で興味深いところというと修道院の中にあるオルタ市立博物館。ここには珍しいイチジク細工のコレクションがある。私も初めてそのような工芸品の存在を知った。この島で生まれた人物がイチジクの枝の中身の白い部分を使って非常に精巧な船の模型や建物、人物や植物のミニチュアを作り、その作品のいくつかは万博で賞をとった。髪の毛とほとんど同じ太さのロープや網、紙のように薄い植物の葉1枚1枚が再現された、気の遠くなるような根気の要る仕事だ。博物館は撮影禁止なので、どんなものかお見せできないのが残念。

 モダンな州議会議事堂も見学ができる。若い女性が建物を案内し、一般的な質問にも答えてくれる。建物のデザインや材質、議会室のカーペットや絵画は全てアソーレスの地理、歴史、文化を表しているのだそうだ。当然島の間には経済格差があるだろうと思い、テルセイラ島に比べるとファイアル島はちょっと沈んでますね、と正直な感想を述べると、彼女は、テルセイラの人はアソーレス一陽気で、建物もあんなに派手で、闘牛や祭りも盛んなのです、と答えた。もしかすると彼女はファイアル島出身かもしれないので、ここがなぜうらぶれた感じがするのか突っ込むのは遠慮してしまった。

阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_703953.jpg
 
 それはおそらく火山の噴火の影響だろう。1957年から58年にかけてファイアル島西部は活発な火山活動に見舞われた。海の中から蒸気が噴き上がり火山が現れ、溶岩が流れ、火山灰が降り注いだ。付近の集落は灰に埋もれ、家も農地も失った人々は故郷を捨ててアメリカやカナダに移住した。この噴火によってファイアル島は島民の数が半減し、以来失われた人口を回復することはなかった。
阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_659930.jpg

 その自然の驚異をまざまざと見せてくれるのが、島の西端のカペリーニョス火山。ほとんどが緑に覆われたファイアル島の先端に、黒い砂丘が突如出現したような、巨大な鯨が陸に揚がったような、とてつもなくシュールな風景である。火山灰の小山のそばには砂に半分埋もれた灯台の廃墟が残っている。実はこの下に火山センターがあり、地球の誕生から大陸の形成、なぜアソーレスには火山が多いかなど説明する映写室や展示室があって、非常に興味深い。もちろんカペリーニョス火山の誕生も克明に記録されている。不幸中の幸い、この噴火による死者はなかったそうだ。
 財産を全て失い、生きるために故郷を後にしたアソーレスの人々は、大航海時代、荒波を漕ぎ出し未知の土地を目指した勇敢なポルトガルの船乗りのDNAを確実に受け継いでいる。
阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その3_a0103335_7102291.jpg

Commented by Moreia at 2009-07-28 01:11
おおっ、懐かしいこの風景、初めて見た時何となくキリコの描く風景を思い出しました。
オルタ、そんなにうれぶれた感じでしたか?フランドルの血が混じっているから、ラテン的明るさがないのかなぁ。
Commented by caldoverde at 2009-07-28 03:43
海岸通りは観光客が多いけど、街中は寂しいかな。
でも自然はすごく美しいです。特にこの火山には圧倒されました。
Commented by おっちゃん at 2009-07-28 09:05
鯨漁りの歴史もあり、ご飯も食べられる国ポルトガル、もっと日本人観光客がいていいのにね。いまひとつ影が薄いですね。間寛平さんが、地球横断で、ポルトガルに上陸する予定だったのにフランスに変更になって残念でした。ポルトガルが紹介されるチャンスだったのに。
by caldoverde | 2009-07-27 07:21 | ポルトガルの旅 | Comments(3)