ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:肉料理( 29 )

南蛮鴨

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吹く風が冷たくなり、熱々のうどんや鍋が恋しくなる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。


エネルギーを消耗する仕事の後、家には最近買った無印良品のレトルトカレーがあったにも関わらず、ご飯が炊けるのを待ちきれないと、近所のレストラン「カーザ・ドス・パッサリーニョス(小鳥の家)」で倒れ込むがごとく昼食を取った。いつもピーク時は満席の事が多く、時には入り口で順番待ちをしている客も見られるが、一人だと案外空いている席に滑り込む事ができる。


その日のおすすめが店頭のボードやメニューの先頭に手書きで書かれ、早々売り切れるものもある。時々登場するものもあれば、本当にその日にしか無い幻のメニューもある。私が選んだのは、その日のおすすめの一つで、ここで食べるのは2度目の「鴨のオーブン焼き」であった。


ポルトガルの鴨料理というと代表的なものはアロース・デ・パト(鴨飯)であろうす。これは家庭で作ろうとすると結構手間のかかるものだ。まず鴨肉を茹でて、細く裂かなければならない。スーパーには既に裂いてある鴨飯用の鴨肉が売っており、これを使っている飲食店もあろう。しかし鴨の茹で汁にこそ鴨の旨味が抽出され、これでご飯を炊くからこそ美味いのだ。出来合いの細切鴨肉を使ったのでは、出汁ガラで調理するのと同じである。従ってちゃんと手順を踏まずに調理済みの鴨肉を使った鴨飯はあんまり美味しくない。また平皿にしゃもじでよそった様なものも反則だ。本物の鴨飯は、炊いたご飯を陶器の皿に盛って卵の黄身で色を付け、チョリソやベーコンを上に散らしてオーブンで焼かなくてはいけない。


正しいヴィゼウの鴨ご飯



そんな訳で、美味い鴨飯は旧式のレシピを守っている田舎で食べた方が美味しい。一応都会であるリスボンではじっくりと時間をかけて調理した鴨飯をゆっくり味わう暇がない人も多いので、もっとスピーディにできる鴨料理が主流?とならざるを得ない。多分。


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「小鳥の家」の鴨のオーブン焼きは、それ程待たずに出てきて、しかも鴨の肉にご飯が付いているので、見た目は違えど腹の中では鴨飯になり、おまけに皮付きのジャガイモの素揚げも添えてあり、なんか得した気分になった。


鴨肉は醤油を使わない蒲焼き風とでも言おうか、甘辛系の味付けで脂ののった鴨によく合う。ご飯はレーズンやナッツを入れてスパイスを効かせた、辛くないアジアンテイストの香ばしいライス。ひょっとするとマカオやアジアの料理から影響を受けたレシピかも。大航海時代に日本にやって来たポルトガル人達は南蛮人と呼ばれたが、南蛮という言葉には広くアジアや異国から来たというニュアンスも含まれる。リスボンで食べた鴨のオーブン焼きにはそんな香りが感じられた。鴨南蛮ならぬ、南蛮鴨である。




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by caldoverde | 2018-11-11 05:20 | 肉料理 | Comments(0)

ジャルディネイラ

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量は半分でも十分


ペルニル(骨付き豚肉)を食べたいと思いマリア・ピア通りの「タスキーニャ」に行くも、この日も空振りだった。代わりにジャルディネイラを注文した。ヴィテーラ・エストゥファダ・ア・ジャルディネイラがフルネームだが、ジャルディネイロとは庭師のことで、直訳すると庭師風仔牛の煮込み、要するにビーフシチューである。どこが庭師風かというと、角切りにした野菜がたくさん入っていて、花いっぱいの庭のようにカラフルである点だ。日本の家庭で作るビーフシチューに近い。野菜がゴロゴロ入っているので、栄養価も高く、お腹も膨らむ。


12時ちょっと過ぎという、ポルトガルではやや早めの昼ご飯の時刻にも関わらず、席は八割方埋まっていた。ほとんどが男性である。そのうちどやどやとポルシェのロゴの入った赤いトレーナーを着た軍団がやってきた。数軒先の自動車修理工場のおっちゃん達だ。彼らが座る席はもうなかったが、立ったままカウンターでコーヒーを飲んでいった。


先日アモレイラスショッピングセンターの近くに開店した小洒落たレストランの前を通りかかったら、昼のメニューにペルニルの実物が見本としてウィンドウに飾ってあり、その美味しそうな色艶に惹かれて入ったのだが、見かけは美味しそうなのに、味がしない。

実はその日もタスキーニャでペルニルを食べたくて行ってみたら、スタッフの健康上の理由から今週は喫茶部のみ営業しますとの張り紙があり、仕方なく適当な所で適当なものを食べようとしていたので、渡りに船と思ったのだが。


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味がないとゴムみたい

多分風邪をひいて嗅覚が弱くなっていたせいもあったのだろうが、この新しい店の客層はアモレイラスのオフィスや近くの銀行に勤めているような背広姿のサラリーマンや自由業風の人が多く、それで盛り付けや味が上品だったのだろう。値段も11€と毎日ランチを外食するとしたらちょっと高め。


一方「タスキーニャ」のお得意さんは近くの工場の工員や建築現場の職人などガテン系が中心で、家族経営のこの店に長年通っているらしく、互いに挨拶したり、大声で注文を取ったりと気取ったところが全くない。値段は少し値上がりして、セットメニューが8€になったが、パン、オリーブ、スープ、メインディッシュ、デザート、ドリンク、コーヒー、全部付いている。量も現場で働く男衆を満足させるだけのボリュームは十分にある。昔ながらのやや濃いめの味付けだ。私はここでで昼御飯を食べると、夜はごく軽いもので済ませることができるので、経済的だ。北部ミーニョ地方の出身だというオーナー一家は、おそらく故郷の味を大事に守っているのだろう。これからも庶民の店として、健康に気をつけて末永く続けて欲しい。


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タコのかき揚げと豆のリゾットです

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by caldoverde | 2018-03-01 08:26 | 肉料理 | Comments(5)

ペルニル

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家の前の坂道を降りて行くと、リスボンで最も番地の多い通りであるマリア・ピア通りに出る。19世紀にポルトガルにお嫁入りしたイタリア出身の王妃様は、有名なポルトの橋の名前にもなっているのだが、リスボンのこの王妃通りはあまり品が良くない。

昔は悪名高いバラック地区があり、今も昼間からカフェにたむろしている職業不詳の男性が多く、女性はもちろんその連れである。

そんな人たちが出入りするレストランはあまり入る勇気はないのだが、最近同じ通りにある「地震階段」の向かいをたまたま通りかかったら、ある食堂の中から顔見知りの内装屋さんが出てきて、ここは良いぞ、と薦めた。入ってみると客筋はマリア・ピア通りの住民とガテン系の男であるが、中は意外と明るく清潔な感じだ。


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紙のテーブルクロスに書かれた本日のメニュー


現在の国連事務総長である元ポルトガル首相のグテーレス氏にちょっと似た恰幅の良い兄さんとその多分ファミリーが切り盛りする「タスキーニャ(小さな居酒屋)」の本日のメニューは、豚の骨付腿肉のグリル(ペルニル)であった。こんがり良い色に焼けて、脂肪や軟骨の部分も柔らかくカロリーを忘れて食べた。付け合わせは菜の花の炒め物と皮付きのジャガイモで、どちらも美味い。夜までお腹いっぱいになった。


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豪快です

軽いものを食べたい時に選んだメニューはアンコウのリゾットで、普通に美味しい。スープは要るかと聞かれ、汁物が重なるので断ったが、リゾットを食べた後に野菜が欲しくなったので、サラダを注文した。


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サカナ(変態)という名のピリピリソースを数滴入れると更に美味しく



牛・豚・鶏・ソーセージのグリル

3回目に行った時は、ペルニルを食べるつもりだったが既に売り切れだったので、現場のおじさんたちが食べていた焼肉盛り合わせを頼んだ。私も現場で働けるのではないかと力がみなぎってきたが、500mlの赤ワインの酔いの方が力よりも早く体に回った。

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ラクダのよだれ(ババ・デ・カメーロ)というどろどろのデザート

メインの料理の他に、ワインやビールなどの飲物、追加のサラダやデザートやコーヒーも頼み、10ユーロで間に合うかなと思いながら勘定を頼むと、いつも7ユーロ幾らしかかからない。セットメニューのようだ。だったら安い。でも毎日この店に通っていたら国連事務総長のようになってしまう可能性があるので、気を付けないと。


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世界の平和のために働くタスキーニャの主人

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ペルニルを食べたくて行ったらこの日も空振り。でも本日のメニューのドブラーダ(白豆とモツの煮込み、ポルトのトリパスとほぼ同じ)も美味かった!看板に「ポルトガル伝統料理」と銘打っているだけある。最近流行りのオシャレ系よりやっぱりこっちだね。

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by caldoverde | 2017-11-26 20:58 | 肉料理 | Comments(10)

傘とイワシと仔豚で乾杯

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最近アゲダという町が日本で有名になっているらしい。夏の間の商店街が傘のアーケードで彩られる「傘祭り」が行われ、TVや雑誌で紹介されて「地球の歩き方」にまで載るようになり、今年の夏はこの祭りとコインブラ、ナザレ、オビドスを1日で周る個人向けのツアーが登場し、ポルトガルに居ながらにして初めてアゲダという地名を知った次第である。

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「傘祭り」は現地ではAgitAgueda(アゲダ揚げた、のようなネーミング)と称し、特に7月は傘に加えて様々なストリートパフォーマンスが繰り広げられる。8月は動きのあるイベントは少ないものの、アンブレラに合わせてベンチや街灯も虹色にペイントされた歩行者天国に、若い日本人女性は大喜びである。昔若い女性だった私もストリートの可愛らしさに心躍るが、それよりも心惹かれたのは、通りの入り口にあるカフェの看板であった。傘やイワシや仔豚の形をしたお菓子の写真が店に張り出されている。

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こわもてのおじさんと可愛いお菓子

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傘のクッキー

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同じに見えますがアジとイワシ。中身がアーモンドクリームと糸かぼちゃジャムの違い。

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仔豚の形のレイタンパイ

コインブラからアゲダに向かう途中にメアリャーダという町がある。ここは仔豚の丸焼き「レイタン」で有名で、メインストリートは両側にずらりとレイタン専門店が並ぶ仔豚街道だ。町の入り口のロータリーには、仔豚の彫刻や串刺しにした仔豚を釜に入れて焼く職人を描いたアズレージョのパネルもある。またこの地域はバイラーダというワインの産地でもある。重厚な赤ワインやキレの良い白ワインもあるが、有名なのはスパークリングワイン(エスプマンテ)。辛口、甘口、中辛、白だけでなく赤やロゼもある。街道のキノコ型のコルク栓のオブジェはこの地方が誇る美酒エスプマンテをシンボルしている。

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どうだ‼︎

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付け合わせはポテチとサラダ。
残念ながらエスプマンテのグラスワインはないみたい。

パリッと香ばしく焼けた皮、甘みのあるとろけるような脂肪、柔らかくジューシーな肉、ピリッと胡椒のきいたソースに、爽やかに弾ける香り高い発泡ワインが絡み合い、至福のハーモニーを奏でる。コインブラ、ルーゾ、ブサコ、アゲダの辺りに行ったら、ちょっと足を伸ばしてメアリャーダの仔豚街道でレイタンとバイラーダのエスプマンテをぜひ。大きな専門店は(多分生きた)仔豚の加工から調理まで一貫して自社で行う。広い駐車場が一杯になっている店ならば、間違いないだろう。

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by caldoverde | 2016-09-02 08:36 | 肉料理 | Comments(2)

ポルトの暑(厚)い夏

猛暑というか激暑というか、バリバリに焼けるような真夏のポルトガルでは、各地で火事が相次いでいる。山火事に加え、カステロ・デ・ヴィーデのサマーフェスティバルの駐車場で400台以上の車が焼けてしまったという、街に住む人にとっても他人事でないケースもある。

それでもリスボンは、内陸に比べれば海や河が側にあり、かなり気温が上がっていても吹く風が心地よい。しかしさすがに33度ともなると冷房のあるところに避難したくなる。そうだ、北に行くんだった。ポルトならリスボンより3度は涼しいはずだ。ところがその日はリスボンを凌ぐ39度という予想最高気温。一体どうなっているのやら…

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フェレイラ・ボルジェス市場のテラスからエンリケ航海王子の銅像を眺める

「最も良いローコスト旅行先」の上位に入り、昨年辺りからかなり観光客が増えているとは聞いていたが、久々のポルトは見たことがないほどの観光客でごった返していた。リベイラ地区のドウロ河に面したいかにも外国人が喜びそうな場所は避けて、一本入った薄暗い通りの大衆食堂で食べようにも、通り抜けるのに苦労するほど人で溢れかえっていた。河沿いで食べるのは諦め、少し上にある赤い鉄とガラスでできたフェレイラ・ボルジェス市場に飲食店があるはずだと思いついた。市場の上階は工場を改装したような面白いインテリアのレストランになっていたが、その日は全て予約が入っているということだった。

外のバールも同じレストランの経営で、風が吹いて中よりも涼しいからそこに行けと促され、不承不承バルコニーに設けられた、ガラス張りのバールに移動し、ビールと軽いもので済まそうと思った。どうせ大したものはなかろうと全く期待していなかったが、先客が注文したピザをチラッとみると、なかなか美味しそうだ。でもポルトでなぜピザを食べなくちゃいけないのか。ポルトにはトリパスをはじめ、美味くてボリュームのある郷土料理がいっぱいあるのに。

時間もないので直ぐに出来上がりそうな「プレゴ・ノ・パン」を注文した。プレゴは豚肉サンドのビファナのいとこというか、焼いた牛肉を挟んだサンドイッチだ。シンプルなプレゴとトリフソースのプレゴがあり、高級な感じがするが1€位しか値段の違わないトリフソースの方を頼んだ。7,5€というとファストフードにしては高い。観光地だからこんなものだろうと期待せずに待っていると、何と…

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パンの下にも牛肉が隠れているので、肉は見た目の3倍です。厚さは2cm位

プレゴの肉といえば、牛肉を叩いて伸ばしたような薄いものだと思っていたら、厚みのたっぷりあるステーキと言って良いほど立派なのが出てきた。肉の焼き加減は表面はこんがり、中はうっすら血のにじむミディアム。ルッコラがたっぷり添えてあって、彩りも良い。パンはスカスカしたカルカッサではなく、かみごたえのあるもっちりしたバゲットタイプ。半分に切ってあるが、手にとって頬張れそうにない大きさだ。おまけに肉に隠れてハムとチーズも挟んである。ボリューム満点だ。これで7,5€なら高くない。さすがヨーロッパ随一のローコストディスティネーション、ポルトはポルトガルの大阪、くいだおれの街だ。

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by caldoverde | 2016-08-09 02:55 | 肉料理 | Comments(6)

貧乏人食堂

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前菜のミニサイズのタラコロッケは揚げたての熱々

その店には看板がなく、顧客の間では貧乏人の食堂と呼ばれている。7€でパン、ドリンク、メインデッシュ、デザート、コーヒーとコースが食べられ、味も良いので、近隣の市営住宅に住む庶民や外回りの会社員でいつも賑わっているそうだ。この木曜日はここ数年平日になっていた宗教的な祭日がまた休日に戻ったので、店が営業しているかどうかをお得意さまのBさんご夫妻に確認してもらった上に、リスボンの郊外にあるこの店まで車を出していただいた。
カーボヴェルデ人のオーナーとその奥さん(何代目かの)のシェフによる家族経営のこの店は、炭火焼が美味しい。4人でそれぞれ1種類ずつ頼み、皆でシェアした。そろそろ旬のイワシもあったが、この店で特に美味しいのは豚の頰肉なので、ほっぺたを中心に頼んだら、豚肉ばかりになった。

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クミンの香りがアクセントの豚頬

豚肉の頰肉は煮たものが多いけど、ここでは食べやすく開いて焼いてある。


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レバー嫌いの方にもお勧めのイスカス

昔、イスカスというものが何なのか知らずに頼んだら、油の中にどっぷり浸った巨大なレバーが出てきてがっかりした。実はレバーのあの食感と臭いが苦手だった。しかしBさんはここのは美味しいから、と言うので騙されたつもりで食べたら、本当に美味しかった。薄切りにし良く血抜きをして焼いてあるので、いけ好かないと思っていたイスカスをちょっと見直した。


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こんがり香ばしく焼けたピアノ

私はピアノを頼んだ。骨つきのあばら肉がピアノの鍵盤に似ているからピアノなのだろう。1本づつ切り離し、両手で持ってかぶりついて食べるのでピアノではなくハーモニカだ。私の歯では肉がすっかり骨からこそげ取れないのが悔しい。


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これも骨までしゃぶりたい美味しさ

黒豚のポークチョップもボリュームたっぷりでコテコテの美味しさ。脂の多い部位だが、黒豚は脂肪に甘みがあるので、適度な塩気が味を引き締め旨さ倍増。付け合わせのご飯やフライドポテトもいい味出している。流行っている食堂はポテトが美味しいのだが、冷凍ではなく生のじゃがいもを使うか否かによるらしい。

メインで十分にお腹が膨れるので、デザートが別会計なら端折るところだが、せっかくのセットメニューなので、ビスケットケーキとプリンを注文。
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何の観光名所もない、住民もレストランのオーナーもアフリカ系移民ばかりという団地の中にある店だが、リーズナブルな値段と味は隣まちの住民も引き寄せる。リスボンから車で行ってもお財布は痩せずにお腹がいっぱいになる貧乏人食堂だが、タクシーの運転手にはどう説明すればいいのだろうか?ドライバーは安くてうまい店をよく知っているので、業界では案外有名な店なのかもしれない。


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by caldoverde | 2016-05-27 04:44 | 肉料理 | Comments(3)

豚もん屋で一杯

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中央の今にも崩れ落ちそうな小さな建物が会員制クラブ

近所に謎の立ち飲み屋がある。店名を記す看板はなく、何時でも開いていて、所在無さげな親父たちが昼から一杯引っ掛けている。さえない店だが、安いに違いない。ある日そこでグラスのワインを飲もうとしたら、「ここは会員だけだ」と言われ、たまげた。
ボトルのワインを買うまでもなく、ちょっと飲みたいだけの時、家まで数mしか離れていないこの店は、極めて理想的な店なのだが、会員でないとダメなのか。こんなショボい店が一体何の会員専用なのか??

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ところがその変な立ち飲み屋の数10m先に、お洒落なタスカ(居酒屋)がオープンした。名前はPIGMEUという。ピグメウとはポルトガル語でピグミー族だが、分解すると「私の豚」という意味になる。この店名が政治的に正しいかどうか疑問であるが、メニューが豚肉料理だけというのが売りである。レストランを紹介するサイトによると、ポルトガル初の「豚もん屋」(porcaria)である。
ポルトガル語では、お菓子屋はpastelaria、魚屋はpeixaria、文具屋はpapelaria、という風に、名詞にariaをつけると、何々専門店という意味になる言葉が多い。ところが豚のporcoにariaをつけた単語 porcaria は、(豚のような)下らないもの、汚いものを意味する。しかしユーモアのあるオーナーは「豚の店」という解釈を与え、国内初の豚専門店 porcaria と称している。ポルカリア、と人々がいう時は必ず侮蔑や嫌悪の感情が含まれているが、カンポ・デ・オリーク地区に関しては、好意を持って受け止められる言葉になるかも。
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「豚もん屋」は、謎の立ち飲み屋よりも若々しくシンプルで清潔な印象だ。紙のテーブルクロスの模様は可愛いどんぐり模様。そう、イベリコ豚の餌となるどんぐりである。女性一人でも、非会員でもOK。グラスワインは2€から、前菜は3€から。夜小腹が空いた時、ちょっとだけ飲みたい時に丁度良い。
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生ハムとヤギのチーズのサラダ。

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可愛いサイズの豚の頬肉のコロッケ。

この店のメインディシュは、豚肉を挟んだサンドイッチ。数時間低温でじっくり調理したロース肉のスライスや、レイタン(子豚の丸焼き)肉、上等な生ハム等、中身は豚肉がメインだが、一つだけベジタリアン用のものもある。サラダやフライドポテトなどの付け合せと飲み物が付くので、軽い食事にぴったり。

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近所には、おじさん達に人気のニンニクのピリッと効いた美味しい豚サンド(ビファナ)の店があるが、この豚もん屋は、ポルトガルの伝統をしっかり受け継ぎながらも、スマートでヘルシーなメニューとリーズナブルな値段、親しみやすい店づくりで、若者や女性の共感を得られるだろう。



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by caldoverde | 2015-06-12 02:05 | 肉料理 | Comments(7)

砂肝と肉ロール

引越しを機に台所に憧れのオーブンを設置したのに、生来怠け者の私は滅多に使う事がない。一人分の食事を作ろうとしたら、材料費が外食の値段を上回ることがしばしばで、しかも一度に食べきれず、2〜3日同じメニューになるので飽きてしまう。だから、よほど気合を入れないと料理できなくなってしまった。おにぎり、そうめん、うどんの類は、お金もかからずいくら食べても飽きないのだが…

面倒な時は、アパートの近くにあるカフェで軽い食事をする。特にすご〜くうまいというわけでもないが、朝は7:00から夜は22:00まで開いていて、コップで赤ワインやヴィーニョ・ヴェルデを飲みながら、無料wifiを使ってネットサーフィンをしたり、TVでサッカーの試合を観たりと極めて便利な店である。
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多分ワイン・トマト・玉ねぎなどで煮込んだ砂肝。コリコリ感があとを引く

時々無性にこの店の砂肝が食べたくなる。冷たいビールやヴィーニョ・ヴェルデをグイッと、または赤ワインをちびちびやりながら、ポルトガルの大衆新聞「コレイオ・ダ・マニャン」の肉色の写真が満載の広告ページを慌ててめくり飛ばし、爪楊枝で砂肝をつつくと気分はすっかりオヤジである。

あまり食欲のない時は、白身魚のフライか、揚げ物と飲み物で済ます。2€ちょっとである。
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ハムにひき肉をのせて巻き込み、オーブンで焼いたものと思われる。ミートローフですね

昼定食は日替わりで2種類あり、今日は肉ロールとスパゲッティボロネーズソースだった。きっとスパゲッティは昭和の喫茶店のスパゲッティミートソースに似たようなものだろうな、と思い、肉ロールにした。漠然とロールキャベツを想像していたが、名前の通り肉を肉で巻いたものだ。しかもミートソースがかかっている。味はかなり濃い。付け合わせのフライドポテトやライスを食べるまいと思ってもダメだった。隣のガテン系のおじさん達も同じものを食べている。働く人には力がつきそうだが、私には肉がつきそうだ。赤ワインと肉ロールとコーヒーで4.95€だった。満腹した私は5€札を出し、気前よく「釣りは取っといてくれ。」と店を出た。私はまた質実共に太っ腹になった。
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by caldoverde | 2014-10-02 22:32 | 肉料理 | Comments(10)

豚マメ(腎臓)

 ビトックを看板メニューにしている大衆食堂「オ・ビトック」(「美徳屋」と私が命名)の前を通りかかったら、本日のおすすめに「腎臓のグリル」というものがあった。私は特にホルモン好きでもなく、ましてやレバーは嫌いだが、一生に一度くらい豚の腎臓を試してもいいかなという考えがふと頭の中をよぎった。値段も6ユーロ程度で、もし不味かったとしても腹立ちは3日でおさまるだろう。
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 大きなソラマメの形をした腎臓は、元はどんな色をしていたのか知らないが、程よく焦げ目がつき、何となくうまそうだ。ソースはなく、味付けは塩のみで、好みでレモンを絞る。切ると均質なきめの細かい組織で、硬い筋などは見当たらない。噛むと私の嫌いなレバーの食感に似ている。一瞬ふっと古い納豆のような匂いを感じたが、すぐに無くなった。腎臓だという先入観がそのような感覚をもたらしたのかもしれない。塩焼きなのであっさりとしている。レモンのスライスだけではもの足りず、胡椒を振りかけた。できれば「エバラ焼肉のたれ」が欲しい。
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 ホルモン好き、レバー好きな方ならこの腎臓ステーキも気に入るだろう。しかし私には何かソースを添えるか、下味を付けて焼けば、更に美味しく食べ易くなると思われた。次に私が豚マメを食べる時は焼肉のたれを持参するつもりである。
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by caldoverde | 2013-06-06 14:17 | 肉料理 | Comments(4)

風邪にはステーキ 2

 風邪にやられた先週は、これまでの人生で最もステーキを食べた一週間だった。おかげでどの店のステーキが美味しいかリーズナブルか少々リサーチできた。やはり最初に食べた近所のステーキ専門店「レイ・ドス・ビッフス」の肉が一番柔らかく、上等の肉を使っているようだ。

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 また同じく近所にある大衆食堂のビトックはコストパフォーマンスが抜群で、味も悪くない。約7ユーロでステーキ、卵、キャベツ、フライドポテト、ご飯と全部付いてくる。この店はその名も「オ・ビトック」と言い、この目玉焼き付ステーキはこの店の定番である。ソースも味が良い。ハウスワインとコーヒーも頼んで10ユーロでお釣りが来る。

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 ファドハウスの「ティンパナス」のステーキもなかなか。たっぷりニンニクを使った「ポルトガル風」である。でも私がこの店の食べ物で一番好きなのは、青菜の炒め物だ。以前仕事でよく行っていた頃は、菜の花の炒めものだけ頼んでいた。

 家と同じ通りにあるグリル専門店「ヨーロッパ」の焼き魚は良かったが、肉はどうだろうか。「ヨーロッパ風ステーキ、胡椒ソース」をミディアムで注文したが、硬い。肉の部位によるのだろうが、筋があって噛み切れない部分があった。給仕が普通のナイフをノコギリナイフに替えた時点でヤバイ予感がした。また端はレアというか火の通っていない部分があった。ステーキ屋のステーキと2ユーロくらいしか違わないのなら、ステーキ屋に行けばよかったと少し後悔。でもポルトガル人はこのような噛みごたえのある肉を好むのかもしれない。

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 一週間居座り続ける風邪にとどめを刺すべく、最後のステーキを食べに行ったのは、エストレーラ大聖堂に近い「オ・ラブラドール」という肉屋兼業の店だ。隣が肉屋なので肉の見立てには間違いあるまいと見込んだ。日替わりのスープはポルトガル人が風邪をひいたとき飲む「患者」もとい「カンジャ」というチキンスープ。細く裂いた鶏肉と小さなパスタが入ったコンソメタイプのスープだ。

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 ステーキは「ラブラドール風」、シンプルに塩だけで味付けした肉は嵩があり、表面には香ばしく焼き目がついていて、中はジワッっと赤い肉汁のしみ出すいい焼き加減だ。「レイ・ドス・ビッフス」よりは固めだが、弾力があって噛む毎に滋味の出るタイプ。約10ユーロ。

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 ということで、肉質はステーキ専門店、次いで肉屋兼業の店が良いが、値段ではビトックが圧倒的に他を制圧している、という結果が出た。しかし、アソーレスレストランで食べたトカゲステーキとサンタレンのグルメ祭りでご馳走になった北部のミランダ牛のステーキを凌駕するものはない。いつか岩塩だけで味付けした炭火焼ステーキを産地のミランダ・デ・ドウロで食べたいものだ。でももうしばらくは風邪もステーキもたくさんだ。

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by caldoverde | 2013-02-18 08:37 | 肉料理 | Comments(7)