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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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田舎で年越し

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テージョ河のほとりにある静かな町アルヴェガ   


この年末年始も、友人のJojoさんとパートナーのPedro氏から、アルヴェガという田舎町にあるPedro氏の実家での年越しのご招待を受けた。大晦日はサンタ・アポロニア駅からグアルダ方面の電車に乗り、アブランティスで降りて車で迎えに来てもらい、モラという町にある淡水魚の水族館を見に行った。モラはリスボンとスペイン国境を結ぶ線のちょうど中間、エヴォラの北にあるアレンテージョの田舎町である。そこから更に郊外のキャンプ場の側の白いモダンな施設が、ポルトガル唯一の淡水魚専門の水族館である。展示されている動物の種類は少ないながら、渋い魚やカワウソが見られてなかなか楽しい。


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ポルトガルならではの展示?

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ウーパールーパーもいます



モラの町にあるアフォンソというレストランはジビエがスペシャリティで、野うさぎ、雉、野鳩など珍しい肉の料理が多く、選ぶのに苦労する。私たちは野鳩の煮込み、雉のリゾット、そしてアレンテージョの郷土料理であるアスパラガスのミガス(パンをペースト状にしたもの)を注文した。野趣あふれるジビエ料理は、やや塩気が強いものの力強く滋味に富んでいる。アスパラガスの香るミガス、15度もあるアレンテージョワインと、どっしり重い昼食は胃を夜遅くまで働かせた。別腹用のコーヒームースは、ポルトガルで初めて出会ったコーヒー系スイーツで、懐かしい日本の味(笑)である。



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見た目悪いが味が良いのがポルトガル料理。
上は野鳩、下は雉のリゾット

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ミガスは様々な肉料理の付け合わせとして食べられるが、お腹が膨れる

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コーヒームースとコーヒーゼリーのコンビ


昼食の後は、パヴィアという村にある不思議な教会を見に行った。4000~3000年前の新石器時代のアンタ(ドルメン)と呼ばれる巨石で作られた墓を17世紀に礼拝堂にしたものだ。ポルトガル内陸には、ドルメン、メンヒル、環状列石など巨石文化の遺跡が多い。古代人はどうやってこんな大きな石を運んで組み上げたのか、何のために造ったのか不思議だが、モラにそれを解説する資料館がある。またモラに行く機会があれば、資料館でその秘密を知りたいと思う。


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ドルメンのある広場では年末行事の焚火をやっていた


礼拝堂を見ていると、村の女性が私たちに話しかけてきた。彼女はパヴィアの地区長さんで、彼女が鍵を管理している小さな美術館を開けて見せてくれた。マヌエル・リベイロ・デ・パヴィアの個人美術館には、原画はほとんどなく印刷されたものや版画が主だが、力強いタッチの農民や女性像は、アレンテージョへの思いがひしひし感じられる。パヴィア出身なのでデ・パヴィアと呼ばれた画家は、ドルメンの礼拝堂に隣接した、おそらく現在廃墟になっている辺りの小さな家で生まれ、リスボンで貧困のうちに亡くなった。案内してくれた女性区長さんは、他所から見ると数多ある小さな村の一つにすぎないパヴィアが大好きで、この画家と郷土への愛を熱く語った。


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アレンテージョの農婦を描いた作品。地区長さんにちょっと似ているかも


ポルトガルの田舎ではクリスマスや大晦日の夜に木の根や薪を燃やして新年を迎える伝統がある。昨年は庭で結構大きな焚き火ができたが、今年は燃やす木が少なく、また雨が降って湿っていたので、焚き火は規模が縮小された。しかし大量の食糧を買い込んでいたお二人のおかげで、豪華な大晦日と新年を迎えることができた。炭火で焼いた牛の骨付き肉、ハヤトウリのスープ、シーフードサラダ、いろんな種類のチーズなど、一人暮らしではなかなか買えない&作れないものをたらふく食べて迎えた新年の目標は、当然ダイエットである。


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骨付き肉は翌日分も間に合うほどの大きさ。ご馳走様でした!

# by caldoverde | 2023-01-06 08:24 | ポルトガルの旅 | Comments(4)

ご馳走の嵐のクリスマス

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苺、クリーム、胡麻でサンタを表現     

世界各地で大雪の報道を目にする12月であるが、リスボンでは雨、時にはゲリラ豪雨の多い今年の冬でしかも妙に暖かい。ホワイトクリスマスならぬレイニークリスマスの25日は、仕事の大先輩方とその配偶者や友人が集まるXマスパーティに招待された。リスボン近郊のビーチに程近いHoly邸では当主のマダムHolyさんとブラジル人アシスタントのAriさんが、メインディッシュ2品とクリスマス菓子を着々と準備していた。メインは肉料理なので、それに合う野菜料理をとのリクエストを受け、私はクレソンのサラダ、カボチャと胡桃のサラダ、大根と人参のなますを持参した。


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味も見た目もお洒落



メインの準備中は、Moreiaさんが用意した繊細な5種類のディップで、其々グリッシーニや野菜につけて味当てクイズを楽しんだ。ご贔屓チームの色の赤に身を包んだサンタならぬ炎の料理人Mr. Luísは、チョリソ焼き器とアルコール持参で、3種類の腸詰の盛合せを調理。OvosMolesさんは自宅で下準備したスポンジケーキを加工し、可愛いサンタのいるブッシュ・ド・ノエルを制作。ミセスChocoさんが電気釜ごと運んだ鰻のひつまぶしの、甘辛いタレの絡まったご飯はワインにも良く合う。


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アルコールをかけて焼いています

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うなぎご飯と、Hokkaidoという銘柄のカボチャのサラダ


さて、メインの豚の骨つき肉のローストのこんがりした焼き目とジューシーな柔らかさは、十分に下味をつけオーブンで数時間かけて焼いた賜物だ。茹でた後、パンチを入れて少し潰したじゃがいもに塩とオリーブオイル、香草を振ってオーブンで焼き目を付けたゲンコツポテトが付け合わせ。香ばしく焼かれたお肉もさることながら、肉汁を絡めて食べるじゃがいもの旨いこと!


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豪快です


もう一つのメインは、アロース・デ・パト(鴨ご飯)そっくりに作った鶏ご飯。レストランで食べる鴨飯は、米が固めで、鴨肉がバサバサした感じのものも多いが、マダムHolyの鶏ご飯は、こんがり焼かれたチョリソの下のソフトな鶏肉とほんのりスパイシーなご飯が優しくクリーミーで、とても上品な味わいだ。


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良い色に焼けた鶏めし


お腹が一杯になったら、今度はデザート攻勢が待ち構えている。コテコテのバスクチーズケーキ、生クリームをたっぷり使ったブッシュ・ド・ノエル、ブドウジュースを使ったタピオカデザート、チーズ、ナッツ、ドライフルーツ、チョコレート、クッキーが、肉の行き先とは多分別の器官に次々と吸収されて行く。極めつけはシナモンシュガーをまぶした揚げ菓子のソーニョスで、この日に出された小山の他に、まだ50個分できるほどの生地が残っているそうだ。菓子屋で1個1.50€もすることに憤慨したマダムHolyが作ったソーニョスは、良質共に菓子屋を凌ぐ出来栄えだった。


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濃厚なバスチーと巨大なプリン

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デザートの品数は大抵メイン料理より多い


普通のポルトガル人なら、前日のイブにかなりのご馳走を食べているはずで、25日はその続き、ひょっとすると元日までこのご馳走攻めは続く。そんなポルトガルはまだ平和だ。2023年は、世界が疫病と戦争から解放され、希望に満ちた1年になることを心より願う。


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くり抜いて生ハムなど色んな材料のフィリングを詰めたチーズ


# by caldoverde | 2022-12-29 07:04 | 肉料理 | Comments(2)

12月8日は無原罪の御宿りの日というキリスト教の休日で、ヤマザキマリさんのご主人Beppi氏が日曜までの短い休暇を利用してリスボンにやって来た。パドヴァの高校で教鞭を取る彼にイタリア旅行中お世話になったJojoさんと、3人で夕食を取ることになった。当初はJojoさんのパートナーのペドロ氏が料理人顔負けのご馳走を作ってくれる予定であったが、残念ながら体調不良のため彼抜きの外食となった。ポルトガルでもボーナスが出たせいなのか、Jojoさんが当たりをつけた店はどこも満員で、滑り込みでタスキーニャ・ド・ラガルト(蜥蜴亭)というレストランを予約することができた。


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ヤマザキさんの漫画に登場するイタリアのトッティのユニフォームも


蜥蜴亭は水道橋のよく見えるカンポリーデ通りの中程にある、昔から地元民に親しまれている店だ。シンボルマークの緑のトカゲは、リスボンのサッカーチームのスポルティング(クリスチアーノ・ロナルドも在籍)のサポーターを意味するのだそうだ。入り口にはガラスケースの中にサイン入りのシューズやボールが展示され、室内の壁は世界中のクラブのユニフォームで埋め尽くされ、サッカーミュージアムの様相を示す。TVはワールドカップのフランスーイングランドの試合を中継している。お客さんはむさ苦しい男のグループばかり。この日の午後、ポルトガルはモロッコに敗れ、準決勝進出を果たせなかった。彼らはポルトガルの勝利を見越して祝杯を上げるため来たのだろうが、ポルトガルが負けたおかげ(悲)で落ち着いて食事をすることができた。


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シャツのボタンに留められるように穴が開けられたナプキン


メニューは伝統的なポルトガル料理で、しかもそれほど高くない。最近は若いシェフによるやたら凝った繊細な料理がもてはやされているが、ポルトガル料理は量が正義だ。小山となったポテト、その下にまだ隠れている肉や魚、煮すぎて変色した野菜がこぼれんばかりの皿には美しい絵付けは必要ない。でもトカゲが刺繍されたナプキンは可愛い。


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アルミの楕円形の容器がレトロで良い

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青菜の炒め物もよろし


Beppi氏はクエのリゾット、私は豚の頬肉の煮込み、Jojoさんはタコのグリルを注文した。ジロラモさんも絶賛するポルトガルのリゾットは、トマトベースで魚介類を煮込み、米には出汁が染み込み(アルデンテではない)、フレッシュなコリアンダーが、臭みを消し独特の風味を与える。豚の頬肉はファリニェイラという腸詰と一緒に煮込まれ、ホロホロと崩れるほど柔らかく、ポルトガルの腸詰によく使われるスパイスのクミンの香りが効いている。十分下ごしらえをされた柔らかいタコは、たっぷりのオリーブオイルで香ばしく焼かれる。このオイルをポテトやパンにつけると食べ過ぎ注意の美味しさだが、Jojoさんはカロリーセーブのため茹で野菜に変更。デザートはアレンテージョ地方の代表的なスイーツ、セリカイアとプラムの砂糖煮を皆でシェアした。激甘を覚悟したが、意外に上品な甘さとテクスチャーである。


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プリプリで柔らかい

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シナモンがたっぷり


Beppi氏はリスボンが大好きで、以前住んでいたカンポ・デ・オリークの家を休暇用に整備している。パドヴァは何も変わらないが、リスボンは常にアップデートして面白いと言う。私は古いものがだんだん無くなって少し寂しく感じているが、街がきれいになりつつあるのは確かである。奥様のヤマザキマリさんは日本での仕事が多忙でなかなかリスボンに来れないが、リモートワークが普通になった昨今、再びリスボンでペン(キーボード)や絵筆を振るう日もそう遠くはないだろう。



# by caldoverde | 2022-12-12 23:17 | 話題の店 | Comments(4)

黄色い豆

ご無沙汰です。今は世界中ワールドカップで盛り上がっていますが、ポルトガルは順当に予選を勝ち進んでいます。日本ースペイン戦では善戦を期待していますが、ひょっとしてドーハの奇跡は再び起こるのか?


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ネコ太君の応援虚しく


先日の日本ーコスタリカ戦は、Moreiraさん宅の大画面TVで観戦がてら、開催国カタールにちなんだ中近東風のブランチをご馳走になった。ぺったんこのパンに、チーズのディップやフムス、カボチャのジャムを挟み、トマトサラダやビーツに舌鼓を打ちつつ、スパイスを加えて淹れたコーヒーを楽しむというセミベジタリアン的ヘルシーメニューで、デザートにもう1人のサポーターであるOvosMolesさん手作りの梨のチーズケーキも参戦した。しかし応援虚しく日本はコスタリカに敗れた。敗因は肉が足りなかったからであろう。日本人は肉食の歴史が浅く、筋肉のつき具合が他の国の選手と違って華奢で、上背もない。また負けて帰ったらどんな目に会うか分からない国に比べ、闘争心というか必死さが足りない。サッカーは球技でなく格闘技なのだ。さてスペイン戦ではどんな試合運びを見せてくれるだろうか。


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皮をむいて食べるとは知らずに皮ごと食べていた


応援する側も肉を食べながらビールをがぶ飲みして大声を張り上げれば、そのエネルギーが選手に伝播したかもしれない。しかし試合が肉料理を食べる時間ではない場合は、ビールのつまみに何を食べよう?ポルトガルの一般的なビールの友はハウチワマメだ。トウモロコシを大きくしたような平べったい豆の適度な塩味はビールにぴったり。日本の枝豆のような位置付けであろう。ハウチワマメは春の野や庭園を彩るルピナスの実だ。ルピナスの豆はポルトガル語でトレモソスで、先日訪れたエストレモスの地名の由来となっている。昔刑務所からこの町に逃げてきた男が灼熱のアレンテージョの野原で日陰を得たのがルピナス(トレモセイロ)の葉影だったという言い伝えによる。


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日本では観賞用ですが


もう一つの黄色い豆にひよこ豆がある。中近東ブランチのフムスは、ひよこ豆のペーストで、胡麻ペーストやオリーブオイルなどが使われている、タンパク質や繊維に富んだ栄養価の高い食べ物だ。ポルトガルでもひよこ豆は良く食べられている。乾燥豆もあるが、簡単に調理できる水煮の缶詰や瓶詰めは、今のところ1€以下と言う物価の優等生なので、最近はよくお世話になっている。


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エストレモスで買った2種類のチョリッソと一緒にトマトで煮込んだひよこ豆。固く燻したスパイシーな肉のチョリッソと独特の味わいの血のチョリッソは噛みごたえがあり、柔らかく優しい風味のひよこ豆に時々パンチを与える。



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ツナ缶、ニンニク、玉ねぎを加えて、塩、胡椒、オリーブオイルで味付けしたサラダ。

バカリャウ(塩鱈)ならなお良いのだが、ツナ缶も悪くない。


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シナモンシュガーたっぷり


クリスマス時期に登場する半月型のお菓子、アゼヴィアの中身はクリーム状のひよこ豆の餡。ポルトガル版揚げ饅頭。


ひよこ豆はくせがなくどんな味付けにも馴染む。インド料理店にはひよこ豆のカレーもある。

ひよこ豆は乾燥した気候でも良く育ち、世界中の広い地域で食べられているので、色んな食べ方がある。日本は多雨なので栽培には向かないそうだが、水煮の缶詰やパウチ入りのが売っている。適当に料理してもそれなりに美味しくなるので、お試しあれ。



# by caldoverde | 2022-12-01 04:15 | | Comments(5)
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何年かぶりにエストレモスを訪れた。コロナ禍の最中の2020年にアズレージョ専門のベラルド美術館がオープンし、時間の止まった様なあの白い町はどう変わったのだろうか。中世の城のポザーダとその周りの旧市街は相変わらず人通りは少なく、放し飼いの犬や猫がうろうろし、所々に見られる「売家」の看板の住宅が侘しさをつのらせる。変わった事と言えば町の中心のロシオ広場が大規模な工事中で、かつて広場にあった床に穴の開いただけの公衆トイレは、近い将来モダンで美しい設備となるはずである。


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渋茶と一緒にどうぞ

ロシオ広場の真ん前にあった菓子店「フォルモーザ」は健在で、この町のスペシャリティ「ガダーニャ」と修道院菓子「パン・デ・ラーラ」を店内で賞味し、他5種類の菓子をお土産に持ち帰った。どれも卵の黄身をたっぷり使った伝統菓子で「ガダーニャ」はアーモンドと卵の黄身を原料としたタルト状のスイーツ。ガダーニャとはひしゃく、または大鎌という意味だが、近くの噴水に立つ大鎌を持ったサトゥルヌスの彫像の愛称がガダーニャなので、お菓子の名前にしたのだろう。痺れる甘さである。マジパンの中に糸カボチャのジャムを仕込んだ「パン・デ・ラーラ」はもっと甘いだろうと覚悟したがそれ程でもなく、和菓子の練り切りを想起させる味と食感を持つ。エヴォラの「パン・デ・ラーラ」は饅頭のような形状だが、「フォルモーザ」のは拳骨型のアレンテージョのパンのミニチュアである。持ち帰ったケイジャーダはエヴォラのケイジャーダに匹敵する美味しさ。エストレモスに行ったらお菓子と、チョリソやチーズをぜひお土産に(チョリソは日本に持ち込み不可です)。


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味は大差なし


公園に面した宮殿を丸ごと美術館に改装したベラルド・ミュージアムは、4500点を超えるコレクションにより13世紀以来800年に及ぶアズレージョの歴史を紹介する。おそらく質量ともにリスボンのアズレージョ美術館を凌駕する素晴らしいミュージアムだ。3階建の建物にはテーマごとに分かれた35の展示室があり、時代によってテクニックやデザインが変化していくのが解る。建物自体に使われていたアズレージョも残っており、実用と美を兼ね備えた優れた素材であるアズレージョの魅力が満喫できる。見学には1階にあるワインセラーでのテイスティングも含まれており、赤、白、ロゼの3種類のワインが賞味できる。エストレモスには大小合わせて20ものワイナリーがあり、質の高いワインを生産しているので、ワイン好きな方ならワイナリー巡りも楽しめる。


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目眩くアズレージョの世界

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日本人(芸者)のつもり

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木に掛かった弁当箱を盗もうとするヒョウ?


昔文通していたおじいさんのいた土産屋や、その代筆をしていた女性の家は、持ち主は変わってもほぼそのままだった。2人とも亡くなってしまったが、女性の旦那さんは新しい伴侶を得て、別の家に住んでいると、小さな食堂の主人に聞くことができた。リスボンは今すごい勢いで変わりつつあるが、エストレモスはまだ昔の姿を保っている。これからも慎ましい白い町並みと温かい人々の心は変わらないでいて欲しい。


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ワインを作っていた甕

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白い壁に青い線、四角い煙突の長屋


# by caldoverde | 2022-10-19 02:16 | ポルトガルの旅 | Comments(2)