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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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かぼちゃウサギ再び

 11月1日は諸聖人の日というカトリックの祝日で、ポルトガルの善男善女がお墓参りをする日である。その前日の10月31日は、こちらではカーニヴァルや復活祭ほどの盛り上がりはないが、ハロウィンである。最近はスーパーなどではかぼちゃのお化け提灯を飾るところも出てきた。西洋のかぼちゃはなりは大きいが水っぽくてあまり美味くない。スープには使われるが、煮物は無理だ。1個から大量のジャムを作ったところで、食べられる量は知れている。かぼちゃのてんぷらは見たことがないし、お菓子も揚げドーナツのソーニョスぐらいにしか使われない。無駄に大きな西洋かぼちゃ、他にどんな用途があるのだろうか。
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 あったのだ。トマールのレストラン「シコ・エリアス」ではかぼちゃをくり抜いて中にうさぎのシチューを詰め、薪のオーブンでとろとろ煮込む、ユニークなメニューがある。このブログの過去の記事を見て、どうしてもこれを食べてみたいという人が現れた。しかしこの料理は並の胃袋では到底平らげることのできる量ではない。またうさぎの肉はあっさりしているので、これひとつでは飽きる可能性が大だ。大勢で2~3品頼んでシェアした方が断然楽しい。そこで他の人にも声をかけてもらい5人招集し、リスボンから車で約2時間のトマールに出かけた。

 この日注文したのは、うさぎのシチューかぼちゃ詰めのほかに、ヤギのオーブン焼き、鴨料理「パト・コン・ブロア」の3品であった。肉料理ばかりなので、日本人には完食できまいと予想し、私は参加者にお持ち帰り用のタッパーを持参するよう注意を促した。
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 予約の入ったテーブルには既に何種類かのつまみが用意されている。さっき窯から出てきたばかりですと言いたげな黒い炭がちょっぴりついた丸いパン、クルミの入ったオレンジの香りの甘いパン、季節の味の焼き栗、ビアホールの定番つまみのウチワマメ。少量ではあるが、腹の膨れそうなものばかりである。ここでうっかり手を伸ばせば、後の料理が入るスペースが縮小されるのでここはぐっと我慢しなければならない。しかしメインは肉ばかりなので前菜にペティンガス(小イワシの南蛮漬け)を頼んだ。酢と油に漬けた小イワシを皿ごとオーブンに入れて焼いているのがこの店風だ。
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 春の菜の花畑のような爽やかな色合いのパト・コン・ブロアはトウモロコシパンを使った鴨料理である。表面はブロア(とうもろこしパンを顆粒状にしたもの)とクルミと松の実で覆われ、歯ごたえと香ばしさが楽しめる。その下にはジューシーなキャベツの葉と細く割いた鴨肉が隠れている。カリカリとした歯ざわりと木の実の香ばしさ、キャベツの甘みと鴨のコクがそれぞれの個性を主張しながらお互いを引き立てている。
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 いかにもポルトガルの伝統(田舎)料理といったヤギのオーブン焼き。オリーブオイルとにんにくの基本の味付けで色艶良く焼いた肉は濃厚だが臭みがない。肉の旨みを吸収したジャガイモと菜の花の炒め物は後を引く美味しさ。私は肉そのものよりも肉と一緒に焼いたジャガイモや菜っ葉の方が好きである。
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 そしてうさぎのシチュー。厨房からテーブルに運ばれるときは、丸ごとかぼちゃがキャセロールに乗っかってやってくる。そしてテーブルに置かれるとき、かぼちゃのヘタの部分をくり抜いた蓋をはずし、中身のシチューを客に見せるのだ。うさぎの肉を玉葱やマッシュルームと一緒に煮込んだシチューは淡白だが、秋の気配の感じられるしみじみとした味だ。あっさりしているが、何で味付けしているのか分らない微妙で複雑な香りや味がある。かぼちゃの移り香だろうか。
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 やはり五人で三品は多かった。お持ち帰り用タッパーに食べ切れない分を詰め、お土産とした。しかし、デザートは別腹である。かなりの量と甘さを警戒し、二種類のデザートを五人で分けることにした。トマールの郷土菓子でこの店のスペシャリティのファティア・デ・トマールとカスタードクリームの表面を焦がしたレイテ・クリームである。
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 卵の黄身をふわふわに泡立てて蒸し焼きしたスポンジをシロップに浸したトマール郷土菓子の方はあまりの甘さに一口で満足(脱落)した人が続出した。レイテ・クリームは甘さがしつこくなく好評だったが、量が多すぎた。
 ポルトガルの田舎で食べる時は十分に体調を整え、空腹で望もう。食べ物が残ったら恥ずかしがらず、持ち帰りできますか?と聞いてみよう。地球環境のためにも。
# by caldoverde | 2009-11-05 17:50 | 話題の店 | Comments(7)

鱈の三位一体

 先日、地元の人や新しもの好きの若者はいまさら見向きもしないであろう店ばかりで、雑誌用の写真を撮る手伝いをした。店を選ぶ基準は、評価が確定した老舗で二,三年では潰れそうにない店、要するにベタな、おのぼりさんや旅行客が必ず行くようなところである。私もポルトガルに初めて来た頃は一応チェックしたし、現地の友人に招待されたりもしたが、今は自分からは行かない。そんな所ばかりだ。

 そのリストの中にシアードのビヤホール「トリンダーデ」があった。リスボンの人が「トリンダーデ」を絶賛しているのを聞いたことはない。店のアズレージョは素晴らしいが、食べ物は…と言うのが大方の意見である。私も一回か二回行ったことはあったが、あまり印象に残っていない。昔修道院だったという内装の美しさは良く覚えている。トリンダーデとはキリスト教の三位一体のことだ。その荘厳な雰囲気に圧倒され、食べ物の記憶はすっかり消えている。ビールを飲んだだけだったのかも知れないが。
 そんな訳で「トリンダーデ」を紹介するなら、おそらく内装が主役で食べ物は二次的なものになるだろうと予想し、あまり期待はしていなかった。

 給仕が薦めるこの店の名物料理は、鱈のなんとか修道院(Aで始まる…名前を失念)風と鯛のグリルだった。鱈は典型的なポルトガル料理の食材であるが、なんとか修道院とはどこにあるのかもどんな料理かも全く想像のつかない、初めて聞くものだ。メニューの説明によると鱈ととうもろこしのパンを使った料理であるらしいが、食べたことのない人には字面で説明されても良く分らない。

 イメージ写真は、文字から想像したものとはかなりかけ離れ、一般的ポルトガル料理とも一線を画した、彩りの良いきれいなものだ。三層になったケーキのような外観で、上層部はミモザのように鮮やかな黄色のつぶつぶで覆われている。これはとうもろこしのパンを細かく砕いたものだ。二層目は白っぽい鱈の身で、一番下の層は濃い緑色をしており、これはホウレンソウか菜の花を茹でたものであろう。実際に厨房から出てきた料理は、写真ほど色鮮やかではなく、一生懸命がんばってみたものの田舎っぽさの拭えない盛り付けが微笑を誘う。
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 ぽろぽろと崩れるクランブル状のトウモロコシパンには香草のコリアンダーが混じっていて、噛みしめるとなかなか複雑な味わいだ。その中からシコシコした歯ごたえに程よい塩加減の鱈の身が現れ、最後にニンニクを利かし柔らかくソテーした青菜がアクセントを添える。この料理を考案した修道院では、それぞれの素材に神、イエスキリスト、精霊の三位一体(トリンダーデ)を托しありがたくいただいたのだろう。悪くない。でも値段も安くない。確か15ユーロか16ユーロだったと思う。
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 もう一品は黒鯛のグリル。そう聞いただけで、例のステンレスの楕円皿の上に鯛の塩焼きと茹でジャガイモがごろんと転がっている映像が思い浮かんだが、出てきたものは、めったにポルトガルに来ることのない日本の記者の人たちばかりでなく、私までもが歓声をあげるような、ステキな料理だった。トマトと玉葱をオリーブオイルで炒めたソースがたっぷりかかり、付け合せのブロッコリーも鮮やかな緑色(ポルトガルでは変色するまでくたくたに茹でるのが主流)である。レモンスライスやローズマリーの小枝を飾り、なんだか地中海のリゾート地のビストロで出される食べ物のようなこじゃれたものになっているではないか。魚は新鮮で美味しく、皿の底に残ったソースをパンに付けて食べるとこれまた美味い。
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 やはり老舗は伊達に何十年も営業しているわけではない。その日はフランス人の団体も来ていたが、フランス人の厳しい批評にも耐えるように研究しているのかも知れない。しかし一般的なポルトガル人が毎日昼食をとるには厳しい値段だ。その日の定食はせいぜい8ユーロ位でないとこの不況下ではやっていけない。できれば6ユーロ以下が望ましい。てんこ盛りで結構、立派なアズレージョはどうでも良い。而して彼らが「トリンダーデ」を使うのは接待とか外国人を招待するとか特殊な状況のみにならざるを得ない。それでリスボンの人は「トリンダーデ」は観光客用だからというレッテルを貼ってしまったのかも。でも見直してもいい店だと思う。
# by caldoverde | 2009-10-17 05:09 | シーフード | Comments(6)

料理は爆発だ

 件の有名シェフ、ヴィトル・ソブラルの店「タスカ・ダ・エスキーナ」はこの不景気にもかかわらず盛況のようである。後日別のメンバー三人で夜の部の開店と同時に入ろうとしたら、既に予約で一杯で、25分後に来てくれとさえ言われなかった。またしても半ば仕方なく隣の「カーナス」で夕食をとることにした。

この前の「カーナス」(←話題の店「有名シェフvs老舗カフェの攻防」参照)の食べものはポルトガル食堂らしからぬ、工夫の跡の見られる盛り付けだったので、今度はどんなヴィジュアルか楽しみであった。
 本日のお勧めは「スーパー串焼き」(super espetada)。なんだか知らないがとにかくただものではない串焼きらしい。それに加え前回好評で追加注文したローストビーフとスタンダードなポルトガル料理の小イワシのフライを頼んだ。

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 まず、スーパー串焼き。その名に恥じぬ、堂々たる押し出し。山と盛り上げたピラフの上を、野菜と肉を交互に差した巨大な串焼きが二本交差する。平均的日本女性なら優に二人前はあり、平均を超えるキャパシティを誇る日本女性である私たちでも驚くボリュームだ。

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 小イワシのフライというと、ステンレスの楕円皿に無造作にてんこ盛りし、飾りといえばレモンを4分の1に切ったものが相場であるが、ここのはご覧のようにきれいに整列させ、余白にソースでラインを引いている。こんな可愛い盛り付けは初めて見たが、この作業によって揚げたてのフライの熱はどんどん失われ、完成しテーブルに運ばれる頃にはやや冷めていたのが残念であった。

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 そしてローストビーフ。この前はブルーチーズのソースが好評を博したが、今回のはカスタードにチョコという甘いソース(!!)で、細胞か微生物の顕微鏡写真を連想させるようなトゲトゲが描かれている。その中央に分厚いローストビーフがまるでバラの花のごとく肉感的に渦を巻いている。率直な感想は、この前のブルーチーズソースの方が相性が良いということとローストビーフと生ハムは薄い方がいいということである。

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付け合せのサラダとトマトリゾット。サラダのトマトを耳に見立て、オリーブやミニトマトでポケモンの顔を描いたらなお可愛い。

 先日の「カーナス」の料理は、ふだんスッピンのお嬢さんが口紅をひいたごとく、基本ポルトガル料理にちょっぴり彩りを添えた結果、味も見た目もぐっと向上した好例を示してくれた。で今回はこのひと工夫に味を占めたシェフが色々と趣向を凝らした挙句、遊びすぎたきらいがある。料理はできたての熱々であれば、てんこ盛りでも構わないし、肉や魚の素材や焼き加減がよければソースはなくても良いかもしれない。

 デザートでは遂にシェフのタガは外れ、ダムが決壊するごとくイマジネーションがあふれ出し、皿の中をのたうっている様相を呈している。昔TVのコマーシャルに出ていた岡本太郎画伯の鬼気迫る表情と「芸術は爆発だ!」のフレーズが頭の中に浮かんだ。
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 抽象表現主義それともアクションペインティング?実は厨房で遊んでいた調理人の子どもにやらせたのかも。

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親「今度はこのソースでぐるぐる描いてごらん」

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親「父ちゃんが見本を見せる。どうだ、ミロの絵みたいだろう。」

 ま、たまにはこんな遊び心のある料理も良いか。次はいったいどんなものが出てくるのか楽しみである。
# by caldoverde | 2009-09-15 17:07 | 話題の店 | Comments(6)
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 宿の主人にマダレーナ村周辺の見所を尋ねると、島の北西部の海岸線、そして村から少し南にあるブドウ畑の景色が素晴らしいと推奨された。ここでもまたタクシーをチャーターし、北西の海岸沿いの道を東に向かって走り、適当なところで島の内部に南下し、Uターンするような形でピコ山の裾野を横切りながら、西部のブドウ畑に立ち寄ってマダレーナに戻る、という島半周ルートで2時間ほどドライブを楽しんだ。料金は60ユーロ。
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 海岸は溶岩が海に流れ込んで固まった黒い石の磯が8kmにわたって続く。伝統的な黒い石造りの家、同じ黒い溶岩を積み上げた石垣に囲まれたブドウ畑が続く海岸沿いの道路は車が少なく道は平坦なので、ウォーキング、サイクリングには素晴らしいコースだ。もしまた来る機会があれば、自転車をレンタルして走ってみたい。黒い石の家は必ずしも古いものばかりでなく、最近建てたものも多い。コンクリートブロック作りの建物を石で覆っているのだそうだ。単なる白壁の家よりずっとお金と時間がかかるのは明らかだが、ピコ島の人は伝統を大事にする余裕があるのだろうか。
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阿蘇列島旅日記PART3 ファイアル島&ピコ島篇その4_a0103335_2047355.jpg
 18世紀、ピコ山の中腹から流れ出した溶岩は海岸沿いにある村を襲い、村は廃村となった。溶岩は海に流れて固まり、自然の彫刻を残した。この犬の形をした岩にあやかり「子犬の港」と命名された廃墟の村には再び人が戻り、黒い溶岩を積み上げた民家も修復され、地元のワインやリキュールを売る小さな土産物屋になっている。
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 次に立ち寄ったのはかつて鯨で栄えたサン・ロケの村。港には勇敢なホエールマンの銅像が建っている。昔の鯨の加工場は、ファイアル島のオルタ同様、今は鯨博物館になっている。
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 海岸から内陸に入ると冷涼な高原になる。晴れていれば18km先のサン・ジョルジェ島が見える。
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 山の裾野をまっすぐ横断する国道からちょっと入るとカピタン池があり、何組かの家族がドライブの途中休憩を取っていた。
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 島の西半分を横断する道路を突っ切って、西端のクリアサン・ヴェーリャ地区に出る。アソーレス諸島では、テルセイラ島のアングラ・ド・エロイズモ市と並ぶユネスコ世界遺産である。かつて名声を博したピコ島産ワインを造るブドウ畑の景観が、世界遺産に指定されているとは、恥ずかしながら実はこの島に着いてから知った。潮風からブドウを守るため、細かく区切られた石垣で囲まれたブドウ畑は、厳しい自然と闘ってきた人間の知恵と汗の結晶だ。ブドウ畑の中には、絵葉書にもよく登場する有名な赤い風車がある。今はみやげ物屋になっていて、高校生位の男の子が店番をしていた。私は彼の人生で最初に会った日本人だそうだ。
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 その日の夜は、タクシーの運転手に紹介された、マダレーナの隣村にあるレストランで夕食。家計が苦しくなる度に助けてもらうツナ缶メーカーのBOM PETISCOの工場の隣で、ファイアル島や二つの無人島が一服の絵になる素敵なテラス席がある。景色に惹かれテラス席に座ったが、隣席からのタバコの煙がくしゃみを引き起こすので、室内に移動しガラス越しに暮れなずむ海を見ながら、魚のスープ、魚のグリルの盛り合わせ、クルミのムースを食べた。
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 魚のだしがきいている。小エビが入っているが、残念ながら冷凍。
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 イカ、マグロ、クエ、サーモン、海老などの盛り合わせ。新鮮で美味い。
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 珍しい、とろとろのクルミのムース。
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 ちょっとリッチそうなポルトガル人と外国人で一杯だったこの店の一番の売りは、この景色でしょう。
# by caldoverde | 2009-08-18 21:17 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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 ファイアル島の中心は火山の噴火口がくぼ地になっているカルデラだ。頂上近くの展望台までは車で行くことができる。そこで降りて人しか通れぬ細いトンネルをくぐり抜けると、いきなり巨大な緑のすり鉢の淵に立っている。いつも雲のかかった山頂のくぼ地は湿気が多く、様々な苔のような植物で覆われている。よく見ると底には更に小さな火山の噴火口がある。雨の多い時期にはくぼ地は湖になり、小さな火山は小島になる。箱庭のような世界だ。山の斜面を走る道にはアジサイの生垣が続き、また杉林もたくさんあり、通り過ぎるたび爽やかな香りがする。
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 タクシーでオルタから景色のきれいな所を随所立ち寄りながら島の中央のカルデラに登り、その後カペリーニョス火山でタクシーを降りて観光し、2時間後また火山に戻ったタクシーでピコ島行きのフェリーの出る港に行き終点、という島の南半分を巡るツアーは正味3時間、70ユーロだった。

 ピコ島から折り返しのフェリーが港に着くと、下船する客、乗船する客、出迎えや見送りの人たちで賑やかになったが、日本人は見当たらない。それなのに誰かが私の名を呼んでいる。振り向くと以前一緒に仕事をしたことがあるポルトガル人のガイドだった。彼女はピコ島から来る便でファイアル島に降り立ったところであった。こんな大西洋のど真ん中で知り合いに会うなんて世の中は狭い。

 ピコ島とファイアル島の間はわずか7キロ、30分ほどの船旅だ。フェリーが着くマダレーナは、教会を中心に伝統的な建物がちまちま並ぶ典型的なポルトガルの小さな村だ。港にはやはり鯨見物のボート屋が軒を連ねている。さて、港に着いたは良いが、泊まるところを未だ決めていない。フェリーの待合室の隣にある観光局で、個人の家を旅人に提供するゲストハウスのリストをもらい、一番部屋数の多い家に電話をかけてみた。部屋はあり、なんと次のフェリーが来る時間に車で迎えに来てくれるという。たぶん港で私のように寝る所を決めずにやって来た人たち相手の営業も兼ねてだろうが、ポルトガルにしては珍しいサービスの良さだ。
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 築200年の住宅を最近改装したというゲストハウスは、前は海とファイアル島、後ろは富士山ならぬピコ山を望む素晴らしい環境の中にある。建物はきれいに塗り直され、室内は松の木をふんだんに使った温かみのあるインテリアである。バス・トイレは共同だがシャワーではなく大きなバスタブ付き。朝食も付いている。1泊40ユーロだが、連泊すると2泊目から35ユーロになるというので2泊することにした。村の中心からは少し離れてはいるが、途中こんな小さな村に似つかわしくない駐車場つきショッピングセンターがある。ファイアル島ではとんと見なかったスーパーである。よく見るとゲストハウスの周囲には、比較的新しい立派な住宅が多い。オルタの町に比べるとリッチな感じがする。この島はお金持ちの別荘が多いのだろうか、それとも外国で働いて財を成した移民が故郷に錦を飾っているのだろうか。
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 その日の夜はガイドブックに載っていた、マダレーナのワイン組合の隣にあるレストランで夕食をとった。この辺にしかない珍しいものをと期待したのだが、残念ながらそれほど目新しいものはなかった。「クエ」や「スズキ」など、定番の魚ばかりだ。しかし前菜にリスボンではアソーレスレストランでしかお目にかかれない「ラパス(カサガイ)」があったので、それを半人前頼み、メインはステーキにした。
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 ファイアル島とピコ島のどのレストランでもお通しに必ず出てくるのが、ピコ島のチーズ。これは非常に美味しい。私のランキングではポルトガルのチーズの中で2番目に美味い。中は淡い黄色で、匂いはそれほど強くない。弾力があってしかもクリーミー、軽い酸味のあるマイルドな味わいで、チーズ嫌いの人にもたぶん大丈夫。テルセイラ島の強烈な古漬けの匂いのするチーズとは全く違う個性である。
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# by caldoverde | 2009-07-29 07:40 | ポルトガルの旅 | Comments(3)