ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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ミランダ・ド・ドウロに3泊した後、20kmほど離れたセンディンという村に宿を移した。ここから6km先のアテノールという場所にミランダロバ牧場がある。この旅の重要な目的の一つはロバを見ることだった。10年位前にリスボンのサン・ジョルジェ城に数頭のミランダロバが来たことがあった。その時にロバの可愛さにやられてしまったのである。

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昔、人々は農作業や物資の運搬、交通機関としてロバを大いに利用していたが、生活様式が変わり、ロバもその需要が失われ、多くの雄ロバは去勢されて絶滅が心配されるほどになってしまった。またミランダロバはトラス・オス・モンテス地方特産のポルトガルの固有種であるが、スペインのロバと混血し純血種が脅かされるという問題もあるので、種の保存と研究を目的とするAEPGAという団体が作られ、アテノール村で飼育、繁殖が試みられている。更に同団体は年老いて不要になり放置されたロバに幸せな余生を過ごしてもらおうと、別の村に老ロバ施設も作った。

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モコモコの毛が可愛い

ミランダロバの体重は400kg前後、茶色の体毛、鼻と目の周りは白く、個体によっては毛が長いものもある。性質は柔和。長い耳は柔らかい毛で覆われている。牧場で飼われているロバは人馴れして、柵に近づくと次々と寄ってきて温かい鼻息を吹きかける。耳を触られるのは嫌がるが、耳の付け根はOKということで、順繰りに耳の付け根を掻いてあげた。ここでは50頭のロバが飼われており、それぞれに名前が付けられている。ロバ達は観光やテラピーなどに従事している。近郊の野山を歩くロバツアーも可能だが、牧場を見学するだけでも十分に楽しい。いずれにせよAEPGAに事前に申し込みが必要だ。

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自家用ロバに乗るおじさん。ロバには長年奉仕してきた跡が…

牧場の広さは24ヘクタールあるが、1頭のロバにつき1ヘクタールが理想ということで、近くの土地を購入し拡張する予定だそうだ。そうか、1ヘクタールの土地が必要なのか…

最近ロバのミルクを原料とした石鹸や化粧品を見るようになった。この牧場でも売っていれば買おうと思っていたが、Xマスの時期のせいか商品はほとんどなかった。牧場を案内してくれたヌーノさんによれば、儲けが出るほどは生産できないということだ。リスボンのスーパーで買ったロバ石鹸を贈った友達には「お肌がツルツルになった」と喜ばれたので、この地方の特産品としてもっと力を入れても良いのではないかと思う。

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パッケージが可愛いミニ石鹸はミランダ・ド・ドウロで見つけた

センディンという村には「ガブリエラ」というレストランがある。英語のガイドブックには、ここで食べるためにこの村に一泊する価値はあるとまで書かれているし、たまたま乗ったリスボンのタクシーの運転手がこの地方出身で、彼もまた有名なレストランとしてこの店を挙げていたので、その名声は広範囲に及んでいるのだろう。 外観はどうってことのない、アルミサッシの窓のチープな感じさえする田舎のレストランだ。席に着くなり「ポスタか?」と聞かれた。それだけミランダ牛ステーキを注文する人が多いのだろう。しかし値段が23€である。いくらうまくともそんなに高くて大きい肉は食べられないと躊躇すると、じゃあ小さいのにするからと言われたので、結局ポスタ・ミランデーザを選んだ。しかしもう一つの名物の腸詰アリェイラにも心惹かれるものがあった。値段はポスタの3分の1になる。

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厨房の天井にズラリと吊り下げられたアリェイラ

前菜にオリーブと謎の漬物が来た。珍しいので食べてみたら、辛いのなんの。巨大な獅子唐芥子を丸ごと漬けたものだ。野趣溢れるクレソンのサラダはさっぱりして牛肉に良く合う。肝心の「小さい」ステーキはこの前に食べたのよりも1.5倍くらいの大きさで一瞬たじろいだが、あっさりした赤身なので、結局ほとんど平らげた。デザートはチーズに自家製ジャムを添えたもの。ジャムは数種類の中からナシを選んだ。甘いジャムと塩気のあるチーズの組み合わせはとても美味しい。

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今回は残念ながら「なまはげ」は見られなかったが、地元の若者たちが普段着で踊るパウリテイロスの踊りが見られた。衣装をつけないと乱闘の様にも見える。パグパイプの音楽といい、この地方の民俗文化は、厳しい気候、異民族や隣国との衝突に晒されてきた土地柄を反映するような雄々しさがある。お約束の枕詞「哀愁」とは異質の、もう一つのポルトガルを垣間見ることができた。

Xmasイブにカテドラルの前でパウリテイロスの踊りを踊る若者


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by caldoverde | 2014-12-29 19:20 | ポルトガルの旅 | Comments(4)

星の山脈チーズ

カンポ・デ・オリーク地区に、人気シェフのヴィトル・ソブラルが「タスカ・ダ・エスキーナ」に続いて2店目のレストラン「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」を出店ししばらく経つ。住宅地のど真ん中で探すのが難しいし、駐車場はないし、不景気だし、難しいんじゃないかと思っていたが、さすが本を何冊も出している一流シェフだけのことはある。高いから私は自腹では行かないが、舌の肥えた固定客をつかんでいるようだ。
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窓の向こうの黒い車の止まっている店が「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」

その斜向かいに、尖った三角形の頂点を切り落としたような変な敷地に建てられた小さな家があった。ずっと売りに出されていたが、久々に通りかかったら可愛らしい飲食店になっていた。不揃いの家具にキッチュな小物、石の壁にレトロな照明と、今流行りのヴィンテージ・カフェのスタイルだ。「オフィシーナ・コン・シャ」(お茶のある工房)という店名が示すように、2人の子供のお母さんである女性オーナーは、古い家具の修復をしているそうだ。
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赤い謎の照明器具とおばあちゃんが作ったようなレース編みの敷物が良い感じ。

お茶とお菓子ばかりでなく、彼女の故郷のベイラ地方の名産のチーズや肉の加工品をワインとともに味わうこともである。ポルトガルで最も有名で高価なチーズと言えば、ケイジョ・ダ・セーラ・ダ・エストレーラ(星の山脈のチーズ)。トロトロのクリーム状のチーズをスプーンですくい、パンやクラッカーに塗って食べる。これがエストレーラ・チーズの一般的なイメージだ。しかしこの小さな工房では、有名なクリーミーなチーズに加え、ハードやセミハードなど異なったタイプのエストレーラ・チーズを盛り合わせたプラトーがある。添えられた黒いパンはそれ自体甘みを感じてとても美味しいが、チーズと一緒に食べると、お互いの旨みをより際立たせる。
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エストレーラ山脈はポルトガル唯一の積雪のある地方。厳しい冬を越すために、様々な肉加工品が発達したのだろう。この地方で作られる腸詰の盛り合わせもある。ピリッとした味、プリッとした歯ごたえの赤いチョリッソ、黒いスパイシーなブラッド・ソーセージ、フニャッとして酸味のあるファリニェイラ、ニンニクのきいた柔らかいアリェイラが、カットされ軽く焼かれ、木の皿で香ばしい匂いを放つ。アリェイラを口に入れて思わず目を見張ると、オーナーが「私の故郷の、手造りのいいものだけ選んで取り寄せているんです」と誇らしげに言った。確かに他のレストランで出される腸詰よりも美味しいものばかり。
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2人の子供たちを見ながら一人奮闘する女性オーナーの、故郷の味をリスボンにと開いた小さな店が、スターシェフの店の前に、どこまで地域に根付くことができるだろうか、見守りたい。
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by caldoverde | 2014-10-24 23:48 | 話題の店 | Comments(3)

アリェイラの栗添え

 今年の5月の中旬のリスボンはいつもより早くジャカランダの花が咲き始め、気温は35度まで達した。こんな日はそうめんやざるそばしか作る気が起きないし、またこれが最高にうまい。しかし毎日麺類ばかりではビタミンやたんぱく質が不足し、夏バテを誘引する。夏が来る前にバテてしまってはしょうがない。私の住む極小アパートでは臭いや煙が充満して作る気の起きない焼肉や焼き魚、揚げ物などを摂って体力を補給しなければと考え、近所をぶらぶら散歩しながら適当な飲食店を物色した。

 自宅から数本先の通りに昔からあって昔から変らずこれからも変わるまいと思われる店が目に留まった。いつ通りかかってもあまり入る気の起こらなかったその店が妙に気になったのは、その日のお勧めの中に「アリェイラの栗添え」というメニューがあったからである。アリェイラというのはこのブログの初めの頃登場したポルトガルの腸詰の一種で、多くのレストランの一番安い肉料理だ。しかし大抵目玉焼きと青菜の炒め物とフライドポテトが付け合せについてきて、安い割には非常に充実感を味わえるメニューである。ところがその店のアリェイラは珍しく栗が付け合せになっている。どんなものか好奇心がむらむらと湧き、確かめずにはいられなくなった。
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 「大喰い」という名のその食堂は、週末の昼過ぎだと言うのにスカスカだったが、「予約席」の札が置かれたテーブルもあるので、なじみの客もいるのだろう。そのうちにパラパラと人が入ってきた。一人の男性客は親しげに給仕と握手し挨拶をしていた。若い男女のグループもいるが、やはり男性が多い。たしかに女性一人では入りづらい店名だ。スタッフはテーブル係も厨房も男性である。皆腹が出ている。先ほど給仕と握手していた客も若いのにメタボ体型だ。
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 十年を越えるポルトガル生活で幾度も食べたアリェイラだが、今日は初めての「アリェイラの栗添え」だ。ゆっくりと赤ワインを飲みながら店の内部を鑑賞しつつ、料理の到着を待った。今までこの店に入りづらかったのは店名のせいばかりではなく、内装にも起因していた。なんか落ち着かない模様のタイルには、誰かの家族の写真と子供が描いたような絵と賞状みたいなもんがぎっしりと飾ってある。黒い床と黒い家具と黒いテーブルクロス。その上に白い紙のテーブルクロスと天井から煌々照らす蛍光灯。明るいのか暗いのかさっぱり判らない。店の中は見通しが良すぎて、会話も筒抜けだ。デート向けではない。女性はもっとムードのある店が好きだ。「大喰い」というレストランに誘われて告白されても成功率は低いだろう。
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 ついに待望の「アリェイラの栗添え」が来た。待望は失望に変わった。料理は名前どおりのものだったが、それ以上のものでもなかった。私はただのアリェイラではない何かを期待していたのであるが・・・許せないのは青菜の炒め物がなかったことだ。これでは脂肪と炭水化物だけではないか。ビタミンはどうしてくれるのだ。栗は好きなので全部食べたが、フライドポテトは残し、あらためて青菜の炒め物を注文した。
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 それにしてもなぜあの暑い日に揚げ物と栗なのか、料理人のセンスを疑う。店のインテリアのセンスも疑う。そしてそのような日にそのような店でそのようなものを食べる自分の感覚も大いに疑う。
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by caldoverde | 2010-05-26 10:32 | 肉料理 | Comments(7)