ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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ラボ・デ・ペイシェ村の貸別荘「キンタ・ダス・タンジェリーナス(蜜柑荘)」のオーナーのクラウディアさんは若い小学校教員で、ボーイフレンドのヴァスコさんと共に家の管理や客の送迎を行っている。敷地はクラウディアさんの祖父が持っていた小さな果樹園で、その名の通り庭には柑橘系の樹木が何本か植えてあり、迎えに来てくれたヴァスコさんは何の樹か一つ一つ教えてくれた。やけに歴史や動植物に詳しいと思ったらガイドだそうで、翌日の半日観光をお願いした。


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レストランの壁画。女性はアソーレス出身の文学者ナタリア・コレイア。


ホテルから蜜柑荘までの移動は、ヴァスコさんが12時にロビーに迎えに来て村のレストランで私を下ろし、食事が終わる頃に再びやって来て蜜柑荘まで送ってくれた。「ボテキン・アソレアーノ」は魚がメインの、おそらく村の誰もが推奨する店だ。まず島に来たら自分のお約束のカサガイを注文する。残念ながらアソーレス産ではなく、マデイラ産だが若干安いという事だ。アソーレスのカサガイは採る時期が決まっていて、冬は流通しないそうだ。魚はペイシャン(大魚)という名前の小さめの鯛のような魚であっさりした淡白な味だ。デザートはクルミのタルト。私はクルミが大好きなのだが、ポルトガルのクルミ系菓子には失望することが多かった。しかしこの店のはザクザクとクルミが使われていて食感と香ばしさが素晴らしい。カサガイや魚よりもクルミタルトの方が印象に残った。


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翌日の半日観光は通常の観光コースではなく、リクエストで2箇所を重点的に組んでもらった。一つはカペラスという村にある工房博物館。昔の店や工房を再現したテーマパーク又は田舎のキッザニアの様な施設で、消滅しつつある個人規模の伝統的な商工業を子孫に伝える趣旨で創られた。一坪程度の店舗がぎっしり並ぶ様子は昭和の商店街のミニチュアのようだ。鍛冶屋、印刷屋、タバコ屋、薬局、飲み屋、布地屋、床屋、玩具屋などありとあらゆる職種があり、昔の道具やレトロな商品が並べられている。展示物は島民からの寄贈によるものがほとんどだ。


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工房博物館を後にし、島の西側の風光明媚な海岸線に沿ってドライブし、もう一つの目的地のフェラリア温泉に向かった。ほぼサン・ミゲル島の最西端にあるこの温泉は、黒い火山岩に囲まれた天然プールの中にお湯が湧き出ており、波が静かであれば、海と一体となったワイルドな露天風呂が楽しめるが、この日は風が強く波が荒く、天然プールの入浴は叶わなかった。しかし別に塀で囲まれた浴槽があるので、デッキで日光浴をしたり山を見ながら入浴できる。客はスペイン人の女性5人と私だけで、暖かいお湯の中でのんびり泳いだり浮かんだりできた。カルデイラ・ヴェーリャもフェラリアも人里離れた場所にあり、シーズンオフならばまさに秘湯であるが、個人で行くにはタクシーかツアーでないと難しい。アソーレス諸島は掘れば必ず温泉が出てくるはずなのだが数ヶ所しかない。ボーリングに金がかかるからと言うが、そうだろうか。もったいない事だ。


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ツアーはもう一つの島民お勧めのレストラン「オ・ペスカドール(漁師)」で終了した。漁港と仲卸市場のすぐそばにあり、魚の鮮度は疑いようがない。注文したのはボカ・ネグラ(黒い口)、日本の高級魚ノドグロの仲間と思われる。脂がたっぷりのって非常に美味。アソーレスの他の場所でもボカ・ネグラは食べたが、ここのが一番美味しかった。デザートはサン・ミゲル島特産のパイナップルのケーキ。ラボ・デ・ペイシェ村で食べる魚は、値段がリスボン並みかやや高めである。貧しい村なのにと疑問に思うが、天候や季節に左右される漁や魚の品質を考えれば妥当な、むしろ安い値段かもしれない。


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by caldoverde | 2018-12-24 00:58 | ポルトガルの旅 | Comments(0)
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ラボ・デ・ペイシェとは魚の尻尾という意味で、名前の由来は色々あるが、漁港のある湾の形が魚のように見えるから、というのが有力な説の一つである。しょぼい名に相応しく、村はポルトガル国内のみならず、EUで最も貧しい地域という不名誉な称号を受けている。海沿いの漁師町は手造りっぽい小さな家が連なり、ロープにずらりと吊り下がった洗濯物やゴミの散乱する道路、所在無げな男たちがたむろするバールなど、リスボン周辺に(私の家の近所にも)見られる典型的な低所得者層の多い地区の風景だ。住民の多くが漁業に従事し、子供たちは親の仕事を継ぐ。この村はポルトガルでも平均年齢が最も若い自治体で子供が多く、14~15歳で出産する少女たちは社会問題にもなっている。家族の結びつきが強く、伝統を大事にし、必然的にいとこ同士など親類間の婚姻が多い。女性達の容貌やスタイルはリスボンのジプシーの女性達と似通っている。実際、漁師達のルーツはその昔の海賊やジプシーだったらしく、他の住民達との間には格差や差別があり、昔は教会でのミサでも漁師達の席はそうでない住民(特に女性)から離されていたそうだ。


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一方海岸から離れた地区は文字通り山の手の、主に農業を営んでいた家族が住んでいる所で、3日目と4日目に泊まった貸別荘は、この山の手地区にある。18世紀迄はこの辺りはオレンジ栽培が盛んで、ヨーロッパ、特にイギリスに向けて出荷され、オレンジルートと呼ばれるほど大いに栄えていた。ところが病気によりオレンジの木はほぼ全滅してしまい、代わりにサン・ミゲル島では新たな商品作物としてパイナップルが作られるようになった。この地区はかつてのオレンジ農家や果樹園の名残の高い塀や生垣で囲まれた住宅が多く、入り口には〇〇屋敷と書かれたアズレージョ(タイル)の表札が付けられている。


私が借りた家は蜜柑荘(キンタ・ダス・タンジェリーナス)といい、生垣に囲まれた小さな果樹園の中に造られた築6年の一戸建てである。車がやっと通れる細い道の奥にあり、付近にはスーパーも飲食店も何もないので、外食するにも買い出しするにも漁師町の方に降りて行かなくてはならない。


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お一人様には広すぎる3LDK


漁師町と山の手の境目に警察署とロータリーがあり、そこから幹線道路が東西に伸びる。幹線道路を西に向かって数分歩くと、テラス席のあるカフェが現れる。ヨーロッパ最貧の村で生まれたチョコレート専門店「ショコラティーニョ O Chocolatinho」である。ベルギーで修行した若者が、アソーレス産の材料を使ったユニークなチョコを製造販売し、チョコの他にケーキやサンドイッチなどの軽食も出す。ちょっとコーヒーを飲むために立ち寄ったのだが、バナナとパッションフルーツのボンボンも食べてみた。その時は特にどうって事はない、普通のチョコレートに思えたが、地場産品なのでお土産用に9個入りの詰め合わせを一箱買った。それをトランクの中に水平にせずに立てて一晩置いたら、チョコの中の液体が流れ出てしまった様で、箱とトランクがベトベトする。しょうがないなあと自分で食べることにした。


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デザインも可愛い💕



そうしたら…美味い‼︎フルーツの味と香りが口いっぱいに広がりチョコレートと溶け合い、素晴らしい調和を醸し出す。アソーレス産のミルクがフルーツやカカオの刺激をまろやかに中和する。はっきり言ってヘーゼルナッツのプラリネばかり使ったゴディバよりも、ポルトのアルカディアよりもずっと美味しい!昨日はコーヒーの味や香りにかき消されてあまりチョコの印象が残らなかったらしい。ピンクに色付けされたホワイトチョコはてっきりイチゴかと思いきや、塩味の赤いジャム状のものが入っている。アソーレス料理に欠かせないピメントの塩漬けのペーストで、何とも不思議な美味しさである。9個入りの箱はすぐ空になった。


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アソーレスはこんなに色んなものが採れるのかと感心する種類の多さ

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青いのがアソーレスバナナ、奥はパッションフルーツ

バラで売っているボンボンは一個50~60セントから。子供達もコインを握りしめて買いに来る。品質は山の手のお金持ちを満足させ、値段は漁師の子のお小遣いでも買える。リベイラ・グランデに支店があり、リスボンではバイシャ地区のアソーレス物産専門店で若干売っている。もし近くにお店があったら、毎日通っていたに違いない。チョコラティーニョのチョコレートは、私的チョコランキング第一位に輝いた。


by caldoverde | 2018-12-14 03:32 | ポルトガルの旅 | Comments(0)

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ホテル・ぺドラス・ド・マール(海の石ホテル)は集落から離れた海岸に位置し、火山石と杉の木というアソーレス特有の建材をふんだんに使った建物で、3年前にオープンしたばかり。浴室がガラスで仕切ってあり、大きくとった窓の景色が入浴しながら楽しめる。ネットで見た写真はオーシャンビューだったので、それに惹かれて選んだのだが、安いだけあって反対側のマウンテンビューの部屋だった。海側に変更するには12€のエキストラ料金がかかる。到着日はあまり天気も良くなかったので部屋はそのままにしたが、翌日はやはり海が見える部屋に替えてもらった。


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ホテルの後ろは牧場、前は海岸


二日目は温泉入浴を含むフォーゴ湖半日ツアーを申し込んだ。ガイド兼ドライバーのペドロさんがホテルに迎えに来てくれた。客は私一人で、料金は40€である。以前は普通のタクシーに適当に名所を回るよう依頼し、3~4時間で60€払っていた。現在はツアー会社が沢山あり、グーグルマップやトリップアドバイザーなどで簡単に見つけることができる。半日、一日のコースが色々あり、値段もそれほど高くないのでお勧めだ。ラボ・デ・ペイシェ村、リベイラ・グランデの旧市街とリキュール店、カルデイラ・ヴェーリャ温泉、フォーゴ湖を周る。


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リベイラ・グランデの旧市街は白壁に黒い石で縁取った美しい建物が多い。

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アソーレス産の果物やミルクを使った様々なリキュール。可愛い陶器の人形やミニチュアボトルもある。


主目的のカルデイラ・ヴェーリャ(古釜)温泉は初めてアソーレスに旅行した時に、帰り際にタクシーで立ち寄ってもらったが、その頃はまだ温泉としての設備(入場券を売る入り口やロッカー)が無かったように思う。現在は道がきれいに整備され、敷地内にはサン・ミゲル島の自然を紹介する小さな環境センターがあり、土産やコーヒーも売っている。鬱蒼とした巨大シダや杉の木に囲まれた温泉には3つほど露天風呂があり、若いカップルや熟年夫婦が38度の赤っぽい湯でまったり寛いでいる。風は唸り声を上げて杉の枝を揺すぶるが、温泉は谷底にあるので、寒くはない。シーズンオフなので入浴客は10人もいなかったが、夏は2時間待ちだそうだ。1時間半の滞在時間はあっという間に過ぎてしまった。


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よく見ると入浴客の手や頭が見えます


ツアーはラボ・デ・ペイシェ村にある農業協同組合のレストランで終了した。月曜日は魚をメインにする店は鮮魚の仕入れがないので休みの可能性が大で、肉がメインの農協レストランが良いでしょうとのペドロさんのアドバイスに従った。アソーレスは牛肉も有名で、リスボンのアソーレスレストランで食べたトカゲステーキは今まで食べたステーキの中で最も美味しいものだった。しかし実際にアソーレスで食べたステーキにはハズレも何度かあった。店は選ばないといけない。この農協レストランRestaurante da Associação Agrícola はサン・ミゲル島内のみならず、全国的にその名声を博している。ステーキは色々な種類のソースがあり、それぞれ大きさと部位が3種類づつある。私は最もシンプルかつアソーレスらしいレジオナル・ステーキ(地元のステーキ)の小を、テンダーロインのミディアムで注文した。地元ステーキとはピメントの塩漬けとニンニクがのっているもので、ソースもピメントのペーストと白ワインが使われる。肉の旨さもさることながら、ソースの浸みたフライドポテトが激ウマで、芋の種類が違うのか中がとろけるようにクリーミィで、完食してしまった。デザートはお茶のプリン。日本の抹茶プリンを彷彿とさせるこのデザート、リスボンではアソーレスレストランにもあるかどうか微妙なので、ヨーロッパ唯一の茶畑のあるサン・ミゲル島に来たらダイエットを中断しても是非味わいたい。


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by caldoverde | 2018-12-10 04:53 | ポルトガルの旅 | Comments(0)
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ラボ・デ・ペイシェ(魚の尻尾)警察署の看板


寒い日に大きな浴槽でじんわり湯に浸りたいという欲求は、私を旅へとかきたてる。気がつけばアソーレス行きのローコストの航空券とオフシーズンでかなり安くなったホテルを予約していた。エアーチケットはサン・ミゲル島往復50€弱と、電車でポルトに行くよりも安い。海の真ん前の5つ星ホテルは2泊で114€。海を見ながらプールで泳ぐ事もできる。もう一つの宿は庭付きの貸別荘丸々一戸で、2泊60€。場所はサン・ミゲル島の北側、島で2番目に大きな町リベイラ・グランデの隣にある、ラボ・デ・ペイシェ(魚の尻尾)という名の村だ。リベイラ・グランデの近くにカルデイラ・ヴェーリャ(古釜温泉)という天然温泉があるので、その辺りの宿を探していたら、ラボ・デ・ペイシェに見つかったという訳である。


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魚尻村のメインの教会にはXmasの飾りつけ


リスボンの濃霧のためにサン・ミゲル島に着いたのは予定よりも2時間遅れの昼2時過ぎで、雨も降っていたので、首都ポンタ・デルガーダの市内観光はパスし、タクシーでカルヴァン洞窟に向かい、そこで昼食をとった。今年の7月にテルセイラ島の1日ツアーで2つの洞窟に入り、火山の作る様々な造形に感銘を受けたので、サン・ミゲル島でもぜひ洞窟を見たいと思っていた。しかもすぐ隣には良さげなレストランもある。カルヴァン洞窟はポンタ・デルガーダの町外れにあり、午後に3回ガイドツアーが行われる。着いた時は2時半からの英語によるツアーが始まるところであった。ポルトガル人にもわからないサン・ミゲル弁よりはネイティブじゃない英語の方が聞きやすかったかもしれないが、まずは腹ごしらえをしてから1時間後のポルトガル語のツアーに参加することにした。


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本土のタコのオーブン焼きは足2~3本程度だが、この店のは小ぶりながら一匹まるごと、頭も付いている。柔らかくてとても美味しい。付け合わせはタコが抱きかかえた皮付きジャガイモと、青菜と豆とパンのそぼろ(ミガス)で、塩分控えめだがアソーレス料理にお約束の塩漬けのピメントがアクセントを効かせている。


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手前の白っぽいものはタコの頭

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ちゃんと脚が8本ある


カルヴァン洞窟は全長5kmに及ぶが、30分のガイドツアーで歩く距離は短いので体力が無くても大丈夫。溶岩流の造ったトンネルの地面はギザギザに尖った溶岩の塊や大小の火山礫が積み重なり、一方壁や天井はチョコレートが溶けたように滑らかで鈍く光る凹凸を成し、付着したバクテリアが様々な紋を作っている。触りたくなるが、残念ながらタッチ禁止である。


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触りたいけど我慢


サン・ミゲル島は比較的路線バスが多く、ちんたら走るバスに乗るのは私的アソーレスの旅の楽しみの一つなのだが、日曜日は本数は激減するので洞窟からホテルまではタクシーを使わざるを得ない。アソーレスのタクシーは未だにメーターがなく、走行距離に応じた料金が表になった紙を見て請求される。納得いかないが空港と街を結ぶバスもないので、空港からの移動はタクシーかレンタカーしかない。ポルトガルではだいぶUBER(白タク)が普及し、はっきり言ってタクシーより快適なのだが、タクシーの運転手たちが反UBERストを行った結果、むやみに増えないように法律ができた。アソーレスにはUBERはまだ上陸していないようだ。


by caldoverde | 2018-12-08 20:02 | ポルトガルの旅 | Comments(0)