ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:インターナショナル料理( 19 )

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サンチャゴ・デ・コンポステーラは、なぜかポルトガル周遊ツアーに組み込まれることが多い。スペインじゃん!と突っ込みたくなるが、ポルトから日帰りできる距離なので、お得感が増すのだろう。川幅数十メートルのミーニョ川が二つの国を分かつ国境となり、ヴァレンサ・ド・ミーニョの城塞がスペイン側のトゥイを睨みつけているが、今は城壁内の商店街は安いリネン類や洋服を買いに来るスペイン人で賑わっている。橋を渡ると微妙に建物の作りや看板の綴りが変わる。ポルトガル北部との共通点も多いが、何となく一般的なスペインのイメージとも違う、ガリシア地方である。


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キリストの十二使徒の大ヤコブのお墓を詣でに世界中の巡礼者が訪れる大聖堂は、外観の威容と内部の荘厳さに圧倒される。リスボンのジェロニモス修道院は大航海時代の、ぶっちゃけて言えば王様個人の富を誇示するものだが、サンチャゴ・デ・コンポステーラの町は、(本物かどうか怪しい)キリストの弟子の遺骨があるという民衆の信仰が造りあげた町である。その点ではポルトガルのファティマも同様だが、街全体が重厚な花崗岩の建物群で、やはり千年の歴史の重みには敵わない。

歴史があるということは、食べ物の歴史も豊かということで、ガリシア地方にはうまいものが沢山あるのだが、ワインと主要な食べ物に関しては2013年10月の日記「ミーニョ・ガリシア ワインの旅」を参照にしていただき、今回は朝御飯に限定したい。


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滞在したホテルは有名なアバストス市場の向かいの古い石造りの立派な建物で、気持ちの良い中庭がある。その庭に面した食堂の朝食にチーズが何種かあった。有名な乳房型のガリシアのチーズに加え、淡黄色のやや大きめの円盤型のものと白いフレッシュチーズである。初めて見る円盤型のチーズを食べてみたところ、あまりのまろやかさに驚いた。チーズは塩分の強いものと思っていたが、ほとんど塩気を感じさせない。とろりと口の中でとろけるが、カマンベールのような脂っぽさや発酵臭はない。ガタイはあるのに赤ちゃんのようなピュアな味わいである。


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もちもち、とろ〜り


地元のガイドさんによると、ガリシアにはDOP(産地指定銘柄)チーズが4つあり、一つは有名な乳房型のテティーリャ、そして私が食べて感動したこのアルスア・ウジョア、他にフレッシュチーズともう一つ(失念)だそうだ。そうと知ったからには、お土産にチーズを買わずに帰ることができようか。翌日はホテルの朝食はパスし、市場に向かった。


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これはジャージー牛の乳で作ったチーズ。やはり塩分控えめ。周りのカビがアクセント。ガリシア地方の白ワイン、アルバリーニョによく合いそう。



しかし市場でチーズを買う事だけが目的でホテルの外に出たのではなかった。違う朝ご飯が食べたかったのだ。ポルトガルの一般的な朝ご飯の、ミルクコーヒーとハムやチーズを挟んだパンという組み合わせは、まだいくらか栄養を考えた方だろう。エスプレッソにエッグタルトやマフィンのような甘いものだけで、カフェインとカロリーのみ補給して10時のコーヒータイムまでしのぐ人も多い。私もだ。そんな私でもマドリードの朝食にはカルチャーショックを受けた。お菓子にコーヒーどころか、ココアにチュロス(棒状の揚げ菓子)という、1日に必要な糖分を朝食で全部割り当ててしまうような組み合わせが当地の一般的な朝食だそうだ。スペイン全土でそうなのかどうかは知らないが。日本人が毎日食べたら多分高血糖症になるだろうが、スペイン人は大丈夫なのか?


滅多にスペインに来る機会もないので一度くらいならカロリーオーバーでも構わないと思い、ココアとチュロスを探しにサンチャゴの旧市街に出た。「デザユノ(朝食) チョコレート+チュロス」という張り紙を見つけ、スペイン式モーニングセットを頼んだ。油っこい上に砂糖がまぶされたチュロスを、濃度のあるココアに突っ込んで食べるのだが、この店のココアはもはや飲み物の範疇には属さない、カップをひっくり返してもこぼれない、液体と固体の中間の分子構造であった。


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スプーンを使ってカップに付着するココアを全て掻き出して食べた後は、しばらくお腹が空かなかった。その日はサンチャゴからバスで3時間のポルトに行き、その後に電車でまた3時間かけリスボンに戻る予定だった。電車を待つ間、ポルトで一番美味しいビファナ(豚肉サンド)という触れ込みの店で、ビファナとヴィニョ・ヴェルデの遅い昼食をとった。薄く柔らかい豚肉が豪快にはみ出すパンは、肉の煮汁が染み込みフニャフニャで、崩れないように大口を開けてかぶりつきワインで流し込む。見た目はボリュームたっぷりだが重くはなく、それだけでは足りないのかフライドポテトをつけている人も多い。夜は夜でまたちゃんと夕食も食べるのだろう。1日に5回食べると言われるイベリア半島の人々は、日本人と胃腸の造りが違うという事実をひしひしと感じる1日だった。


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ポルト人のおやつです。

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by caldoverde | 2018-04-27 19:38 | インターナショナル料理 | Comments(2)

風邪にはうどん

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リスボンです。


1月の終わりから2月の初めにかけて珍しくずっと風邪をひいていた。まず喉をやられ、声が出なくなった。治りかけの頃、別のウイルスが鼻と気管を攻撃した。去年からポルトガルは干ばつで、雨らしい雨がほとんど降っていないカラカラ天気で、厳しく冷えたかと思えばポカポカ暖かくなるものだから、馬鹿な私でも一人前に風邪をひき、2週間も長引いた。


以前風邪には牛肉が良いというガセネタを仕入れて1週間ステーキを食べ続けたことがあったが、ステーキが効いたのか、自然治癒したのかはっきりしない。多分後者だと思われる。しかしプラシーボ効果というものもあり、効くと信じて摂取すれば、少なくとも気休めになる。


しかし今回はボリュームのあるステーキを食べる気も起こらず、日本人なので、消化の良さそうなうどんやラーメンをふうふういいながら食べれば早く治るのではないかと考えた。しかし高価な日本食品店で仕入れた貴重な讃岐うどんや蕎麦はもう食べ尽くした。バスに乗って買い物をしてまた家に帰って調理する間に新たなウイルスや細菌に感染しないとも限らない。どうせ外に出なくてはならないのなら、外食しよう。


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豚の角煮と青梗菜入り

まずリスボンのチャイナタウンであるマルティン・モニス地区にある中華きしめん店に行った。不愛想な女の子が顎で指図する接客、どのメニューも5€という値段、厨房から中国人の職人が麺を打っているのが見えるといういかにも本場の「大面店」だ。店のお勧めはメニュー筆頭の豚角煮きしめんらしく、これを食べている客が多いので、私も注文した。水餃子も食べたかったのだが、今日はないと言われ、麺だけにした。金属のボウルに盛られた豚角煮きしめんは、大した量でもなさそうに思えたのだが、半分ほど食べて胃が次第に重くなって来た。餃子がなくてよかった。手打ちの麺はコシがあって食べ応えがある。角煮はこってりほろほろ濃厚な味だ。


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コリアンダーやミントがサッパリ感を増す

同じマルティン・モニス地区の別の通りにはベトナムうどんのフォー屋がある。フォーは米の粉で作ったきしめんで喉ごしが良く、牛肉の薄切りとたっぷりのコリアンダーの入ったスープは脂が少なく、それ自体は淡白な味だ。これにもやしや唐辛子、ナンプラーを好みで入れて食べる。馬鹿な私はより暖かくなるかもしれないと思い、普段と同じように唐辛子やナンプラーを全部入れたら、風邪で弱った胃腸には刺激が強過ぎたようだ。


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具は豪華だが、味はB級グルメ

風邪をおして仕事をして、昼ごはんはリベイラ市場の外にあるアジアンフード店に入った。ラーメンというメニューに狂喜するも、今日はないという店員の言葉に落胆した。シーフード焼うどんのようなものがあったので、それを注文した。出て来たものは強烈にトマトケチャップ味のする昭和のナポリタンスパゲティをぶっとくした代物だった。エビやカニが入っているので、結構なお値段(15€位)だった。


結局風邪を治したのは、抗生物質と鼻うがいだった。生姜が良い、ネギが良いと言われているので、最初は生姜の砂糖漬けや、ネギを積極的に摂っていたが、どちらも刺激物なので喉には逆効果と言われ、レモンの皮を煮出して蜂蜜を入れたものに変更した。日本ではレモンは輸入品で、農薬などが使われているのでお勧めできないが、ポルトガルではよく庭先にレモンの木を植えている家があり、形も大きさも不揃いの有機栽培?のレモンが多いので、喫茶店にはレモン茶(シャ・デ・リマゥン、カリオカ・デ・リマゥン)という、熱湯にレモンの皮を入れただけの飲み物がある。風邪をひいている間はコーヒーではなくレモン茶を飲んでいた。


鼻うがい器は、日本で買った100mlのボトルよりも、ヨーロッパで売られている500mlの巨大なのがパワーがあり、驚くほどスッキリした。やはり鼻のでかい人種用に作られているだけある。



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by caldoverde | 2018-02-20 07:19 | インターナショナル料理 | Comments(4)
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いい色に揚がったタラのコロッケ

今年の夏も郷里の仙台に帰省し、日系ブラジル人のポルトガル語講師ヴァレリア先生とその生徒さんたちと共に、ほぼ恒例になったポルトガル料理の夕べを開いた。

今年のテーマは「マッサ・デ・ピメンタン」(赤ピーマンのペースト)を使った料理ということで、ヴァレリア先生は自家製のペーストを用意し、私もリスボンで出来合いのペーストを買っては来たものの、どんな料理に使われるかと聞かれると、首をひねってしまう。地方によっては何にでもこの赤ピーマンペーストを使うのだろうが、使用確実なアレンテージョ風ポークの他には、ビファナの豚肉がひょっとしてこれに漬けたものかもしれないという程度しか思い浮かばなかった。

日本ではある料理研究家が「マッサ」という呼び名でこの赤ピーマンペーストを紹介し一時ブームになり、ポルトガルにはない独創的なレシピを紹介していた。さすが換骨奪胎の得意な日本である。そのうち冷奴や寿司にも使われるようになるかも?
しかし今回は超スタンダードなアレンテージョ風ポークを中心に、これまたベタなポルトガル料理をいくつか紹介することにした。材料は全て日本で調達できる。
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これは何でしょうか?ヒント:スムージーやポタージュスープを作る時も便利

前菜はタラのコロッケ。ポルトガルの干し鱈が無いじゃないかと言われそうだが、生の切り身で全然オーケー。塩茹でにして、骨や皮を取ってほぐすのだが、日本には薄い柔らかい皮の骨のない切り身の鱈が売られているので、手間がかからない。以前作った時は布巾で鱈を揉みほぐし繊維状にしていたが、ヴァレリア先生の片腕のブラウンのハンドブレンダー(写真)が、鱈もジャガイモもあっという間に混ぜてくれて非常に楽だった。

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タコのサラダは茹でたタコの足を使えば超スピードでできるオードブルだ。タコの細切りに生の赤ピーマン、黄ピーマン、玉ねぎ、パセリ、にんにく、レモンなどをみじん切りにしてたっぷりのオリーブオイルであえるだけ。タコには塩気があるので 、ほとんど調味料を追加する必要はなかった。

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ひよこ豆のサラダも、水煮の缶詰を使えば簡単だ。玉ねぎやゆで卵、パセリ、レタスなどでボリュームアップ。これも味付けはオリーブオイル。

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メインは肉+肉になったが、アサリと豚肉を合わせたアレンテージョ風ポークと、チキンのビール煮。どちらも肉の下味付けに赤ピーマンペーストを使った。ポークは更に白ワインをひたひたに注いで月桂樹の葉と共にマリネし、チキンはビールで煮込む。分量は適当に。
最後にピーマンの千切りや、イタリアンパセリ、コリアンダーなどで飾り、出来上がり。

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付け合わせはトマトライス

今後はEUとの協定で輸入品がより安く買えるようになるらしい。ポルトガルの食材やワインが日本の日常の食卓にさりげなく登っている、そんな日も遠くないだろう。

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by caldoverde | 2017-07-24 15:21 | インターナショナル料理 | Comments(2)
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白くて丸いケイジョ・フレスコ(生チーズ)入りのサラダと組み合わせて。

ウィンナーソーセージといえば、昭和生まれの人間にとっては、真っ赤な合成着色料で染められたビニールなのか何なのか判らない皮の中に、恐らく魚や澱粉が結構な割合を占める怪しげな肉に似せたものが入った、大人の親指位の大きさの物体だった。切れ目を入れたりタコの形に形成して、運動会の弁当やお祭りの屋台のヤキソバには欠かせない華のような存在だった。

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ボリュームたっぷりのポテトサラダと、カリーブルスト(カレーソース付きソーセージ)

ヨーロッパの端くれ(失礼)のポルトガルに住んでみると、いかに西洋人が肉を無駄なく利用し保存するために工夫を重ねてきたかに感銘し、その食肉文化の恩恵を受けないわけにはいかない。しかしポルトガルは気候が温暖なせいか、腸詰関係は塩分とスパイスを効かせて干した水分の少なめなものが多く、フランクフルトソーセージのような、ブリっと弾けるような歯ごたえにジュワッと肉汁が溢れるようなタイプのものは少ない。スーパーには焼肉パーティ用に太めの生ソーセージはあるが、ポルトガル伝統のものではないと思う。

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カリカリのベーコンを添えた、チーズ入りソーセージ

さて、齧るとプリっと弾けてジュワッと肉汁が出てくるような本物のウィンナーソーセージを食べさせる店が、リスボンのリベイラ市場隣の広場の一角にある、オーストリアン・ソーセージレストラン、Hansiである。ソーセージは、どれも本場で作られたもので、スパイシーなものあり、牛肉のものあり、チーズ入りのものあり、羊その他の肉との合挽きあり、カレーソース付きありと、ヴァラエティに富んでいる。これに三種の地中海風のサラダ、胡椒のきいたフライドポテト、マヨネーズを使ったこってりタイプのポテサラなど5種類の付け合わせを組み合わせれば、毎日ソーセージ漬けでも構わないような気になる。飲み物はクリーミーな生ドイツビールがぴったり。

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デザートはザッハトルテほど上品ではないがウィーンの伝統を継承していると思われるチョコレートケーキと、素朴で甘さ控えめなリンゴとラズベリーのパイ。よくドイツ人と仕事をする同僚によると、お皿もソーセージもデザートも典型的なあちらのスタイルなのだそうだ。オーストリア人はドイツ人と同一視されるのを好まないのではないかと想像するが、メニューは両国に共通するものも多いと思う。きっとどちらの国の人も、昭和の日本のウィンナーソーセージやフランクフルトソーセージを見たら憤死するだろう。でも食べたら気に入るかもしれない。だって体に悪いものは美味いもん。

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齧ってしまいましたが、本物のフランクフルトソーセージは長い!
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by caldoverde | 2017-02-12 02:39 | インターナショナル料理 | Comments(7)
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シントラの「ピリキータ」のハロウィン版エッグタルト

カトリックの国ポルトガルでも、最近は11月1日の諸聖人の日を押しのけて、異教の祭りのハロウィンの人気が高まり、昔はカーニバルの時期にしかなかった仮装行列やパーティが行われ、仮装用の衣装やハロウィンをイメージしたお菓子なども登場するようになった。ようやく何が商機になるのかポルトガル人も気が付きつつある。

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アメリカンなベーグル屋ではちゃんとパンプキンパイがあった

秋らしからぬうららかな陽気のハロウィンの日の仕事が終わったのは、昼時のアルファマ地区だったので、テージョ河を見ながら昼ご飯を食べたくなった。サンタ・アポロニア駅の向かいの河岸の倉庫街に、美味いピザ屋があるので、久々にピザを食べることにした。

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この倉庫の並びにある。クルーズ船もよく来る。

「カザノヴァ」はワインや高級食材を扱うグルメショップの「デリデラックス」の隣に、こそっと目立たないように入り口がある。入るとすぐにピザの生地を伸ばす職人が作業しているのが見える。川に面したテラス席は、晴れた日はとても気持ちが良い。しかし希望の席を確保するには、早い時間にお店に着く必要がある。カザノヴァでは予約は受け付けないそうで、着いた順に空いている席に案内される。この日は12時40分頃に入ったらすでに満席で、私の前には7〜8人並んでいたが、一人だったので、前に並んでいた人たちを抜かして大きなテーブルの端の席に案内された。隣では職場の仲間らしき男女のグループが楽しそうに銘々ピサやパスタやカルツォーネを注文している。

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一見イチゴの生ジュース

あるテーブルにピンク色のジュースのような液体の入った瓶があるのが見えた。イチゴシェークのような色だ。これはこの店スペシャルのイチゴ酒だ。ポルトガルにはモランゲイロ(イチゴワイン)という名前のワインがあるが、これはイチゴのような香りのワインということで、原材料はブドウである。しかしカザノヴァのイチゴワインは、芳醇な甘みと香り豊かなイチゴから作った本物のイチゴ酒である。発酵の過程で生じるガスが瓶やグラスの上部に泡の層を作り、クリーミィな口当たりだ。少し気温が高い日だったので、一気飲みしたい衝動に駆られたが、ビールよりも度数が高いので、悪酔いしないようにちびちび飲みながらピザを待った。

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ピザが来た頃にはイチゴ酒もほとんどなくなりそうに

2種類のイタリアチーズとポルチーニ茸のピザの、アジアーゴ・チーズはいい塩梅に焦げ目がついて、モッツァレラの方はとろりと溶け、これだけでも十分に美味そうだが、実は小さく切って散らされたキノコの王様ポルチーニ茸の方がピザを制圧している。コリっとした歯応えと、なめこのようなヌルヌル感、肉より美味いと言われるコクのある味、そしてふんわりと広がる独特の香り。台はあくまでも薄く。チーズの重さと水分でぐにゃっと曲がるが、パリッと香ばしい焼き上がり。

歳のせいかピザ1枚を完食するのは辛くなって来たが、イチゴ酒があればなんとかいける。いくらでもお代わりしたくなる危険な味だ。しかし勘定書きを見て、ボトル1本に留めて良かったと思った。ピザが11€ちょっとで、イチゴ酒が9€、計20€を超えていた。美味しいし、満腹したし、眺めも抜群だけど、ピザに2300円使ってしまった…その日の夕食は抜いた。

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ハロウィンらしい?チーズをセトゥーバルの市場で発見。臭い羊のチーズにチョコレートをかけたもの。嫌いな人へのプレゼントにどうぞ。

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by caldoverde | 2016-11-03 16:15 | インターナショナル料理 | Comments(6)
ほぼ毎年の帰省の折は、日本食を堪能し一年間のサウダージをやっつけるのであるが、ポルトガル暮らしも長くなるにつれて、1ヶ月もポルトガル料理が食べられないのかと逆の感覚を覚えるようになった。そして今年は何と帰国早々東京のポルトガル料理店に食べに行ってしまった。もっとも数年前にポルトガルに遊びに来たことのある旧い友達と女子会をするというのが建前上の理由であるが。

日比谷のペニンシュラホテルから延びる、落ち着いた石畳風の通りにはコム・デ・ギャルソンやらエルメスなどのシックなお店が並ぶ。そんな中に昔風の地下飲食店コーナーがあり、階段を下りるとガラスのドア越しに「マヌエル 丸の内 "タスカ・デ・ターリョ" ポルトガルの肉酒場」と色々と説明のくっついた名前の小さなポルトガルレストランがある。壁にはポルトガル語のことわざか格言の様な文章が手書きで書かれ、土産物の定番の雄鶏の置物で飾られた、気取らない居酒屋(タスカ)風のお店だ。

お値段も居酒屋並みなら尚結構なのだが、何しろここは東京の、しかも一等地のど真ん中なのでそれなりになることは覚悟の上だ。アラカルトであれこれと味見するのも楽しいが、ポルトガルでもそれをやると結構高くつく。「マヌエル」ではちょっとづついろんなものが楽しめるコースが三種類あり、また追加料金2000円を払えばドリンク飲み放題なので、一番安いテイスティングコースに飲み放題を付けた。単品だと一例としてポルトガルビールが1000円という目玉が飛び出る値段なので、2時間半という時間制限の中でできるだけ飲んでやろうという意地汚い魂胆もあった。

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まず小さなまな板にぎっしり載った前菜の盛り合わせ。店の女の子が何か食べられないものはないかと尋ね、友人はレバーが苦手だと答えると、レバーパテを鱈コロッケに替えてくれた。なかなか親切だ。牡蠣の南蛮漬け、人参や赤キャベツの酢漬け、タコのサラダ、ポルトの名物モツと豆の煮込み、生ハムと、色合いも美しく盛り付けも可愛らしい。ポルトガルならオリーブの実、チーズ丸ごと、生ハムの皿をどんどん置くだけで盛り付けや彩りなどは考えていない。さすが日本である。

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レタスを四分の一に切ったものにニンニクのきいたオイルソースをかけたものはシェフのオリジナルであろう、ポルトガルでは見たことのない料理なのだが、ソースがピリ辛で、お酒がすすむ。こういう食べ方もあるのかと感心した。

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ちびちび前菜を食べながら飲み物をお代わりし、程よくお腹が満ちてきた頃、ボリュームのあるメインのチキンのグリルが登場。十分に下味をつけたチキンは臭みがなくジューシーで柔らかくてとても美味しい。2種類のソースをつけながらフライドポテトを食べるとどうにも止まらない。ポルトガルの鶏の炭火焼も美味しいがこれほど汁気はない。

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〆にはタコのリゾット。丸い弾力のある日本米で炊いたタコ雑炊は、ポルトガルに足りない繊細さが感じられる。

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デザートはポルトガルでもポピュラーな焼きリンゴ。現地では1個丸ごとどーんとやって来るが、日本人らしい美意識が加わり上品な盛り付けになっている。

コテコテの100%ポルトガル料理という訳でもないが、原型から更に洗練させる日本の洋食の伝統が十分に生かされ、誰にでも好まれる味になっている。元々ポルトガルの食べ物は日本人の口に合うとは言われているが、「マヌエル」に見られるような繊細さがあれば更に評判は高まるだろう。リスボンに支店を出せば意外とイケルかもしれない。このディナーをとった翌日、ポルトガルはユーロカップで開催国フランスを破り初優勝した。いよいよポルトガルブーム到来かも?!




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by caldoverde | 2016-07-12 04:40 | インターナショナル料理 | Comments(4)
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アサリ、イカ、エビ、鱈、赤魚入りの豪華版

仙台に帰省中、ポルトガル語の師匠である日系ブラジル人のヴァレリア先生のお宅で夕食をご馳走になった。料理上手の彼女に、ポルトガル料理を作るので作り方を教えて欲しいと頼まれたのだが、実は私は冷蔵庫の残り物を適当に圧力鍋やオーブンに放り込むだけで、いつも目分量と勘で作っている。当然失敗も多い。しかしこんないい加減な作り方でもだいたい美味しくできるレシピ?がある。魚介と野菜の鍋物、カルデイラーダである。ヴァレリア先生には材料だけメールし、簡単だからと丸投げした。

玉ねぎ、トマト、じゃがいも、赤ピーマン(緑でも可)、にんにくを輪切りまたは薄切りにする。
トマトと赤ピーマンの赤い色が食欲をそそり、また味や香りをつけるのに重要な役割を果たす。じゃがいもは輪切りにする。ポルトガルのじゃがいもは煮崩れないが、日本のはやわなので、心持ち厚めに切ると良い。

魚介類は好みのものを2種類以上用意する。アサリ、エビ、イカ、カニ、ムール貝、赤魚、鱈、アンコウ、エイ、ホウボウなど。魚は白身の魚がよく合う。種類が多ければ多いほど美味しい。

鍋底に玉ねぎを敷き、その上にトマトを乗せる。さらにじゃがいもを置いて、ピーマンをという風に野菜の層を作り、上からドボドボオリーブオイルを注ぐ。適当ににんにくを散らし、今度は魚介類の層を作り、塩を加え、魚が隠れるようにまた玉ねぎやトマト、ピーマンの層を…という風に野菜と魚介類を重ねていく。

野菜と魚介類を交互に鍋に入れたら、またオリーブオイルを注ぎ、水は加えず野菜の水分だけ、あるいは少量の白ワインで煮込む。私は圧力鍋で一気に加熱し、しばらく放置してから蓋を開けて、味や煮え具合を見る。塩鱈を使うとほとんど味付けは不要だが、足りなければ適宜塩を加える。仕上げに生のコリアンダーの葉を散らす。苦手な人はパセリでも良い。でもコリアンダーを使うと断然ポルトガル料理に近づく。

普通の寸胴鍋や圧力鍋の代わりに、カタプラーナと呼ばれる銅鑼型のポルトガルの鍋を使うと見た目も豪華で、食卓に鍋ごと持って行き食べる直前に蓋を開ければ、サプライズと共に素晴しい香りが楽しめる。

スープもすごく美味なので、ご飯やマカロニを入れて煮込んで、口福を2度味わうのも良い。

さて、初めて挑戦したヴァレリア先生のカルデイラーダは…まさしくポルトガルの味!
冷たいヴィーニョ・ヴェルデ(緑ワイン)と一緒に召し上がれ、ボン・アペティート!




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by caldoverde | 2015-08-23 01:00 | インターナショナル料理 | Comments(8)
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先日食べた「引き出し」のちらし寿司

寿司で満腹したいという欲求を、三度目の正直で叶えてくれた「引き出し」で、今度は料理上手で味に厳しいスーパーコメンテーターのMoreiaさんと一緒に夕食をとった。この店では、昼にシェフのおまかせコースが2種類あり、色んなものを楽しめるのだが、夜はアラカルトのみになる。しかし我々食いしん坊の女二人は、そこをなんとかと頼み込んで、ディナーで特別コースを作ってもらった。通された席(と言ってもカウンターしかないが)は魚の並ぶケースの前だった。ひょっとすると日本人にネタの新鮮さを自慢したかったのかもしれない。大トロやサーモンのサクを目の前に、ブラジル人の板さんが刺身や寿司を作るのを見ながら、インターナショナル和食を楽しむこととなった。
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セビッチェの器も凝ってます。

この日のコースは、ワカメとキュウリの酢の物(暑い日に…最高)、サーモンのセビッチェ(ライム果汁の酢の物)、餃子、寿司、刺身で、刺身は魚を選ぶことができる。マグロ、大トロ、サーモン、黒鯛、スズキ、ヒメジ、ヒラメ、そしてどうしても名前が頭に入ってこない白身の魚。種類は多くはないが、エッセンシャルなネタは揃っている。
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餃子と巻き寿司。シャリが光っている
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このマグロの握りは美味しかった!
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刺身はトロを除き好きな魚が選べる

ガラスケースに入っている赤いヒメジに食指がうごくので、1匹お造りにしてもらった。皮をつけたままの刺身は味も姿も上品だ。しかし頭や尻尾、骨の周りについた身が下げられてしまうのがどうにももったいなく、ダメ元で残りを煮るか揚げるかしてくれと板さんに頼んだところ、願いは聞き届けられ、身を食べられたヒメジは今度はあら汁となって骨までしゃぶられる羽目になった。
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ポルトガルで初めて食べたヒメジの刺身
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ホタテの刺身はピリ辛ソース

メニューに無いものをバンバン頼んで会計がどうなるのか不安を感じる頃、隣の客は美味しそうにゴマのアイスクリームを食べている。満腹でも甘いものは別腹、ましてやゴイアバソースのかかった抹茶のチーズケーキもあると聞いた時点で、ダイエットや節約は後日検討する事項に追いやられた。
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国際色豊かなチーズケーキ。意外に調和しています。

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by caldoverde | 2015-06-29 05:47 | インターナショナル料理 | Comments(4)

寿司@リスボン

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日本酒や日本のビールの並ぶ「引き出し」のカウンター

この週末は人生初めての大贅沢をした。3日間連続で寿司を食べたのだ。私にとって寿司とは年に数回、特別の機会に食べるご馳走だった。しかも実は生魚はあまり好きではなく、子供の頃は卵とかんぴょう巻きで満足していた。ポルトガルで寿司など食べなくとも全然平気だったのだが、金曜日に突然タガが外れた。

まず初日、仕事仲間と「五十」という最近開店した日本食レストランで食事をした。ポルトガルを代表する和食店だった「彩」の元スタッフが始めたお店だそうだ。フロアの女性は上手に日本語を話し、器も盛り付けも上品で、日本の和食店となんら遜色ない。先付け、お造り、握り寿司、焼き物、味噌汁、デザートなど何品かがセットになっているコースが30€、それにかなり良い日本酒や、ヴィーニョ・ヴェルデなどを飲み、細巻きを追加したら、一人あたり60€のお勘定となった。普段私が外食して払う金額の5〜6倍だ。高いだけあってとても美味しく、自分では作れないものだから納得すべきなのに、なんか物足りない。それは大きな皿に美しく盛り付けられた料理の半分はツマであり、握り寿司は3個しかなく、その酢飯の量はほんのわずかという上品すぎるものだったからである。ポルトガルの料理に慣れると、美味さ=量と錯覚するようになる。皿からはみ出るような大きさの肉や魚、メイン以上の量のある付け合わせの芋や野菜。ところが日本食は飾りが多く、それらはお腹を満たしてはくれない葉っぱとか大根の千切りだ。それが証拠にコースが終わった後、仲間たちは巻物を追加注文した。やはり握り3かんでは足りなかったのだ。

翌日の昼はガッツリ寿司が食べたくて、カンポ・デ・オリーク市場の寿司コーナーで寿司をテイクアウトした。以前ここで食べた人が、ここのマグロは悪くないと言っていたのを思い出し、メニューの写真にもマグロの握りがしっかり写っていたので、「シェフのおまかせセット」を選んだ。12.50€。サーモンの刺身を細巻きに変えられないかと交渉したが、拒否された。サーモンの刺身よりも河童巻きの方が嬉しいのだが。家に帰って良く見ると、何と90%以上がサーモン関係で占められていた。不味くはないのだが、しつこいし、最後は飽きてしまった。マグロはカリフォルニア巻の中にほんのちょっぴり入っているだけだった。騙された。
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サーモン好きの人にはたまらないかもしれませんが…


今度はサーモンじゃない寿司をどうしても食べたくなり、日曜の夜カンポ・デ・オリーク地区にできた「引き出し」という居酒屋風の和食屋に行ってみた。大きな一枚板のテーブルカウンターだけの、本当に日本の居酒屋スタイルだ。音楽はわざとらしい演歌やJーPOPや琴じゃなく洋楽、硬い木の椅子でなく、低めの柔らかい革張りなので、結構居心地が良い。座席が少ないので予約が推奨されているが、この日は夜9時を過ぎても客は私一人だった。人気チームのベンフィカの重要な試合があったので、TVのない店は閑古鳥だったわけだ。静かな環境で一人心ゆくまま(サーモン以外の魚の)寿司を食べることができた。注文したのはちらし寿司とキリンビール。サーモンは避けられないが、意外に珍しいネタが入っている。
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マグロから時計回りにサーモン、ヒメジ、ホタテ、イクラ、アジ、タイ、中央はヒラメ

ようやく色んな魚とご飯をどっさり使った寿司を食べ満足した。ちらし寿司20€、ビール2,50€、日本酒5€、合計27,50€という値段もまあまあだ。 細かいことを言えば、海老や卵焼きや海苔など散らすと本物のちらし寿司になるのだが。またお新香でいいから、何かお通しがあったらなあ。
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by caldoverde | 2015-05-18 18:48 | インターナショナル料理 | Comments(12)

ギリシャカフェ 2

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今リスボンではこの花が咲いています。
花蘇芳またはユダの木。


4月1日のリスボンは地中海の夏空のような爽やかな青空が広がった。当ブログスーパーコメンテーターのMOREIAさんのお誘いで、再び「サントリーニ・コーフィー」で地中海気分を味わうことにした。こんないい天気の日はやはりビール。料理が来るまでの間、何かつまむものが欲しい。

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ポルトガルのレストランの一般的なコウヴェール(パン、バター、オリーブなどの前菜)が、ここではエキゾチックなピタパン、豆や野菜のペースト、限りなくチーズに近いヨーグルト、オリーブオイル、ハーブのセットになっていて、東方の香りプンプンである。
メインにMOREIAさんはムサカ、私は鶏胸肉のチーズ詰めを注文した。ディナーは12€となるギリシャ料理も、ランチは半額で食べられて大変お得。

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ムサカは牛挽肉とナスの薄切りを重ね、ジャガイモのピューレで覆ってオーブンで焼いたギリシャ風グラタン。ポルトガルにも挽肉とジャガイモのグラタン「エンパダン」という料理があるが、ポルトガルの大学の学食でエンパダンを食べた日本人学生が、あんな不味いものは初めて食べたと漏らしていた。見た目と味が正しく一致しているエンパダンには不当な評価だ。たまたま学食の質が悪かったのだろう。このギリシャのエンパダンは見た目以上の実力があったらしくMOREIAさんは「凄く美味しい」と激賞していた。とても優しい味で、ナスの食感が嫌いとか牛肉は癖があるからとか言う好き嫌いの多い人でも喜んで平らげるだろう。
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私が頼んだ鶏胸肉にはサラダとご飯が付いて、彩りや栄養的にもバランスが良い。鶏胸肉を切ると白いフェタチーズとオリーブペーストが現れる。淡白な胸肉にコクと香りを添えている。オリーブペーストはパンに塗るだけかと思っていたら、こんな使い方もあったのか、と感心した。魚などにも応用できそうだ。
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青く澄んだ空と海、眩しい白い家のサントリーニ島は、MOREIAさんによると古代ギリシャ人が理想とした愛(男x男)を現代人も育み深めることのできる場所なのだそうな。道理でそんな島の名前をお店に付けたオーナーは、物腰がとても柔らかく、料理も繊細なわけだ。
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by caldoverde | 2015-04-02 08:04 | インターナショナル料理 | Comments(2)